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源頼朝、渋沢栄一、土方歳三の年収は? 『偉人の年収』著者・堀江宏樹さんに聞く

文=日刊サイゾー編集部(@cyzo

源頼朝、渋沢栄一、土方歳三の年収は? 『偉人の年収』著者・堀江宏樹さんに聞くの画像1
大泉洋演じる源頼朝(大河ドラマ『鎌倉殿の13人』公式サイトより)

日刊サイゾーの人気連載〈「大河ドラマ」勝手に放送講義〉を執筆いただいている歴史エッセイスト・堀江宏樹さんが気になる新刊『偉人の年収』(イースト・プレス)を1月11日に上梓した。クレオパトラ、シェイクスピアやモーツァルト、マルクスといった世界の偉人から、藤原道長、明智光秀、西郷隆盛、夏目漱石まで、誰もが知る偉人たちの金銭事情を、現代日本円に換算して生々しく紹介するという内容だ。日刊サイゾーではいつも大河ドラマと史実の交差点を考察していただいているということで、今回〈大河ドラマに出てくる偉人の年収〉をテーマに、『青天を衝け』『鎌倉殿の13人』に出てきたあの偉人のおカネ事情から、来年の大河『どうする家康』への展望まで語っていただいた。

“朝廷のドン”より稼いでいた源頼朝

――まもなく『鎌倉殿の13人』が始まりますが、『偉人の年収』では鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝については取り上げていませんね。ネットにある「偉人の年収ランキング」的な記事では頼朝が上位に入っていることが多い印象ですが、実際のところどうなのでしょうか。

堀江 源頼朝については、彼の最高官位が「正二位」だったので、その地位に国が与えていた年俸などを根拠に「年収1億1000万円」としているケースが多いようです。また、それはあくまで頼朝の“固定収入”で、それとは別に、征夷大将軍として鎌倉幕府から頼朝が得た給与や、彼の所有していた荘園からの農業収入などがあったと説明される場合もあります。

 しかし実際のところ、日本のすべての土地の所有者は天皇だと明言していた古代以来の「律令国家」のシステムは、頼朝の時代の以前……具体的には平安時代後期にはすでに崩壊してしまっていました。藤原道長の時代にはすでにそうなっていたので、源頼朝にもそれだけの年俸が与えられていたとはとても思えません。

――では頼朝の年収は実際はもっと低い?

堀江 いえ、かなり稼いでいたのは事実だと思います。しかし、国家公務員などとしての収入ではなく、自分の領地で稼いでいたのです。本書でも取り上げましたが、藤原道長など、現在でいう高級官僚に相当する上位の公家などには、平安時代後期以降、多くの土地を「荘園」として所有する権利が与えられていたのです。要は、「公務員であるみなさんにはお給料を国が払えません。かわりに一定範囲の土地を荘園として使える権利をあげます。納税義務なども免除しますので、そこで事業をして、自力で稼いでくださいね」と国からシレッと言われてしまうような状態だったのです。これが歴史の時間に習った「不輸不入の権」の実情です。しかし道長などはこの状況を逆に利用し、ガッポリ儲けていた人物ですね。

 平安末期~鎌倉時代初期の源頼朝の実際の収入も、官位などにもとづく国家公務員としての労働収入というより、所有していた荘園からの農業収入のほうが確実にデカかったと考えられます。しかし残念なことに、戦国期以降の武将たちみたいに「●●石」といったコメの産出量を示した領土表記は平安~鎌倉時代にはまだ存在していないので、頼朝がどれぐらい稼いでいたかを明確に示す史料は残念ながら「ない」と言えます。

 ちなみに、『鎌倉殿』の主人公である北条義時や、その姉・政子らの生まれ育った家の収入状況については、さらに「よくわからない」としか言いようがありません。専門書でも「北条(家の領土)は肥沃な狩野川流域平野を占め、東海道筋に近接して、(北条家の人々は)かなりの財力をもっていたものと思われる」(渡辺保『北条政子』吉川弘文館)と“推測”が書かれている程度ですね。

――頼朝がかなり稼いでいたことはおそらく事実ということですね。

堀江 収入についての具体的な史料はありませんが、頼朝の“金離れのよさ”については少なからずわかります。『吾妻鏡』によると、当時の朝廷の“ドン”である後白河法皇がかつて住んでいた「法住寺殿」が地震被害などで住めない状態になっていたのを、上洛した頼朝が費用を肩代わりして修繕してあげたという話があるんですよ。『吾妻鏡』は鎌倉幕府の公式史なので、こういう頼朝の太っ腹エピソードをアピールするべくしっかり書き残しているわけですね(笑)。

 この頼朝の行動はもちろん、後白河法皇に恩を売るためのパフォーマンスでもあります。大きな額のカネの使い方には、その人の素顔が垣間見えるものです。『龍馬伝』の龍馬(福山雅治さん)が「同じ使うなら、“生き金”を使え」などと言っていたのを思い出しましたが、頼朝はカネの使い方ひとつ見ても、実に計算高い政治家だったわけですね。

――後白河法皇の住まいの修繕費を肩代わりするということは、頼朝は当時の朝廷の実力者以上の経済力を有していたということですよね。

堀江 そうです。だから、現代日本の貨幣価値で「1億円ちょい」の年収どころか、実際にはその何十倍、ヘタすれば何百倍の収入があったはずですが、はっきりとした数字は出せないので、『偉人の年収』では取り上げませんでした。ここまで考証していたことをこのインタビューで話せたので、努力が報われた気分です(笑)。

――うかがってよかったです(笑)。『偉人の年収』では、昨年の大河ドラマ『青天を衝け』の主人公・渋沢栄一の年収についても触れられていますね。

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