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アイドル映画専門映画監督・梶野竜太郎の【アイドル映画評】第15幕

女子高生の体育の時間を、遠くから眺めていたあの頃……『平凡ポンチ』

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アイドル映画をこよなく愛する「アイドル映画専門」映画監督が、カントク視点でオススメのアイドル映画を、アノ手コノ手で解説します。

●今回のお題
女子高生の体育の時間を、遠くから眺めていたあの頃……『平凡ポンチ』
『平凡ポンチ』
監督:佐藤佐吉 女性主演:秋山莉奈、森下悠里

 秋山莉奈。美しすぎる美尻(これ、いつも何て読むのか困る。ビケツ? ビシリ? ビッシリ?)を持ち、”オシリーナ”を自任するグラビアアイドルの顔と、『仮面ライダーアギト』『仮面ライダー竜王』『仮面ライダーディケイド』など、「スーパー戦隊シリーズ」含め、ヒーロー物に出演する、戦う定番ヒロインの顔を持つアイドルである(ここまでシリーズ股に掛けているのは、秋山莉奈と初期のライダーのおやっさんくらいか)。

ponchi15.jpg『非凡ポンチ』
自主映画監督・真島アキの前に突
如現れたのは、巨乳願望を持つ謎
の美少女ミカ。真島の映画のファ
ンを名乗り、真島に自分の映画を
撮って欲しいという。突然狂いだし
た真島の人生。思わぬ展開で巨乳
アイドルを殺したり、急にイケメ
ンに変身したり、数々のぶっ飛ん
だ出来事に翻弄されながらも、二
人の心は次第に近づいていくが……。
(Amazonより引用)
DVD発売中/3,990円(税込)
/ 販売元:ジェネオン エンタ
テインメント/(C)2008「平凡
ポンチ」製作委員会

 この2つのセールスポイントを持つオシリーナを映画の主演に抜擢する場合、そりゃ普通の女の子役では、オシリーナファンや、美尻マニアは納得いかない。

 今回紹介する『平凡ポンチ』では、そこはご安心。まったくもって普通の映画ではない。つまらないとか、無駄とか、そういう意味ではなく、本当に普通じゃない。

 ロードムービー的に観えて、全然範囲が狭かったり、ギャグ映画に観えて、わざと外したようなネタあったりする。よく分からないと思いますが、全てを物語るような秋山莉奈のセリフが、「巨乳になったらちゃんと自首するから!」……なんないよ、巨乳に。ってか、何だよ、自首って。何かが起こってるの? ってな感じですが、ホントに物語はこんなリズムなんです。

 主人公・真島アキは、自主映画の監督をしている30過ぎのダメ男。商業映画のデビューチャンスを目前に、その仕事を後輩に奪われてしまう。そんなアキが堕ちに堕ちまくっている中、謎の貧乳美少女ミカ(秋山莉奈)と出会う。

 ウッカリ彼女にひと目惚れしてしまったアキ、巨乳願望女優志望のミカに商業映画作品への出演と偽って、カメラを回し始めた。もちろん、監督を降ろされたことがバレてしまい、ミカは怒り爆発。

oshiri02.jpgC)2008「平凡ポンチ」製作委員会

 ミカは怒りの矛先を、件の後輩による商業映画の主演に抜擢された巨乳アイドルに向け、大乱闘。ついには彼女を殺害してしまう。その惨状を目の当たりにしたアキは、ミカに一緒に逃げようと提案、その逃避行をカメラに記録し映画にしようと決意するが、いろんな事件が起きてもうドッタバタ……と、そんな同作で特筆なのは、さすがオシリーナ! なぜかブルマーを穿いているのですが、その説明が一切無し! それを疑問に思わせないほど、♪ブルマーは~尻の~一部ぅ~ですぅ~♪ なんです。

 まぁ、そんなスラップスティック・ポップコーン・ムービーなので、気楽に楽しめばいいです………一般人はね!! アイドル・ムービー的分析すれば、この映画、”女子高生の体育の時間を、遠くから眺めているのが大好き!”な輩にはたまらん作品なのです!!(写真は撮っちゃダメよ)

 秋山莉奈ってことは、美尻でしょ? 美尻を一番美尻に魅せるアイテムといえば、アジア&ヨーロッパ共通で、ブルマーと決まってるわけで、そのほとんどが赤いブルマーなわけですよ(ぶっちゃけ私は”紺派”ですが)。でも、学校は言わずもがな! 街中も! レストランも! 巷では、今はブルマーの存在は壊滅状態らしく、何とも寂しい限り。

