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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.242

日本で急増するうつ病は製薬会社の陰謀なの? 心にじんわり効く『マイク・ミルズのうつの話』

utsunohanashi01.jpg日本人の15人に1人は生涯に一度はうつ病を経験するという。『マイク・ミルズのうつの話』は抗うつ剤服用者の生活を記録したものだ。

 「心の風邪をひいていませんか?」というフレーズに聞き覚えがないだろうか? 日本初のうつ病疾患啓発のTVコマーシャルとして2002年から3年間にわたってオンエアされたもので、このCMキャンペーンが成功し、日本における精神科への受診の敷居はずいぶん低くなったと言われている。その一方、1990年代までは年間150億円程度だった抗うつ剤の売上げが、現在では1000億円を越えるようになった。今や日本人の15人に1人はうつ病だという。どうしてこうも急激に日本で“うつ”は広まったのだろうか? 製薬会社のマーケティング戦略に日本人はまんまと乗せられたのだろうか? こうした疑問から日本でカメラを回し始めたのが、『サムサッカー』(05)『人生はビギナーズ』(10)といったハートウォーミングな作品で知られるマイク・ミルズ監督だ。ドキュメンタリー映画『マイク・ミルズのうつの話』(原題『DOES YOUR SOUL HAVE A COLD?』)は親日家であるミルズ監督が、東京で暮らす5人の男女とうつ病との関わりを丁寧に映し出していく。

 映画に登場する5人の男女は、SNSサイト上でのミルズ監督の呼び掛けに応じた出演志願者たちだ。出演の条件は2つ。抗うつ剤を服用していること、日常生活をありのまま見せてくれること。自宅で暮らすミカは嫌いなお酢を毎日飲むことで精神力を鍛えている。タケトシはうつに関する本を熱心に読む努力家だ。Tシャツ工場で働くカヨコは犬を可愛がっている。プログラマーのケンは猫と同居中。エンジニアのダイスケは写真撮影、ジャズ鑑賞、サボテン栽培と多彩な趣味を持つ。5人はとても温厚そうで、派手さはないものの、マイペースに自分なりの生活を送っているようにカメラには映る。でも抗うつ剤が手放せない彼らの心の中には、様々な不安や疎外感、寂寥感が渦巻いているらしい。

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