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ITライター柳谷智宣の「賢いネットの歩き方」第13回

情弱飲食店が引っかかって阿鼻叫喚 店側も客側も得をしない“焼き畑”スタイルのクーポンビジネス

yakihatag.jpgイメージ画像

 時々、クーポンサービスを利用した飲食店がSNSや掲示板で大炎上することがある。クーポンサービスとは、50%以上などの割引クーポンをネット上で販売し、購入ユーザーが一定数を超えた場合のみ成立するというもの。代表的なサービスとしては、「グルーポン」や「シェアリー」などがある。店側にとっては、ネットの強力な販促力により、自分だけではアプローチできない顧客層にクーポンを販売できるという魅力があり、新規顧客獲得の手段としては非常に効率がいいと言える。ユーザーは、もちろん通常時の半額以下で飲み食いできるというメリットがある。

 一見、いいことずくめに思えるが、なぜトラブルが起きるのだろうか? まずは、価格設定のからくりを見てみよう。例えば、いつも2000円で出している商品を50%割引で出す場合、ユーザーが支払うのは1000円となる。そして、これを店側とクーポンサービス側で山分けするのだ。だいたい半分ずつというところが多い。つまり、店側の手取りは500円。一般的な原価率は3割なので、100円ほどの赤字が出てしまう。そこでよく見られるのが、普段とちょっと違う商品を用意し、ほんの一時期だけ倍の値段で売る二重価格手法。その実績があれば、50%割り引いて、いつも通りの価格になる。売り上げを半分持っていかれても、わずかながら黒字が出るという寸法だ。ただし、相当うまくやらない限りこの手はバレることが多く、炎上の燃料になる。

 次に、クーポンを発行する枚数が問題になる。500~1000枚程度のケースが多いが、それでも個人店なら大変な枚数だ。有効期限が半年あるからといって、1日3~6人の上乗せと考えるなら相当情弱だ。購入したユーザーは当然、自分の都合のいい日時に食べに行くに決まっている。それは、一般客の動きと連動している。つまり、ただでさえ忙しい日にクーポン客が押し寄せることになり、その結果、常連客は入れないということも起きる。さらに、クーポン客のメニューは利益が薄い、もしくは赤字なので資金繰りが厳しくなる。満席状態に慣れていない店なら、サービスや味のクオリティが落ちることもある。それがあまりにひどい状態だと、炎上が始まる。ここに至り、店側は悲鳴を上げる。

 店側が売却済みのクーポンを中止したこともある。クーポンはプリンタで印刷して持って行くのだが、コピーするのは簡単で、この偽造クーポンを多数使われてしまったためだ。テイクアウトをしているお店では、会計ごとにチェックするのが難しく、悩ましいところ。さらに、店側はブログで資金繰りが苦しくなったとも告白している。この場合は、店が被害者であることが明白なので、それほど大きな炎上にはならなかった。

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