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コンドルズ『グランドスラム』公演記念インタビュー

「コンドルズは人間関係で成り立っている」”学ラン集団”が挑む、15周年の集大成公演

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 学ラン姿のアツイ男たちが舞台の上を縦横無尽に飛び回るダンスカンパニー。かと思いきや、突然ユルいコントが始まったり、映像が流れたり、歌を歌い出したり……。すべて「身体」を使った表現なので、ダンスには違いないのかもしれないが、これはダンスなのか? なんて考えている暇はない。山なりのボールが突然豪速球になったり、直球が来るかと思いきや大暴投だったり。と思っていたら、最後には超カッコいいダンスでビシッと決めてくれる。そんな男前集団コンドルズが、今年で15周年を迎える。その記念公演となる舞台『グランドスラム』が東京を皮切りに全国でスタート。コンドルズの立役者であり振付家の近藤良平さんに聞く、新作舞台の内容と、15周年を迎えるカンパニーについて。

──まずは、『グランドスラム』という舞台の内容についてお伺いしたいのですが。

近藤良平氏(以下、近藤) 非常に分かりやすく言うと、今回の舞台は15年間のベスト盤。オイシイとこ取りなので、この舞台がつまらなかったら、あなたが悪いっていう(笑)。

──(笑)。さすがです。そりゃそうですよね。15年間のエッセンスを凝縮して出しているわけですから。

近藤 まあ、そう言えるくらい、おいしい作品になってます(笑)。コンドルズの舞台では、5年に一度、海外公演も視野に入れた大作を作るんです。2000年の『ジュピター』という作品でNYやヨーロッパ、アジアに行ったり。06年は『エル ドラド』という作品。他の作品もいっぱい作っているんですが、大きく公演を打って、それを基本として5年かけて熟成させていくというか。なので今回の『グランドスラム』は、我々的には、5年かけてやる作品の初期バージョンになるわけです。第一歩ですね。この作品が、これからの5年のスタートを意味します。

──ベスト盤ということは、昔の作品の中からピックアップして再構成した作品になるということですよね?

近藤 そうですね。だいたい過去5年間くらいのものからになります。昔の舞台の映像からピックアップするんですけど、コンドルズの舞台ってむちゃくちゃシーンが多いんですよ。1本で20シーン以上あるので。1年で80シーンあるとして、5年で400本以上。もちろんすべてが違います。昔のVTRを見直してると、すっごい面白いんですよ。「俺達面白いじゃん!」って。そんなカンパニー、ないですよね(笑)。

──コンドルズの舞台って、すごい短いシーンというかスキットのようなものでつながれているので、編集の仕方でまた意味合いが全然違う舞台ができ上がるのかもしれませんね。今回の舞台の見どころやポイントはありますか?

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近藤 今回は15人なんです。一時期、長塚圭史が居たころは12
、3人くらいの時もあったんだけど、去年から平原慎太郎(FA)と、ぎたろー(新人)の2人が入ってきたのと、今回初めて公演に参加するスズキ拓朗(NewFace)っていうのがいます。彼らが新しい風になっていますね。また、ピックアップした昔のシーンに、今だと絶対にできないような動きがあった時には、若いメンバーは役立ちます。

──古いネタを再演される際、演者は変えるんですか?

近藤 そこはいじってますね。オクダ(サトシ)さんとかデカイから変えられないとか、キャラ立ちしているところは変えないけれど、そこをわざと変えて実験してみたりして。すると、全然雰囲気が変わるんですよ。石渕(聡)さんとかは怖いから「この役は絶対俺がやる!」とかって譲らないこともあるしね(笑)。なーんでそんなところをこだわるのかな? というのがあったり。面白いよね。今までの舞台ではそういうのはなかったから。

──コンドルズの芝居の作り込みの度合いについてお聞きしたいんですが。舞台でのアドリブや偶発性みたいなものを大切にされているようなところと、ダンスでバシッと決める部分のバランスというか。

近藤 どう見ても作り込んでないでしょう?(笑) 僕は昔からそうなんですけど、作って、練習を重ねていくとうまくなりすぎるでしょ。ダンスでも芝居でも音楽でも。それによって調子に乗っちゃうヤツもいるし。その、うまくなるのがつまらんって思っていて。なので昔から、本番の6時間前くらいに振り付けを変えたりするんですよ(笑)。すると演者は混乱して、そのあたふたしているところも含めて舞台上で見られる。そういうこと自体がもともと好きなので。

