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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.338

名台詞「お前はすでにヤッている」が脳に刺さる! 多部未華子がエロきゅんな『ピース オブ ケイク』

pieceofcake01多部未華子、綾野剛が官能シーンに挑んだ『ピース オブ ケイク』。2人が演じた主人公・志乃と京志郎は、抑えがたい恋愛感情に呑み込まれていく。

 恋におちた瞬間のフワフワとしたゼログラビティ感、そして惚れた相手への胸の中へとぐい~んと引き寄せられていく甘美なひと時。体が触れ合うと激しい電流が全身を貫く。あの陶酔感が忘れられず、人は何度でも恋をしてしまう。田口トモロヲ監督、多部未華子主演による『ピース オブ ケイク』は人が恋におちる瞬間をディテールたっぷりに描き、狂おしいまでに成長したその感情がどのような終焉を迎えるかまでを克明に描いている。いわば、人間にはコントロールしがたい“恋愛”という感情の一生をドラマ化したものとなっている。

『ピース オブ ケイク』は2003年~2008年に雑誌連載されたジョージ朝倉の同名コミックが原作。“ピース オブ ケイク”とはひと切れのケーキを食べるくらい簡単なこと、朝飯前という意味。主人公の梅宮志乃(多部未華子)は男がいないと不安な女の子。正樹(柄本佑)から交際を申し込まれ、体の関係を重ねていた。男に迫られると断れない性格だった。このまま正樹と結婚するのかなと考えていた矢先、職場の同僚とひと晩だけ浮気したことが正樹にバレ、 別れを告げられる。正樹に特別な感情を抱いていたわけではないが、交際を求めてきた相手から振られたのはショックだった。正樹とのエッチの際に使っていたピンクローターを可燃物か不燃物かどちらに棄てるかで悩みながら、当分恋はしないと誓う志乃だった。心機一転を図って安アパートに引っ越すが、隣室に住んでいるヒゲ面の男・菅原京志郎(綾野剛)が気になってしまう。ヤバい。志乃のタイプだった。志乃の男絶ちの誓いはあっけなく崩れる。

 京志郎には成田あかり(光宗薫)という同棲中の彼女がいる。これで惚れずに済むと安堵する志乃だったが、あかりは志乃を意識しまくり。そのことが志乃の闘志に火を点けてしまう。異様に面倒くさい女・あかりは同じビデオレンタル店で働く京志郎と志乃の仲を疑い、アパートから失踪。あかりという障害がなければ、もう志乃と京志郎の間を阻むものはなにもない。2人は一直線に激しく求め合う。取り壊し寸前のボロアパートが愛の世界へと変わっていく。清純派のイメージの強かった多部未華子だが、綾野剛との濡れ場は惚れた男と初エッチする女の子のドキドキ感がリアルにじんじんと伝わってくる。濃厚キス&エロシーンに、下着を脱いで真っ向勝負を挑む多部未華子の女優魂が気持ちよい。

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