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朝ドラ『まれ』はなぜ批判されたのか? 映像と脚本からその真価を検証

【リアルサウンドより】

 NHKの連続テレビ小説(以下、朝ドラ)は、近年もっとも注目されているドラマ枠だ。それだけに毎回、激しい賛否が巻き起こるのだが、今週最終回を向かえる『まれ』は、主に物語のわかりにくさと登場人物の一貫性のない行動が、激しい批判にさらされた朝ドラだった。

 しかし、『まれ』は本当に不出来な作品だったのだろうか? そして何故、これほどまでに批判されたのか? 映像面と脚本面から総括してみたい。

 『まれ』は、能登で暮らす夢嫌いの少女・津村希(土屋太鳳)が、パティシエ(菓子職人)を目指す物語だ。物語は1994年からはじまり、2000年代を経て、2015年の現在に辿り着く。『ごちそうさん』『花子とアン』、『マッサン』と戦前・戦中・戦後(昭和)という時代を描く物語が三作続いた朝ドラだが、2013年の『あまちゃん』以来、久々に登場した現代が舞台の作品だ。

 『まれ』で秀逸なのは、パソコンや携帯電話などといった00年代以降、誰もが安価で使えるようになったデジタル機器の描写である。例えば、希の弟子である沢沙耶(飯豊まりえ)は、希が菓子を作る場面をスマートフォンで動画撮影する。おそらくこの場面は、若い人ほど当たり前の行為として受けとめただろう。実際、こういう形で動画撮影を利用することは多い。しかし少し前だったら、もっと異様なシーンとして映ったはずだ。

 これはあくまで一例だが、こういったデジタル機器の扱いから見える現代の切り抜き方が実に秀逸なのだ。これは劇中の映像にも強く反映されている。

 『まれ』を見ていてもっとも驚いたのは小型カメラを駆使していると思われる映像だ。特にそれは室内のシーンにおいて発揮されており、ホームドラマではやり尽くされた食卓を家族が囲む場面も、レイアウトに凝った躍動感のある映像となっている。

 こういった斬新な映像はNHKドラマの伝統で、『あまちゃん』でもすでに試みられていたものだ。しかし『あまちゃん』の映像が、斬新であるがゆえに作り手の意図を超えて、強い意味を持ちすぎていたのに対し、『まれ』の映像は女子高生がスマホで撮影したような気軽さがあり、その気負いのなさが、より現代的に感じる。

 つまり、かわいい女の子が最先端の映像で綺麗に撮られているという意味において優れたアイドルドラマだった。というのが、『まれ』に対する最大の評価だ。

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