 短パンタイプの方が、隙間から見えていいんじゃないのか? って余計な分析もありますが、そんなことはどうでもよい。

 そのブルマー姿が美尻によって、終始観られます~ってだけではないこの映画。意図的なのか、監督のスタイルなのか、ほとんどが、引きの映像、要は、遠くから固定カメラで撮影しているのだ。カメラが固定なので、顔の表情を拾うのではなく、全体像の動きの方に面白味を出している。

oshiri03.jpg(C)2008「平凡ポンチ」製作委員会

 「せっかくの美尻なんだから、寄りのショットはないの?」など、普通は考えがちだが、おそらくオシリーナファンからすれば、莉奈美尻はイメージDVDとかで、ものすごく見慣れている。「そろそろ別のを観たいよぉ~」という声があるかないかは知りませんが、この映画に、寄りの美尻が映ることはほとんどない。

 その代わり、ところ狭しと暴れまわる秋山梨奈のブルマー姿を、その違和感とドキドキ感と共に遠目から楽しめる。

 分かりますか?

 思い出して下さい。小学生から高校生の頃、体育の授業中、大好きな女の子のブルマー&スクール水着姿を! 私服&制服の時ですら可愛くてしょうがないのに、それが無防備にもブル&スク!! その時の漏れる肌と、密着した生地が記憶の中では何よりも輝いているはず! 古い記憶でも思い出せば輝くはず! ブルスク・フォーエヴァー(思い出涙)!!

 他作品で例えるならば、名作映画『バタアシ金魚』(90)で、高岡早紀のスク水姿を穴が空くほど見まくる筒井道隆のように、観たいものは間近で見るのだけが全てではない。引きで観ることの魅力もあるのである!!! ……なんてことを思い出させてくれるカメラワークの数々。

 この映画は、普通に観てはいけない。遠くで一生懸命に暴れている秋山莉奈を”拝む”作品です。観終わった後、自分の思い出とリフレインし、ひと周り大きくなった自分がそこにいることでしょう。
(文=梶野竜太郎)

平凡ポンチ デラックス版

破天荒な純愛逃避行ムービー

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●かじの・りゅうたろう
映画監督・マルチプランナー。1964年東京生まれ。
短編『ロボ子のやり方』で、東京国際ファンタスティック映画祭の部門グランプリを受賞。08年に長編『ピョコタン・プロファイル』でメジャーデビュー。第2回したまちコメディ映画祭 in 台東にて、新作『魚介類 山岡マイコ』を上映。2010年に長編版として劇場上映が予定されている。現在、ニコニコ動画チャンネル『魚介類TV』(毎週日曜日20時~)に出演中。
詳しくは→http://mentaiman.com/
ブログは→http://ameblo.jp/mentaiman1964/

●アイドル映画監督梶野竜太郎の【アイドル映画評】INDEX
【第14回】「君はどうしてダメ男ばかり好きになる!?」堕ちてゆく女の美学『ララピポ』
【第13回】あの堀越のりだからできた変身願望映画の傑作!!『特命女子アナ 並野容子』
【第12回】セルフアフレコの美学『カンフーシェフ』加護亜依フォーエヴァー!
【第11回】鈴木美生ちゃんの真の萌声(もえごえ)が男の脳髄直撃!『机のなかみ』
【第10回】バカエロ映画の極×2『まぼろしパンティ VS へんちんポコイダー』
【第9回】「電車男」でカニバリズムで格闘映画の傑作『カクトウ便 VS 謎の恐怖集団人肉宴会』
【第8回】トップアイドルの制服(もちろんミニ)とM男君の快感『ときめきメモリアル』
【第7回】知的に低脳な『秘密潜入捜査官 ワイルドキャッツ in ストリップ ロワイアル』
【第6回】『インストール』──女の子が部屋でひとり。何をしているのか、見たくないか?
【第5回】『お姉チャンバラ THE MOVIE』──ビキニvsセーラー服の恍惚
【第4回】『デコトラ・ギャル奈美』──古きよき時代のロマンポルノ・リターンズ
【第3回】『リンダ リンダ リンダ』──王道的傑作に潜む”多角的フェチズム”
【第2回】『妄想少女オタク系』──初心者歓迎!? BLの世界へご案内
【第1回】『すんドめ』──オナニー禁止とチラリズムの限界点

最終更新:2010/06/15 19:20
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