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ルールも値段もややこしすぎた……JR「周遊きっぷ」が廃止に至った不人気の理由とは

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 JR各社が販売する「周遊きっぷ」が3月31日で廃止される。国鉄時代からの周遊券を引き継いで1998年から発売された周遊きっぷだが、売れ行きは年々減少。2002年度には約13万枚だった売り上げが11年には約4万8,000枚と3分の1ほどに減少。当初は67あった周遊ゾーンも、わずか13にまで縮小していた。かつては「青春18きっぷ」と並んで鉄道旅行によく使われたという周遊きっぷ。青春18きっぷと明暗が分かれたのはなぜなのか。

「一言でいえば、値段が高かったこと。それに、販売方法が煩雑でJRでも積極的に売りにくかったのです」

と、周遊きっぷの問題点を指摘するのは、長らく周遊きっぷを扱ってきた旅行会社経営の中尾一樹さんだ。中尾さんによれば、周遊きっぷは、国鉄時代からの周遊券に比べて、極めて発券が面倒だったことを指摘する。

 国鉄時代の周遊券は、周遊ゾーンまでの経路もほぼ固定されていた。周遊きっぷは、この経路にも柔軟に対応するようになったが、そのために周遊ゾーンまでの往路のキップ、周遊ゾーンのキップ、復路のキップを別々に発券しなければならない。そして、往復のルートによって割引率も変動した。経路が指定されていて、ほぼ値段が固定化されていた周遊券に対して、値段が変動するために、発券の手間に加えて、積極的に売り出しにくくなってしまったのだという。

 さらに、周遊きっぷでは特急・急行列車の自由席が乗り放題だが、いまやJRで定期運行されている急行列車は、青森~札幌間の夜行急行「はまなす」のみ。加えて、特急には乗れるが新幹線には乗れないという欠点もあった。周遊きっぷ九州ゾーンの場合だと、九州新幹線には乗れないかわりにJRバスの福岡~宮崎間、福岡~鹿児島間が利用できるものの、不便な印象は拭えない。さらに、周遊券で認められていた周遊区間までの往復の急行列車・特急列車の自由席利用もなくなった(そもそも急行列車は壊滅だし、特急列車が走っていない区間も多い)。そのため、周遊きっぷ九州ゾーンの場合に、東京発着で往復共に「のぞみ」「みずほ」を利用して現地に向かった場合の料金は5万3,260円。やはり、料金が割高な印象だ。

 加えて、周遊券よりも有効期限が短縮され、利用者にとってあまり利便性が感じられない点が極めて多かったのだ。

 つまり、周遊きっぷは周遊券よりも利便性が低下し、それを改善することができなかったというわけだ。現在でも、かつての周遊券の時代を知る人々の間では、周遊券の頃は便利だったという話はよく聞かれる。なぜ、JRは利便性を低下させることをしてしまったのか。

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