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カルチャー

"松本人志以降を総括する"インディーズ誌「PLANETS」お笑い批評特集



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PLANETS vol.6

 5月31日、若手評論家・宇野常寛氏が編集長を務めるカルチャー誌『PLANETS vol.6』が発売された。特集記事は、『日刊サイゾー』の連載コラムでもおなじみのラリー遠田氏が担当した「お笑い批評宣言」。96ページにわたる大特集でお笑いブームの現状を総括している。お笑い批評の最先端を行くこの特集の見どころについて、宇野氏とラリー氏の2人に直撃した。

――そもそも、お笑いを特集テーマとして取り上げようと思ったのはなぜですか?

宇野 『PLANETS』では今まで、編集長である僕自身が全部特集を編集していたんですが、僕以外の誰かが仕切る、その専門性を生かした特集があってもいいな、という気持ちはあったんです。

 ただ、ラリーさんから「松本人志以降のお笑いブームを総括する」というテーマを提案されたときには、結構迷ったんですよ。「お笑い」批評というと、まず小林信彦さんがいて、次にいわゆる「サブカル評論」として80年代の漫才ブームやシティボーイズなどを語るというものが多い。でも、インディーズでやっているんだから、商業誌ですでにたくさんあるものをやっても仕方がない。何より、ラリーさんの最大の強みは、今の膨れ上がったお笑いシーンを徹底してチェックしていることです。この圧倒的なリアリティを伝えたかった。ラリーさんに預けるなら「いま」を扱う特集じゃないと意味がないと思ったんです。

――特集記事を作る上で心がけたことはありますか?

ラリー とにかくわかりやすくする、ということですね。私はもともと、批評とか学問の世界の人間ではないので、一般の人の知らない単語を使って煙に巻くような話をするのはなるべく避けたい、という意識があるんです。特に、お笑いのような大衆文化を語るのに、それをやってしまったら一巻の終わりでしょう。だから、なるべくわかりやすく、お笑いに詳しくない人が読んでも面白いものを作る、ということにはこだわりました。

 ただ、だからといって書いてあることのレベルが低いというわけではありません。むしろ、コアなお笑いファンの人ほど、今回の特集でやっていることの本当の価値がわかるんじゃないかと思います。

宇野 特集に関してはラリーさんからあがって来たものを、お笑いに詳しくない人間の立場から「もっとわかりやすく」とかチェックを出す感じでした。僕が唯一こだわってやったことは、「お笑い座談会」のメンバー設定です。ここで僕は、ラリーさんを大見(崇)と荻上(チキ)と黒瀬(陽平)に会わせたかった。彼らは、「お笑いの現場」についてはラリーさんほど精通しているわけではないけれど、それぞれ固有のアプローチで「お笑い」というものを考えようとしている。大見は小林信彦の『日本の喜劇人』を初版から新潮社定本版まですべてに目を通している男で、本誌でも欽ちゃんの時代からのテレビリアリティの変容を追いかける論考を連載していますし、荻上はメディア論的なアプローチでコンテンツとコミュニケーションモデルについて考えていて、黒瀬はジャルジャルのようなレッドカーペット世代の芸人に特有の文法について語り口を見つけている。それぞれの立場からお笑いというものを考えているんです。そこにラリーさんを引き合わせてどういう化学反応が起こるのかを見たかった。あと、限られた紙幅ですが、今後の展開を意識して特集の文脈をタテ(文化史)とヨコ(隣接ジャンル)に広げることを意識しました。

――特集のいちばんの見どころはどこですか?

ラリー この特集では、インタビュー、座談会なども含めたすべての記事に私のお笑い観のようなものが反映されていて、その意味ではすべてが見どころだと言いたい気持ちはあります。

 ただ、あえて1つ選ぶとすれば、放送作家のかわら長介さんとダイノジの大谷ノブ彦さんのインタビュー記事ですかね。ここでお2人が「M-1」や「松本人志」について語っていることは、今のお笑いを考える上ではとても重要で面白い話なんですが、こういう切り口で当事者の声が聞けることはめったにありません。これこそはまさに、非商業誌だからこそできた企画じゃないかと思います。

――編集作業を一通り終えた今のお気持ちはいかがですか?

ラリー 取材、リサーチ、各記事の構成、執筆の作業を通して、自分なりに現代に連なるテレビお笑い界の大きな流れが頭の中で整理できたような気がします。今まで個別テーマとして漠然と捉えていたことが、有機的に1つに結びついた感じがしますね。これを書籍の形でまとめたら面白いものができるんじゃないかという気がします。

宇野 僕はもともとそんなにお笑いには詳しくなかったんですが、今回の仕事に携わってからは、お笑い番組がまともに見られなくなりましたね。どうしても批評的なうがった目線で見てしまう(笑)。その意味では個人的にも楽しかったです。

――今後の展開についてはどう考えていますか?

宇野 この『PLANETS』の特集は叩き台というか序章のようなもので、これを契機として、ラリーさんの「松本以降」という問題意識が、さまざまなお笑い批評が出てくるためのプラットホームになればいいと思いますね。これからラリーさんは本も出すし、イベントや放送メディアにも出て行くわけでしょう。つまり、ラリーさんはどんどんシーンに介入していくタイプの評論家なんですよ。僕はそういう評論のあり方があってもいいと思っていて、その気概を買っているわけです。お笑い批評の世界にラリーさんみたいな書き手がもっと出てきて盛り上がってくれると僕も一読者としてうれしいし、評論の世界が忘れていた役割を思い出させてもらえるといいなと思います。『PLANETS』はそのためのメディアでもあるので。

ラリー そうですね。7月のトークイベントなどを皮切りに、これからはさまざまな形でお笑い批評の仕事に取り組んでいきたいと思います。芸人や放送作家などの業界内部の人間ではないからこそできることがいろいろあると思うので、それを掘り下げていきたいですね。


宇野常寛<第二次惑星開発委員会>
http://www.geocities.jp/wakusei2nd/

『PLANETS Vol.06』通販サイト
http://wakusei2nd.cart.fc2.com/

●イベントのお知らせ
お笑い評論家・ラリー遠田presents
「第1回お笑いトークラリー」
【日時】7月2日(木) OPEN18:30/START19:30
【会場】新宿ロフトプラスワン
【出演】ラリー遠田、織田聡史
【MC】業務用菩薩
【Guest】大谷ノブ彦(ダイノジ)
予約/当日¥1500(共に飲食代別)
※予約はロフトプラスワン予約フォームにて受付中
http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/reservation/
※当日『PLANETS vol.6』持参の方は入場料¥500オフ!!


遺書


あれから15年。


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2009.05.31 日  



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