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加山雄三よ恥を知れ! 有名ギターの違法コピーを告発『モズライトの真実』

moz.jpg『モズライトの真実』(鹿砦社)

 モズライトというギターをご存知だろうか? 1950年代、アメリカ・カルフォルニアのギター職人、セミー・モズレーによって製作されたギターで、その流麗なデザインと音質から「ギター界のロールスロイス」と形容されたギターブランドだ。ベンチャーズや加山雄三、寺内タケシらが使用したことで人気に火がつき、当時のギターキッズから圧倒的な支持を受けた。他にもラモーンズのジョニー・ラモーン、ニルヴァーナのカート・コバーン、東京事変の浮雲など、多くの有名ギタリストが愛用した名器だ。

 しかしそのモズライト社は倒産し、不法なコピー品が多数出回っている。それどころか、コピー品がさも正規のモズライトであるかのような顔をして、堂々と流通されている状態なのだ。2010年9月、「週刊新潮」(新潮社)でこの問題が報じられ、新たに注目を集めている。『モズライトの真実』(鹿砦社)は、モズライト世界本部代表で、モズライトUSショップの代表取締役を務める岩堀典明氏が、モズライトの違法コピー問題について言及・告発した本だ。モズライトの歴史を紐解くとともに、商標権をめぐる複雑な争い、モズライトというブランドがいかにしてコピー業者の手で蹂躙されてきたかが詳細に記されている。

 モズライトのコピーは実に40年もの間、野放しにされていた。日本においては株式会社フィルモア、黒雲製作所のふたつの会社がモズライトの販売を行い、両社は権利をめぐって法廷で激しく争っていた。ファンの間でも「フィルモアと黒雲、どちらが本物?」とたびたび論じられてきたが、実はどちらも正式な許諾を得ずに商標登録していた違法コピーであることが明らかとなった。本家モズライト社が倒産し、また黒雲製作所が不正でありながら商標登録を通していたことから、法廷での争いは煩雑を極めた。のちに両社とも敗訴し、本年7月最高裁で確定したが、現在も「Mosrite」を名乗って販売を続けている。当然、フィルモア社が製作・販売した「モズライト加山雄三50周年記念モデル」も真っ赤なニセモノで、その広告塔となっている加山雄三自身も法律に反していることになり刑事告訴されている。

 現在、岩堀氏は「モズライト被害者の会」を立ち上げ、コピー品の根絶に尽力している。この本はモズライトをめぐる裁判闘争の記録であり、岩堀氏のモズライトに対する愛がつづられている。違法ダウンロードに違法コピーと、知的財産権が無視されがちな昨今、それにまつわる意味や問題を考えさせられる一冊だ。
(文=平野遼)

●いわほり・てんめい
1952年生まれ。京都出身。エレキの神様・寺内タケシのファン。趣味はエレキギター。モズライトをこよなく愛する研究者でもある。「モズライト世界本部」代表、「株式会社スイングサイエンス」代表取締役、「モズライトUSショップ」代表取締役を務めている。

モズライトの真実

名器が泣きます。

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最終更新:2014/01/28 13:25
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