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“無敵オヤジ”が今度は追われる身に! リーアム・ニーソン『96時間 レクイエム』

main_DF-14988_R.jpg『96時間』(c)2014 Twentieth Century Fox

 今回取り上げる最新映画は、スタイリッシュな演出とサスペンスに満ちた展開が見どころのアクション娯楽作2本。いずれも人気シリーズの最新作だが、片やリアルなファイトやチェイスにこだわるノンストップ活劇、片や原作グラフィックノベルの世界を実写とデジタル技術で再現した新世代のフィルム・ノワールと、好対照な2作品だ。


 1月9日公開の『96時間 レクイエム』は、リュック・ベッソン製作・脚本、リーアム・ニーソン主演のサスペンスアクション『96時間』シリーズの第3作。パリで拉致された娘キムを救出し、イスタンブールで家族の命を狙う犯罪組織を壊滅させた元CIA秘密工作員ブライアン(ニーソン)は、住み慣れたロサンゼルスで平穏な暮らしを取り戻すことを望んでいた。だがその矢先、自宅で元妻レノーアが殺され、容疑者として警察から追われる身に。ブライアンは警部ドッツラー(フォレスト・ウィテカー)らの追跡をかわしつつ、自分を罠にはめた真犯人を探し、再び狙われた娘を守るために奔走する。

 監督のオリビエ・メガトンは、第2作『96時間 リベンジ』(2012年)からの続投。前作では主人公が妻と共に拉致され、娘の助けを得て脱出するまで、スピード感で第1作にやや劣るのが難点だったが、今回は序盤から追われる身となり、疾走感が途切れないままサスペンスを盛り上げる。演技派俳優からアクションスターへと変貌し、“無敵オヤジ”が当たり役になったリーアム・ニーソンも還暦を過ぎ、逃走の途中で息切れする演技が生々しくて哀感を誘う。シリーズ最終章と銘打たれた本作、最強パパの最後の暴走をしっかりと見届けたい。

 続いて1月10日に封切られる『シン・シティ 復讐の女神』(R15+指定、2D/3D上映)は、フランク・ミラーによるグラフィックノベルを、ミラー自身とロバート・ロドリゲスの共同監督で映画化した『シン・シティ』(05年)の続編。悪徳に満ちた街シン・シティで、愛する者を奪われた踊り子ナンシー(ジェシカ・アルバ)は復讐を胸に秘め、そんな彼女を怪力大男マーヴ(ミッキー・ローク)が見守る。さらにギャンブラーのジョニー(ジョセフ・ゴードン=レビット)、私立探偵ドワイト(ジョシュ・ブローリン)らアウトサイダーたちが、それぞれのやり方で腐敗した権力者に立ち向かう。

 モノクロを基調とし、口紅や金髪、血や炎といった鮮烈な色彩を際立たせるユニークな映像スタイルは前作から踏襲。今作では新たに3Dで制作されたことで、奥行きを持って広がる「罪深い街」のダークな空間に、観客自身も迷い込んでしまったかのような没入感を体験できる。脱がないながらも官能的なダンスを披露するジェシカ・アルバと、『300 スリーハンドレッド 帝国の進撃』(14年)に続き脱ぎっぷりのいい悪女役のエバ・グリーン、人気女優の“競艶”も見逃せない。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『96時間 レクイエム』作品情報
<http://eiga.com/movie/81182/>

『シン・シティ 復讐の女神』作品情報
<http://eiga.com/movie/80084/>

最終更新:2015/01/09 23:00
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