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『僕の中のオトコの娘』監督・窪田将治と、女装娘(じょそこ)──その素晴らしく曖昧な世界

 同性愛か異性愛かは問わず、女装趣味の男子を女装娘(じょそこ)といい、いまや認知されつつある存在になった。『失恋殺人』『CRAZY-ISM クレイジズム』などの話題作でおなじみの窪田将治監督最新作『僕の中のオトコの娘』は、その女装娘が主人公という、ちょっと異色の青春ムービーだ。12月1日の公開を目前に控えた監督に、撮影のことから女装娘の世界についてなど聞いてみた。

――どういういきさつで、女装娘をテーマに映画を撮ることになったのですか?

窪田将治監督(以下、窪田) 7年前に友達と新宿で飲んでいて、そこで仲良くなったカップルに連れて行ってもらった店が、女装バーだったんですよ。ママもお客さんもみんな女性の格好してたので、最初はゲイバーかなと思ったんです。で、話をしていくとスゲー面白くて、実は女装バーだったという。これは映画になるんじゃないかと思いました。

IMG_0218.jpg窪田将治監督

――女装娘のどんなところに興味を持ったんですか?

窪田 女装娘たちは、すごく曖昧なんですよね。「好きなのは男? 女?」って聞いてみると、必ず「どっちでしょう?」って、含みを持たすんです。店の決まりで、答えを言ってはいけなかったりするようで、そういうのも面白くて。

――それで今回、映画になったのですね。

窪田 当時は、一般的には(女装娘というものが)知られてなかったじゃないですか。でも、この1~2年でメディアに女装家が出たり、タレントが女装したり、そういうのが出てきて、そろそろイケるんじゃないかと思って動きだしたら、実現しました。

――撮るにあたっては、綿密にリサーチされたそうですが。

窪田 撮ったのは1年前なんですが、7年前に最初に訪れた女装の店にも行きたかったんですが、もうなくなっていたんです。だから別の店に行って、今どんな感じかなと。当時行った店とはちょっと違ってまして、女装だけでなく、同性愛者やいろんな人がごちゃごちゃ混ざっていて。いろいろな人たちに話を聞きました。

――実際に話を聞いた女装娘の中で、登場人物のモデルになった人はいますか?

窪田 この作品では、女装という狭い世界で奮闘する人間を描きたかったのですが、その狭い世界というのは、僕がいる映画界と同じだと思っています。主人公の謙介は女装という狭い世界で頑張っていて、僕は映画界という小さい世界で頑張っていて、周りにいろいろ言われながらもやりたいことをやっている。だから、そういう意味でのモデルは僕ですね。

――映画を見た女装娘の人たちの反応は、いかがでした?

窪田 まず脚本を書いた時点で、どこまでがアリなのか、読んでもらったんですよ。そしたら、「あり得る」という反応だったので大丈夫かなと。実際に完成した映画を見てもらったら、ものすごく共感したとか、身に染みたとか、中には「もっと大変よ」と言う人もいて、反応はいろいろでしたね。でも、好意的に受け止められています。

――主役の謙介を演じた川野直輝さんは、オーディションで?

窪田 いや、違います。どのキャストも、オーディションはしてないです。ただ、主役を決めるのは、ものすごく難航しました。いろんな名前が出ましたが、なかなかハマらず、1年ぐらい探しました。そんなとき偶然、あるマネジャーさんに相談したら、「川野直輝ってどうですか?」みたいな話をされたんですよ。それでいろいろ見てみたら、面白そうかなと。主人公がちょっとネクラなので、そういう感じがしないといけないし、女装したときに映画的に見栄えがしないといけないといった条件にハマりそうな気がして選びました。

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