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奈良美智もご立腹! “イルカの絵”画家クリスチャン・ラッセンは、なぜヤンキーにウケるのか

lassen.jpgクリスチャン・ラッセン公式サイトより

 9月末頃からネット上で話題となった、現代美術家・奈良美智のTwitter激怒騒動。事の経緯は、「ギャラリーセラー」のディレクター・武田美和子が鼎談で「奈良さん好きな人とラッセン好きな人は同じだと思う」と発言し、実況ツイートを見た奈良が「武田さんの発言は、なんだか心外だなぁと思います(中略)ほんとにそうだったら、発表を辞めます。本気で」「つうか、俺、ラッセン大嫌い」などと反論したのだ。

 ご存じだとは思うが、ここで名の挙がったラッセンとは、神秘的なイルカの絵で知られるアメリカの画家クリスチャン・ラッセンのこと。奈良氏は同じくTwitterで、ラッセンについて「ああいう平和頭の理想的自然志向は理解できない。自分はもっとリアルな現実という壁に向かって立っている」と批判したが、実は武田氏の発言は“作風や作家としての姿勢”を同じだと言ったわけではなく、“マーケティングのプロモーションが同じ”と意見したもの。とはいえ、ラッセンと販売契約を結ぶアールビバン社は強引な販売手法で知られており、奈良氏にとってはマーケティングが同じと言われるのも心外に違いない。

 もちろん、奈良のファンたちもこの騒動に対し、「奈良さんとラッセンを同列にするなんて、ひどい話だ」「奈良さんとは対極にいると思いますけど?」と擁護。ラッセンのすさまじい嫌われっぷりがあらわとなった。しかし、なぜここまでラッセンは嫌われるのか? 先日発売された『ラッセンとは何だったのか? 消費とアートを越えた「先」』(フィルムアート社)から、その理由を考えていこう。

 まず、ラッセンとはいかなる人物なのかを軽く紹介しよう。ラッセンは1956年生まれで、現在57歳。最初に脚光を浴びたのは弱冠17歳、しかしその時は美術家としてではなく、サーファーとして、雑誌のカバーを飾ったり、テレビに出演するなどメディアに登場したのだという。20代になって絵画の世界で、「イリュージョナル・リアリズム」と呼ばれる作風を確立し、89年に日本でのエージェントであるアールビバンと契約を結び、一気に人気を博すように。バブル期には、あのイルカの絵がリビングやベッドルームに飾られていることが、若者の間で一種のステイタスシンボルとなった。さらにその後、アールビバンは全国で原画展を開催し、その人気は都市部から地方にも飛び火。「都市文化よりも地方や郊外の文化との親和性」を高めたという。

 ちなみに、05年にはパチンコメーカーとコラボレーションしたり、06年の来日時には「AV女優とホテル密会」をフライデーされたことも。さらに、ラッセン自身が愛するものとして挙げているのが「海、サーフィン、高級車、有名ブランド(ヴィトン含む)、美食、マウイの豪邸」と、画家イメージから遠く離れた、世俗まみれの成り上がりぶりが全開。これに対し、精神科医の斎藤環氏は「(ラッセンの)成金趣味は、日本においては『成功したヤンキー』のそれとほぼ重なる」と指摘し、元・美術家の大野左紀子氏も、ラッセンが日本で人気を得た理由を「日本人のヤンキー心に訴えたからではないか」と分析している。

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