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『オオカミは嘘をつく』公開記念インタビュー

タランティーノも大絶賛! いま注目のユダヤ人監督コンビに聞く「イスラエルと映画と、アラブ人」

_MG_8560.jpgアハロン・ケシャレス(左)とナヴォット・パプシャド(右)

 「今年のナンバーワンだ!!」――。2013年の第18回釜山国際映画祭。クエンティン・タランティーノ監督は『オオカミは嘘をつく』を鑑賞後、そう興奮気味に発言した。

 映画のあらすじは、実にシンプルだ。森の中で凄惨な少女暴行殺人事件が起こり、事件の真相を追う暴力的な刑事が、容疑者を特定する。教師を務め、善良そうに見える容疑者は、容疑を否認。そこに犠牲となった少女の父親が登場し、自らの手で容疑者を裁こうとする……。しかし、映画を見ている間、視聴者は何度も自らに問いを投げかけざるを得ない。「一体誰が真犯人なのか?」「何が正義で、何が悪なのか?」「残虐な復讐は許されるのか?」「3人の中で誰が救われるのか?」と。そして、ただでさえ見る者に混乱や葛藤を与えておきながら、結末で最も大きなひねりが加えられる。

「映画を見終わった後は、ガーンとやられたような衝撃、ちょっと混乱するような、それこそ、電車に轢かれてしまったような衝撃を感じてもらえれば、うれしいです」

 『オオカミは嘘をつく』の監督の一人、アハロン・ケシャレスの言葉だ。彼と共に監督を務めたのは、ナヴォット・パプシャド。共にイスラエル出身のユダヤ人である。もともと大学の講師と学生の関係にあった二人は、互いを尊重し合う良きパートナーとして、脚本作りや撮影のすべての工程において、共同作業を行った。そんな二人に、タランティーノ監督をうならせた本作のことはもちろん、イスラエルにおける映画の役割、徴兵制、アラブ人への偏見など、幅広く話を聞いた。

――釜山映画祭でタランティーノ監督に絶賛されたそうですが、そのときのことを教えてください。

ナヴォット・パプシャド 釜山映画祭に参加したときに、スタッフから「クエンティン・タランティーノが来ているのを知っているか? 彼が挨拶に来たいと言っている」と聞き、「ぜひ!」と告げると、タランティーノのほうから僕に会いにきてくれました。ロックコンサートで大スターを目の前にした女の子のような気持ちでしたね。その後、『オオカミは嘘をつく』が上映されて、タランティーノが「とても素晴らしい映画だった。役者も、とても良かった。演技も良かった」と言ってくれた。そして、「2013年最高の1本だ。ナンバーワンだ」と。もう場内は拍手喝采で、大興奮の瞬間でした。僕のキャリアの中でも、ハイライトと呼べるエピソードです。

――本当に特別な体験だったと思います。初来日ということですが、日本の印象はいかがですか?

アハロン・ケシャレス 日本映画で日本という国を知って以来、一度は行ってみたいと夢見ていました。想像していたのと同じくらいエキサイティングで楽しんでいます。昨日の夜は、しゃぶしゃぶを食べました。とてもグッドでした。あと、私は魚介類を一切食べられなかったのですが、日本ではお寿司に初めてチャレンジしましたよ。なんとか2ピースだけ食べられた。これは奇跡的なことですよ!(笑)

ナヴォット イスラエルでは、あまり魚を食べないんですよ。テルアビブのような大都市であれば、お寿司も含めてシーフードを食べる人もいますが。でも宗教的な理由から、敬虔なユダヤ教徒の方は、豚肉はもちろん、魚介類もほとんど食べない人が多い。特に、貝は絶対に食べません。一部の魚は、宗教的に禁じられているわけではないんですけどね。

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