W杯アジア最終予選で大量得点連勝も…不安材料はキャプテン・遠藤航の不安定さと“後継者”佐野海舟の不在
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2026年にアメリカ・カナダ・メキシコで開催されるFIFAワールドカップ26のアジア最終予選が開幕。グループCの日本代表は、9月5日にホームで中国と対戦し7対0で勝利、同10日にはアウェイでバーレーンと対戦し5対0で快勝。2試合連続で大量得点を挙げ、上々のスタートを切った。
ヨーロッパのビッググラブでプレイする選手も多く、史上最強との呼び声も高い現在のサッカー日本代表は、まさに“アジアに敵なし”である現状をしっかりと見せつけた形だ。まるで隙がないかのようにも見えるが、意外なところに不安材料がありそうだ。
「怪我から復帰した三笘薫や久々の代表招集となった伊東純也も絶好調ですし、3バックの谷口、板倉、町田も危なげない。しかしキャプテンの遠藤航は、簡単なパスミスがあったり、不用意なボールロストがあったりと、少々不安定に見えましたね」(サッカージャーナリスト)
イングランド・プレミアリーグの強豪リバプールに所属する遠藤。クラブでは、昨シーズン後半から守備的MFのレギュラーを獲得していたが、監督が変わった今シーズンは控えに回っており、試合にほとんど出場していない状況だ。
「遠藤はベテランなので、リバプールで試合に出場していないからといって“試合勘”が失われるということでもないのでしょうが、それでもほかの日本代表選手たちに比べると、パフォーマンスがあまりよくない。今回の最終予選の2試合でも守備では良い働きをしていますが、ビルドアップやパスワークの面ではかなり危なっかしい。特に格下が相手となるアジアでの戦いでは、守備の面よりも“ミスをしない”ということこそが重要であり、そこに大きな不安が残ります。キャプテンなのでそう簡単に外せないというのもわかりますが、もうちょっと安定した選手にプレイさせたほうがいいのではないかという意見もあります」(同)
現在の日本代表の中で、守備的MFのポジションでプレイするのは、遠藤のほか、守田英正、鎌田大地、田中碧だ。今回の2試合では、主に遠藤と守田がコンビを組んでいた。
「鎌田と田中は、遠藤に比べると攻撃的な役割を担うことが多い選手であり、守備のスペシャリストである遠藤の代わりにはならない。守田については、遠藤のように守備的なポジションを担うこともありますが、バーレーン戦では2得点を挙げるなど、やはり攻撃的なポジションで使いたい。そうなると、現状では純粋な遠藤のバックアップとなる選手がいないんですよね。遠藤の調子が今後も上がってこなかった場合、ここが弱点になってくるでしょう」(同)
昨年行われたアジア2次予選と、今年の1月から2月に行われたアジアカップで、遠藤のバックアップとして代表に招集されていたのが、ドイツ・ブンデスリーガのマインツに所属する佐野海舟である。しかし佐野は、鹿島からマインツへの移籍が発表された直後の今年7月14日、不同意性交の容疑で警視庁に逮捕された。
本人が容疑を認めていたこともあり、そのままサッカー選手としてのキャリアを棒に振ることになるかと思われたが、7月29日に釈放されると、ドイツに渡りマインツに合流。8月8日に不起訴処分となり、その後はマインツの一員として公式戦にも出場している。
「性加害報道があった伊東純也も不起訴となり、日本代表に戻ってきましたが、佐野については逮捕されているということもあり、代表復帰へのハードルはかなり高い。仮に代表に招集されるとしても、もう少し時間がかかるでしょう。遠藤が微妙になっている今の状態だと、佐野の不在が結構なダメージになっています」(同)
もちろん、今後遠藤がリバプールでの出場機会を得て、徐々に調子を上げていけば問題はないだろう。アジア最終予選をしのぐだけなら、それで十分かもしれない。しかし、ワールドカップ本戦が行われる2026年には、遠藤は33歳となり、キャリアのピークを過ぎている可能性も高い。そうなると、遠藤の後継者は不可欠であり、現在23歳の佐野海舟の存在が重要となってくるのだ。
「佐野はプレイスタイル的にも遠藤に近く、将来の日本代表のアンカーとしてかなり期待されていました。しかし、現時点では代表に呼ぶのは難しい。遠藤の相方となる守備的MFはいても、遠藤の後継者がいないというのが、いまの日本代表です。佐野が戻ってくるのを待つのか、あるいは別の選手の成長を待つのか、いずれにしろ遠藤の後継者を確保することが、日本代表における直近の課題となっていくでしょう」(同)
順調そうに見える日本代表だが、決して万全ではない。未来を見据えた戦いが必要となるのだ。
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