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嵐の分析本がAmazon総合ランキング2位に! 現役ミュージシャンが「A・RA・SHI」の構造を分析

【リアルサウンドより】

 嵐が日本一の男性アイドルグループとなった理由を、音楽性、演技・バラエティ、キャラクター、パフォーマンスという4つの視点から読み解いた書籍『嵐はなぜ史上最強のエンタメ集団になったか』が、4月16日から17日にかけて、全国書店やネット書店で発売した。同書はリアルサウンド編集部が制作を手がけ、青井サンマ氏、柴 那典氏、関修氏、田幸和歌子氏、成馬零一氏、矢野利裕氏など、嵐に詳しい気鋭の評論家・ライターが寄稿。嵐の魅力を多彩な角度から解き明かしている。

 本日、同書がAmazon.co.jpの“本のベストセラー”で2位にランクインしたことを受け、内容の一部を公開。東京を拠点に活動するバンド、トレモロイドのシンセサイザー・小林郁太氏が、嵐の名曲「A・RA・SHI」の構造を分析したコラムを掲載する。

参考1:【嵐が次にめざす方向性とは? “日本一のエンタメ集団”を徹底分析する書籍登場】
参考2:【嵐の楽曲はどう“面白い”のか? 柴 那典×矢野利裕がその魅力を語り合う】
参考3:【嵐がジャニーズの後輩に与えた影響 各メンバーの姿勢はどう引き継がれていったか(前篇)】
参考4:【嵐がジャニーズの後輩に与えた影響 各メンバーの姿勢はどう引き継がれていったか(後篇)】
参考5:嵐が描いてきたゼロ年代の情景とは? ドラマ作品における軌跡をたどる(前編)
参考6:嵐が描いてきたゼロ年代の情景とは? ドラマ作品における軌跡をたどる(後編)
参考7:嵐はいかにしてバラエティ番組で活躍の場を拡げたか 萌芽期からサブカル期の足跡を辿る
参考8:嵐はいかにしてバラエティ番組で活躍の場を拡げたか サブカル期から王道への移行期の足跡を辿る

「A・RA・SHI」は黒っぽい“要素”を取り入れたポップス

 この曲の面白さは、構成とアレンジに注目するとよくわかりますので、まずは下のよう整理してみました。Aはラップ部分、Bは「Step by step」から始まる歌セクション、Cがいわゆるサビで「You are my SOUL! SOUL!」で始まるセクションです。( )内は代表的なパート、[ ]内はキー(全て長調)です。

構成

Intro (パーカッション、ベース、ギターリフ、「Take it so so」)
A1 (ラップ、ブラスシンセサイザーリフ、ランニングベース)[A]
C1 (サビ、ブラスシンセサイザーリフ、ギターリフ)[A]
A2 (ギターリフ、ギターカッティング、ボイス)[A → Bb]
B1 (ブラスシンセサイザーリフ、コーラス、ギターリフ)[G]
C2 (C1と同じ)[A]
break
間奏 テンポアップ (ディストーションギター)[A]
間奏2 (Introと同じフレーズ)[G]
A’(「Take it so so」ラップ、ワウギター)[G]
B2 (ブラスシンセサイザー、ディストーションギター)[G]
C3 (ロック的な打ちっぱなしのキメ)[A]
C4 (ラップが重なる)[A]
C5 (歌が抜けてラップ)[A]
C5 (ゴスペル風R&B調、パーカッションとベースのみ)[A]

 順に見ていくと、ブレイクのIntroから、A1で唐突にラップが始まります。そしてこちらも唐突にブレイクし、C1(サビ)に入ります。その間わずか28秒です。その後すぐにA2、B1、C2と続きます。ここまでで一応サビが2回訪れたことになりますが、セクション間をきれいにつなぐための、いわゆるブリッジとなるセクションが一切登場しません。A、B、Cがそれぞれ全く雰囲気の異なるセクションであることは、セクションの境目にリズムブレイクが入ることからもわかります。一度仕切り直さないとつながらない、ということです。また、ベースのフレーズに注目してみるとAはうねるランニングベース、Bはリズムフックのある深めのフレーズ、Cはルート(コードの基音)の8分音符弾き、とやっていることがかなり変わります。

 そして、C2後のブレイクからテンポアップし、ディストーションギターのソロが続きますが、A’で一旦雰囲気を落としてラップを挟み、改めてB2で盛り上がってその後はCの連続です。Cの連続といっても、上記のように実にいろいろなことをやっています。

 このようにして改めて順を追って見ていくと、少なくとも歌謡曲としてはなかなか変わった構成だということがわかります。もちろん単にラップセクションと歌セクションを並べただけ、というわけではなく、細かな工夫はされています。例えばA2のラストからB1の最初のコード進行は「D(レ) C#(ド#)CM7(ド)」と半音ずつ下がって自然につながります。しかし大きな目で見てこの曲の矢継ぎ早な構成からは、歌謡曲に重視される物語性や曲としての雰囲気の一貫性というよりは、「5分の間にやりたいことを全部詰め込んじゃおう」というような、勢いとコンセプトを重視している、と言えるでしょう。

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