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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.314

いじめ、暴行、闘病からの逆転人生『がむしゃら』女子レスラー安川惡斗は逆境でこそ存在感を増す

gamushara03.jpg休まずトレーニングを積み重ねる安川惡斗を、ジムを経営する元総合格闘家の大山峻護は高く評価。安川も安心した笑顔を見せる。

「映画を観て、私っていつも笑いながらしゃべっているなぁって気づきました。ヘラヘラしていて、気持ち悪いなと(笑)。以前、スポーツカウンセリングしている先生に言われたことを思い出しました。『笑いながら話す癖があるけど、それは一種の自己防衛の現われなんだよ』と言われたんです。本当にそうなんだなと、映画を観て分かりました。他の人から『気持ち悪い』と言われるのが、よく分かった(苦笑)。自分じゃ、これまでいろいろ乗り越えてきたつもりだったんですけど、まだまだ乗り越えなくちゃいけないことがいっぱいありますね。いい勉強になりました(笑)。以上!」

 安川惡斗は不思議なレスラーだ。悪役レスラーとして憎々しいファイトを見せたかと思えば、女優・安川結花仕込みのマイクパフォーマンスでは、自分の心情を真っすぐに吐露することで観客の心をつかむ。かと思えば、時折ひどく弱々しい素顔の安川祐香がさらけ出てしまう。解離性人格障害と診断されたこともある安川はキャラクターの変貌ぶりで周囲の目を惹くが、まだ自身のキャラクターをうまくコントロールすることができずにいる。どこまでがガチなのか、フェイクなのか読めない危うさが漂う。いや、フェイクの中から生じるリアルさこそが彼女の真骨頂なのだろう。

 現在はリハビリ中の安川は、入院先の病院を訪ねてきた世IV虎の謝罪を受け入れ、リング復帰後は世IV虎と再戦したいと語っている。2人が再戦を果たしたとき、安川惡斗はヘラヘラ笑いではない本気の笑顔を自分のものにしているはずだ。
(文=長野辰次)

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『がむしゃら』
監督・撮影・編集/高原秀和 撮影/森川圭、中沢匡樹 音楽/野島健太郎 出演/安川惡斗、高橋奈苗、脇澤美穂、夏樹★たいよう、世IV虎、岩谷麻優、紫雷イオ、木村響子、ロッシー小川、風香、大山峻護、真綾、水戸川剛、彩羽匠、宝城カイリ、愛川ゆず季 配給/マクザム 3月28日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
(c)MAXAM inc.
http://www.maxam.jp/gamushara

最終更新:2015/03/20 12:00
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