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行方不明老人問題で明らかになった「崩れゆく”長寿国”ニッポン」の現実

 全国各地から行方不明情報が相次いでいる。全国で100歳以上のお年寄りの所在が分からなくなっている件は、すでに50人を超えた。本人の安否も心配だが、もうひとつ頭が痛いのが、親族が当人を行方不明としているのに年金を受給しているケースだ。

「死亡届を出さないことによる年金の不正受給の可能性もあります」

 こう語るのは千葉県で受給者の生活実態を調べるケースワーカーの女性だ。

「以前、3カ月前に伺った時にかなり衰弱していた90代後半の高齢者男性がいて、再び伺ったら不在。家族に聞いたら”突然、行先も告げずに旅に出てしまった”と言うんです。寝たきりだった老人が急に外を出歩けるわけもなく、それを家族が許すのもおかしな話でした。ただ、こっちで不在の証明をすることもできず、そのまま今も年金を支払って10年が経過しているんです」


 現時点ではあくまで”疑惑”でしかないが、確かに怪しい話ではある。また関西ではさらに酷いケースも報告されている。

「あるとき100歳以上の女性宅を訪問したら、ベッドに寝ていた本人の外見が急に若返っていた。よく見たら、彼女の娘である80代女性で『なぜお母さんのベッドに寝ているのか』と聞くと『私が母親だ。娘は外出している』と言い張る。どう見ても親に成りすましていた」(大阪の元民生委員)

 ここまでくると、老人を悪用した詐欺事件だ。今回の事態について行政側は、人手不足や個人情報保護の観点を理由にしているが、民営の老人介護関係者からは反論の声も出ている。

「悪質な不正受給などもあるので、いくらかは仕方ない部分もありますが、高齢者に対しては各地で長寿の表彰があったり、日ごろから所在を確認できる流れはできています。東京でも100歳以上は3,500人程度で、これは自治体で手分けすれば確認できる数字。普段から手抜き仕事をしていたツケがまわってきただけです」

 厚労省は年金受給者については本人確認を実施することを決めたが、対象者は110歳以上という極めて狭い枠にとどめている。

「厚労省は、年金受給者と人口の数すら合っていないのを把握しているんです。これを全て調べたら莫大な規模の相違が出てしまい、職務怠慢を追及され責任問題にも発展するので小さいまま終わらせたいんでしょう」と同関係者。

 生きているのは書類上ばかりなのか……日本が本当に長寿大国かどうかも怪しくなってきた。
(文=和田修二)

図解 年金のしくみ―年金制度の問題点を理解するための論点40

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最終更新:2010/08/09 15:00
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