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憎めないアイツが帰ってくる! 今週末公開の注目の2作品『テッド2』 『わたしに会うまでの1600キロ』

ted0828wb.jpg(C)Tippett Studio/Universal Pictures and Media Rights Capital

 今週取り上げる最新映画は、日本でも大ヒットを飛ばした中年テディベア喜劇の続編と、1,600キロの山道と砂漠を1人で踏破した女性の実体験に基づく感動ドラマ。笑いで気晴らしをしたいなら前者、旅を疑似体験して人生を見つめ直したいなら後者がオススメだ(いずれも公開中)。

 『テッド2』(R15+指定)は、命を宿した不良で下品なテディベアが、ダメ中年男ジョンと繰り広げる騒動を描いた大ヒットコメディー『テッド』(2012年)の続編。バイト先で知り合った彼女タミ・リンと結婚したテッドだが、新婚生活も早々に険悪な雰囲気になり、危機を乗り切るため子どもを持つことを決意する。ジョン(マーク・ウォールバーグ)の助けを借りて奮闘するが、州政府から「テッドは人間ではなく物」と判断され、婚姻を無効にされてしまう。ジョンは新人弁護士サマンサ(アマンダ・セイフライド)を雇い、テッドの“人権”を勝ち取るために裁判所へ乗り込む。

 『テッド』で映画監督デビューを果たしたセス・マクファーレンは、前作と同じく監督・脚本・製作に加え、テッドの声と動き(モーションキャプチャーを使ってCGで描画)も担当。テッドの愛らしい外見と下ネタ連発のオヤジな中身のギャップから生まれる笑いは、本作でも健在だ。被差別マイノリティーが平等を獲得してきた歴史にテッドの裁判を重ねるなど、真面目なテーマも盛り込んで新味を出した。『テッド』はもちろん、マクファーレン監督の第2作『荒野はつらいよ アリゾナより愛をこめて』(14年)からもつながるネタがあるので、これら2作を未見の方は事前に観賞しておくと一層楽しめるはずだ。

 『わたしに会うまでの1600キロ』(R15+指定)は、過酷な旅の体験をつづった米国人女性の自叙伝を、リース・ウィザースプーン製作・主演、『ダラス・バイヤーズクラブ』(14年)のジャン=マルク・バレ監督で映画化したドラマ。トレッキング初心者のシェリルは、巨大なバックパックを背負い、米西部を縦断する1,600キロの自然歩道、パシフィック・クレス・トレイルを歩き出す。広大な砂漠や険しい岩山を孤独に進むシェリルの脳裏に、離婚した優しい夫や、どんな時も明るく前向きだった母のことが浮かんでは消え、彼女が無謀な決意に至るまでの半生が徐々に明らかになる。

 ラブコメの女王として知られたウィザースプーンが、素顔にボサボサ髪、汗と土にまみれた服、さらにはフラッシュバックする自堕落な過去など、まさに“汚れ役”で新境地を開拓。そんなキャリア上の冒険が、人生のリセットを望むシェリルの旅にシンクロする。母親を演じたローラ・ダーンの少女のような可憐さも印象的。主人公がなぜ1,600キロの踏破に挑むのか、旅が進むにつれて少しずつ明かされる構成が効果的なので、原作を読んだ人以外はなるべく予備知識を入れずに観賞することをオススメしたい。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

「テッド2」作品情報
<http://eiga.com/movie/81185/>

「わたしに会うまでの1600キロ」作品情報
<http://eiga.com/movie/81511/>

最終更新:2015/08/28 23:00
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