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『マーシーの薬物リハビリ日記』発売記念

ロングインタビュー「“薬物依存症の田代まさし”を、やっと受け入れることができた」

marcy031701.jpg58歳で、この若々しさ

 人気ミュージシャンからお笑い界への華麗な転身後、志村けんとの名コンビをはじめ、“ダジャレの帝王”“ギャグの王様”としてバブル期のテレビを駆け抜けた田代まさし。

 しかし「白い粉」との出会いが、ファミコンソフトにまでなった人気者を奈落の底へと突き落とす。5回の逮捕と2回の懲役を経て、現在はダルク(薬物依存症者のリハビリ施設)で薬物依存からの回復プログラムを受ける田代。そんな彼がその壮絶な薬物体験、獄中での日々、そして現在のリハビリ生活から「本当のクスリの怖さ」を伝えるコミックエッセイ『マーシーの薬物リハビリ日記』(泰文堂)を発売する(マンガ・北村ヂン)。今度こそはと言いながら断ち切れなかった薬物。今、田代の胸に去来するものとは。

――まずは本を出版するきっかけを教えてください。

田代 今回この本を出した根本的な理由としては、今までは自分で犯してしまった罪から遠ざかりたい、逃げたいとばかり思っていたんだけど、それが回復に一番よくないことだったと、今ダルクという施設でプログラムを受けている上で気がついて。ちゃんと薬物と向き合わなきゃダメなんだと。俺が本を出したり、ブログやTwitterを始めたことでネットでは「田代が復帰!?」みたいに騒がれてるらしいけど、俺の中では本当の薬物の怖さというものを、いまだ苦しんでいる人たちや、まだ薬に出会ってない人たちに伝えることが、今自分にしかできないことかなと思っているし、それこそが自分の回復にもつながると思っています。以前は早く芸能界に戻りたい、応援してくれる人たちに早く立ち直った姿を見せたいと、そればかり考えてた。でも、それではダメだったんだよね。ありのままの自分を受け入れて、今日一日薬物を断っている姿を見せていることが、一番の恩返しなんだよ。

――そのように気持ちが切り替わったのは、なぜですか?

田代 今まで自分で自分のことを「薬物依存」なんて思ってなくて、強い意志とか根性があればやめられるって思ってたんだよね。でも、この本にも書いたけど、クスリの怖さはそんな甘いもんじゃなかった。実は最初にダルクに来たときも「本当にこんなところで回復できるのか」って、半信半疑でね。ダルクの考えは「回復に一番大切なのは、同じような苦しみを抱えた仲間たちと一緒に歩むこと、そしてその仲間たちを手助けすること」。僕自身も(日本ダルクの)近藤代表と一緒に全国のフォーラムに足を運んで自分の体験談を話したり、仲間たちとハグしたり握手したりすると、不思議なんだけど徐々に変化が起こってきたの。どうしてそうなるのかは自分でもわからない。ただイメージだけど、今まではそういう場所にいると逆効果だと思っていたのが、今はすごい安心というか、「ここに俺の居場所がある」って感じる。刑務所から出てきて、仕事もなくて、知り合いからも疎外されて、「これからどうやって生きていこうか」と思い悩みながら生きていくより、自分の居場所を見つけて、そこで花を咲かせればいいやって、考え方が変わってきたんだと思う。

――それまでは疎外感や孤独を感じていましたか?

田代 薬物依存からの回復に「孤独」が一番よくないらしい。一人で頑張ろうと思っていたのがよくなかったんだよね。クスリをやるときに必ずそばで教えてくれる仲間がいたように、クスリを止めるときにも仲間が必要。そして自分がちゃんとしていて、初めて誰かにメッセージを届けられる。誰かを勇気づけると同時に、自分も勇気づけられる。そういう気持ちになったのは本当に初めて。自分ひとりでなんとかなると思って、決意して、やっぱりダメで、いろんな人を裏切って。すごく大切なものをいっぱい失ってきてるのに、それでもクスリを止められなかったわけだから。

――今はどういう生活を送っているのですか?

田代 毎日スタッフとしてダルクに電車で通って、事務所の掃除したり電話番をしたり、会報の封筒貼りしたり。薬物受刑者からくる手紙に返事を書いたりもする。それから近藤代表と一緒に全国の保護観察所のイベントに行ったり、講演で警視庁に行ったりもしてますよ。

――警視庁!!

田代 今まで警視庁には罪を犯してしか行ったことないのに、手助けする側で行くのがすごい不思議だった。「俺、今警視庁にいるんだ……」って(笑)。

――ドキドキするものですか?

田代 震えはしないですけど、やっぱりドキドキはするよね。悪いことしてないのに。


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