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『TOKYO JOE』奥山和由が追い求める"究極の媚薬"とは?



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激動の映画人生を送る奥山和由プロデューサーは、生と死のギリギリを生きる男たちのドラマを
次々と映画化している。生と死の境界線には、常人が味わうことのない特殊な媚薬が隠されているという

 頭部に3発の銃弾を浴びながら生きていた男、ケン・エトー。自分を裏切った組織を敵に回し、孤独な闘いを挑んだ日系マフィアの生きざまを追ったドキュメンタリー『TOKYO JOE』を企画したのが、奥山和由プロデューサーだ。松竹時代に2バージョンの『RAMPO』を生み出した奥山氏による、もうひとつの『ゴッドファーザー』といった趣がある。そのことを伝えると、奥山氏はうなずいてみせた。

「ボクが映画の道に進もうと思ったのは、『ゴッドファーザー』を観たのがきっかけなんです。ケン・エトーを主人公にした映画は、松竹にいた15年前から考えていました。最初は『仁義なき戦い』の俊藤浩慈プロデューサーから名前を教えられ、その後ロバート・デ・ニーロからも聞いたんです。これはもう映画にすべき人物だと思い、デ・ニーロ監督作として企画していました」

 その矢先、松竹解任劇(98年)に見舞われた。『踊る大捜査線』(フジテレビ)の亀山千広プロデューサーと初タッグを組んだ本作は、突然の頓挫から10年越しのリベンジマッチといえる。

「日本のプロデューサーがギャング映画の企画書を送っても、米国の映画会社は読まないわけですよ。『なら、予告編代わりの映画を作ろう』と亀山さんが言ってくれ、出来上がったのがこのドキュメンタリー。彼は頭が切れ、会社や社会のこともわかっている。もし、松竹で彼みたいな人物がボクの上司にいれば、今頃(業界首位の)東宝を圧倒してたはず(笑)」

 フジテレビの名物局員と、アウトロー系プロデューサーがコンビを組んだことで、娯楽色の強い人間ドラマが完成した。それにしても、死の淵から生還したレーサー・太田哲也のドキュメント『クラッシュ』、戦場カメラマン・一ノ瀬泰造の生涯を描いた『地雷を踏んだらサヨウナラ』など生と死の境界線をひた走る男たちの映画を、奥山氏が作り続けているのはなぜだろう?

「ボクは恋愛を含めて好き放題に生きてきたつもりだけど、まだ幸せを感じたことがないんです。ボクが映画にした人たちは、生か死かのギリギリの生き方をした人間だけが味わえる"蜜の味"を知っていたはず。ボクにはそんな破滅的な生き方はできないけど、やはり、"蜜の味"に憧れるんですよ」

 本作は米国での公開、さらにはデ・ニーロら大物俳優を起用しての劇映画化を見据えている。奥山氏は、途方もない"蜜の味"を追い求めている。
(長野辰次/「サイゾー」12月号より)


『TOKYO JOE マフィアを売った男』
日系人として唯一マフィアの幹部に上り詰めた"トーキョー・ジョー"ことケン・エトー(1919~2004)の知られざる生涯を描いた、犯罪ドキュメンタリー。マフィアに裏切られたエトーが組織を壊滅に追い込む過程は、あまりにもドラマチックだ。
エグゼクティブプロデューサー/奥山和由、亀山千広 監督・編集/小栗謙一 配給/トルネード・フィルム 12月渋谷シネ・アミューズ、新宿バルト9ほか全国ロードショー
http://www.tokyo-joe.net


おくやま・かずよし
1954年生まれ。20代後半から松竹のプロデューサーとして活躍し、北野武、竹中直人、行定勲らを監督デビューさせた。日本初の映画ファンドを導入するなど改革を進めたが、98年に松竹を電撃解任。製作会社チームオクヤマを設立し、浅野忠信主演『地雷を踏んだらサヨウナラ』(99)をロングランヒットさせ、ドキュメンタリー『クラッシュ』(03)では監督も務めた。


ハチ公物語


奥山Pの金字塔。


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2008.12.02 火  



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