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「市民球団」なんて真っ赤なウソ!? “最弱キャラ”に甘んじる、広島カープ球団フロントを徹底糾弾

818hI-foCoL._AA1500_.jpg『「マツダ商店(広島東洋カープ)」
はなぜ赤字にならないのか?』
(文工舎)

 ペナントレースが終了し、今年も4位、Bクラスに甘んじた。21世紀に入って、12球団の中で唯一、Aクラス入りを果たしていない広島東洋カープが、最後に優勝の美酒を浴びたのは山本浩二監督時代の1991年にまでさかのぼる。それ以来、毎年成績は下がり続け、今では不甲斐ない成績が当然のものとなってしまった。

 もはや、“最弱キャラ”が板につき、それが魅力となってしまった感もある。人気バラエティ番組『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「広島カープ芸人」回では、チュートリアル徳井、アンガールズ、ロザン宇治原、有吉弘行などが「マスコットが気持ち悪い」「野次を飛ばしやすい」などと、カープをネタに盛り上がっていた。

 もちろん、勝つことだけがスポーツを応援する楽しみではない。だが、ファンならば、やはり応援するチームが勝利する姿を見たいものだろう。広島市在住の作家・堀治喜氏の著作『「マツダ商店(広島東洋カープ)」はなぜ赤字にならないのか?』(文工舎)は、広島不調の原因として、オーナーである松田元氏を痛烈に批判する一冊だ。

 タイトル通り、万年Bクラスであるにもかかわらず、カープの経営は赤字になることはない。それどころか、40年にわたって、黒字を出し続ける優良経営だ。有力な親会社があるわけではないカープでは、他球団と比較すると選手の年俸は安く、1億円プレイヤーは数えるほど。かつては名物の“たる募金”を募りながら、球団の運営をやりくりするほどだった。そんな姿勢が許されてきたのが、広島に貼られた「市民球団」という免罪符だ。しかし、本書はそのイメージを打ち破る。

 創設時こそ本来の意味での「市民球団」であったものの、時を経るにつれて、その実態は形骸化。現在では、球団株式のほとんどは松田元を中心とする松田家によって保有されている。3代目オーナーである松田恒次は、経営危機に陥っていたカープを救うために、東洋工業に援助を依頼。当初の約束では「球団を私物化することはない、一時預かるだけだ」といって株を引き取ったものの、恒次の後を継いだ4代目オーナー・松田耕平は球団株を松田家に集約、その約束は果たされないまま今に続いている。

 そして、現在のオーナーを務める5代目・松田元氏が2002年に球団を譲り受けると、広島の転落劇は決定的なものとなり、Bクラスが指定席となっていった。

 だが、それでもカープの人気は衰えることはなく、2011年には158万人もの来場客を維持している。その理由を、堀氏は、一部メディアの報道姿勢に問う。球団批判は行われることはなく、ほとんどがカープに対して好意的なものばかり。時折、批判が行われたとしても、本質的な球団トップの経営姿勢にまで踏み込まれることはない。メディアとのなれ合いのもとに、カープはぬくぬくと“市民球団”の甘い汁を吸い続けた。その結果、オーナー自らが「勝率5割を目指す」と、最弱チームらしい低い目標を語り、万年Bクラスに甘んじても大規模な戦力補強がなされることはない。観客が入り、興行が成立するのであれば、年俸の高いスター選手を抱える必要はないのだ。経営術としては一流なのかもしれないが、チームは弱体化の一途をたどる。堀氏の言うとおり、「勝つ気がない」と勘繰られてもおかしくない。

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