──なるほど、舞台を見ていると納得できます。

近藤 メンバーみんなそれぞれ仕事を持っていたりもするし、実際にがっちり2カ月練習なんて不可能なんですよ。僕もメンバーも、そんなに辛抱強い方でもないしね。それがカンパニーの色になっているんだと思います。もし、2カ月間びっちり練習できる状況にあったとしても、多分やらないよね(笑)。そういう作り方をしている舞台で、以前やったネタをもう一度やるっていうのは、結構難しい。新しく作る方がよっぽど楽なんです。

──バラバラな人たちを同じ方向に持っていく、近藤さんならではのやり方というのは、何かコツが? 

近藤 メンバーみんなが抜きどころを知ってるんですかね。僕たちは会議室でよく練習しているんですけど、出番がない時はみんな稽古場にいないんですよ。どっかでサッカーをやってるヤツもいるし、マンガ読んでるヤツもいるし……。で「やるぞ!」って言ったら、ムクムクいろんなところから出てきてやるわけですよ。それで僕がまた芝居を作り始めたり考えごとを始めたら、またわーっと散っていって、プロレス雑誌とかを見てる(笑)。そういう、縛らない、縛られないでやる「抜き方」がみんなすごくうまい。僕も楽だし本人たちも楽なんだよね。

──では、コンドルズが15年続いてきた理由を教えてください。

近藤 コンドルズって、東京もそうだし地方公演もそうだけど、人間関係で成り立っているんです。大阪、福岡とかってもう十数回も毎年毎年通っていて。現地にも友だちもたくさんできているし、みんな里帰りみたいな気分で、現地に行くのが楽しみになっている。そういう関係性ができていることが、続ける理由だよね。

──15年続けてきたということは、メンバーもお客さんも一緒に歳をとったということになりますよね?

近藤 確かに、今だと35歳くらいを中心にした年齢層の人が多いんだと思う。そう考えたら大人だよな(笑)。僕らとしては、40歳を超えるとやっぱり単純に、生命力とかやる気とか、いろんな問題に直面するんだと思うんですよ。僕なんかは立場的なこともあるけど、今の方が正直言って身体に向かう努力はしているし、それは20代の時には考えていなかったことですよね。「こんちくしょう、若者には負けない!」という気持ちも、もちろん持っているしね。舞台ではそれを全開で出したいとは常に思っている。それで、心意気のある若者の人たちに、「近藤さんまだ動けるんですね」って言われたらうれしい。心意気のない若者なんてどうでもいいんですけど(笑)。他のメンバーも、同年代の人間が多いからきっと同じことが起きているとは思う。

──年齢と身体って、特に舞踊なのですごく舞台に関係があると思います。でも、お歳を召した舞踊の方で、早くは動けないかもしれないし、高くは跳べないかも知れないけど、20代にはできない表現をする。若い表現者には絶対に見られないような部分があるとは思うんですよ。

近藤 もちろん、そこは探れると思う。でも、コンドルズはどっかでがむしゃらな部分があるから、それは続けていきたいよね。いつまでやんちゃできるかっていう。個人単位になると弱くなってくるかもしれないですけど、結局は我々はみんなが集まると発揮できるんです。今はフラットにやっていますよ。すごくいい舞台になっていると思う。15年った、今のコンドルズを皆さんに見てもらえたらうれしい。
(取材・文=上條桂子/写真=後藤匡人)

●コンドルズ日本縦断大連勝ツアー2011『グランドスラム』
東京 8/25-28 東京グローブ座
札幌 9/2 札幌市教育文化会館
静岡 9/4 焼津文化会館
大阪 9/9-10 松下IMPホール
広島 9/15 アステールプラザ
福岡 9/17-18 イムズホール
富山 10/30 高岡市民会館
埼玉 11/3 所沢市民文化センターMUSE

※全日程当日券あり
詳細は公式HPにて <http://www.condors.jp/01.html#summer>

コンドルズ血風録!―タイム・イズ・オン・マイ・サイド

青春。

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最終更新:2013/09/11 18:32
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