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韓国客船「セウォル号」沈没事故で日韓メディア格差も露呈「韓国でNHK評が急上昇している」

chinbotsu_.jpg「Mashable」より

 韓国旅客船「セウォル号」の検証番組をめぐって、同国では日本のNHK評が急上昇している。

 300人を超す死傷者・行方不明者を出した韓国の旅客船沈没事故は、乗客を捨てて逃げ出した船長が、自ら作成すべき安全点検報告書を3等航海士に作成させていたり、規定の貨物の3倍以上も積載していたなど、人災としか思えないずさんな話が噴出。船舶会社が行政と癒着していた疑惑もあり、国民の怒りは政府にぶつけられている。韓国内では「後進国の事故」と呼ばれているほどだ。


 そんな状況から、今後の事故を防ぐための検証番組が制作中だというが、韓国のテレビ局KBSの取材手法に批判が集まり、制作が遅れている。同番組制作会社の関係者によると「観客が撮った膨大な画像データや船の渡航記録を集めながら、乗客の遺族にも取材を重ねているが、協力が得られていない」というのだ。その背景には、いち早く報道したNHK『クローズアップ現代』での検証番組の高評価があった。

 在ソウル通信記者によると、韓国内の検証番組を見た視聴者から「NHKはもっとクオリティが高い」と、日本の放送局との比較論が出ているという。

「番組で検証された内容の質が国内の局に比べて高かったこともあり、ネット上では動画となって比較されたんです。さらに、遺族とみられる方々が掲示板などで、取材に訪れた記者の対応がNHKと韓国局とではまったく違ったという話をした」(同)

 ネット上で遺族が証言しているところでは、NHK取材班が遺族のもとを直接訪れた際、取材で分かった情報を丁寧に伝えながら話を聞いていったのに対し、韓国局は「答えてくれたら謝礼を払う」と金銭だけチラつかせたもので、事故について詳しく知らないスタッフが電話してきただけだったという。

「国から補償の問題もあって、遺族は船の安全がどこまで確保されていたかなど情報を欲しがっている状況。NHKは分かっている話を教えてくれて、遺族の身になって取材してくれた。記者がテレビで報じられていること以上に、事故について勉強していた」(ネット上の遺族の証言より)

 これについて前出記者は「韓国のマスコミでは『セウォル号がアメリカの潜水艦と接触した可能性もある』という怪情報のほうが盛り上がっていて、まじめな取材が後退する傾向がみられる」という。

 実際、ネット上では遺族や不明者家族を中傷するような文章が飛び交い、極右サイト「日刊ベスト貯蔵所」では、政府に抗議する遺族の暴言ばかりを集めたものを特集する始末だ。結果、KBSの制作する検証番組も進まず「このままでは、メディアも“後進国”のようと言われかねない」と、前出記者は話している。
(文=ハイセーヤスダ)

最終更新:2014/06/04 21:00
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