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アスリート列伝 第12回

日本人最多得点更新! 鈍足のFW・岡崎慎司がたどり着いた「エゴイスト」としてのサッカー

donsoku.jpg『鈍足バンザイ!』(幻冬舎)

アスリートの自伝・評伝から読み解く、本物の男の生き方――。

 「足が遅い」「背が低い」「テクニックがない」、その上「ネガティブ思考」……と、岡崎慎司ほどスター性からかけ離れたサッカー選手もいない。香川真司と並んで立っていたら、香川ファンから「お友だちの方ですか?」と声をかけられてしまったというトホホなエピソードからも、彼のキャラがわかるだろう。日本代表のFWという立場にありながら、およそサッカー選手としてのきらびやかさとは無縁の選手だ。

 そんな「スター性のなさ」はともかくとしても、足の遅さやテクニックのなさは、サッカー選手としては命取りになるはず。そんな欠点を抱える彼は、いったいどうして欧州1部リーグでの日本人最多得点記録を塗り替えるプレイヤーになることができたのだろうか? 彼の著書である『鈍足バンザイ!』(幻冬舎)から、その秘密をひも解いてみよう。

「今のお前はただの石っころだ。でも、磨けばダイヤになる可能性がある」

高校時代、岡崎に向かってコーチはこのように檄を飛ばした。サッカーの名門校である滝川第二高校に入学した岡崎は1年生の頃からレギュラーの座を獲得し、全国大会でベスト4に進出する活躍を見せていた。

 そして、高校を卒業すると清水エスパルスに入団し、晴れてプロサッカー選手の肩書を得た。しかし、与えられたポジションは、FWの8番手控え。テクニック、俊足、高さなど、FWとしての必須要素を、岡崎は持ち合わせていなかったのだ。同期のチームメイトが公式戦デビューを果たしても、彼にはそのチャンスは回ってこなかった……。

 このままでは、永遠にデビューできない。そこで、岡崎が行ったのは、自分の足の遅さを徹底的に認めることだった。

「足が遅いと認める行為は、自分はダメな選手だ、と受け入れること。そこからすべてはスタートした。ダメな自分だからこそ、サッカー選手として成長するために、考え抜いてきた」(『鈍足バンザイ!』)

 足が遅いからこそ、その欠点をカバーしようと全力でトレーニングに取り組んだ岡崎。その結果、一瞬でDFラインの裏に抜け出す出足の早さを身に付け、2008年には目標としていた年間10得点を達成。さらに、日本代表にも選出された。

 そして10年、念願だったサッカーW杯南アフリカ大会への出場を果たした。しかし、この戦いは岡崎にとって、苦い経験として記憶されている。予選ではレギュラーとして戦ってきたものの、戦略の変更から、大会前に控え選手に降格。日本代表が戦った4試合すべてに途中出場し、デンマーク戦ではゴールを飾ることもできたが、味方の支えなしではプレーできない自分のスタイルにいら立っていた……。パラグアイに負けた後、彼は涙を流すことなく、こう語った。

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