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週刊!タレント解体新書 第34回

泉ピン子の恐るべしロケテクニックとは テレ朝『世界の村で発見!こんなところに日本人』(10月9日放送)を徹底検証!

pinko1015.jpg『みんな悩んでる ピン子のツンデレ人生相談』(光文社)

 泉ピン子。1947年9月11日生まれの御年68歳。『おしん』(NHK)や『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)といった国民的なドラマの顔であり、近年になっても『マッサン』(NHK)で存在感を見せつける大女優の中の大女優だ。おそらく、日本中で彼女を知らない人間はいないのではないかといえるほどの大御所であり、日本のテレビの歴史を支えてきたひとりであるといっても過言ではないだろう。

 とはいえ、彼女は最初から女優としてそのキャリアをスタートさせたわけではない。10月12日に放送されたTBS60周年特別番組『TBSもさんまも60歳 伝説のドラマ&バラエティ全部見せます! 夢共演も大連発SP』ではレジェンドとしてゲスト出演した泉ピン子だが、初めてのTBSバラエティ出演は『決定版!!尾行大作戦』という、いわゆるドッキリ番組。当時は女優ではなく歌謡漫談家であり、スタジオでニセのケーキの中から飛び出すという、若手芸人的な扱いだった。

 そう。泉ピン子は、芸人なのだ。そしてそれを見事に証明したのが、10月9日に放送された『世界の村で発見!こんなところに日本人 2時間SP』(テレビ朝日系)であった。大御所である泉ピン子が、番組MCの千原ジュニアと2人で旧ユーゴスラビアへ出かけ、日本人を探すという海外ロケ。このロケにおいて泉ピン子は、恐ろしいほどの現役感を見せつける。これがロケの教科書である、と言わんばかりの完璧なロケタレントとしての仕事を成し遂げていた。

 そこで今回は、同番組での海外ロケにおける泉ピン子のすごさを検証してみたい。ただの大御所女優ではない、現役バリバリのロケ芸人としての泉ピン子が、そこには確かにいたのだ。

(1)最初に演出プランを宣言する

 泉ピン子がロケVTRで放った最初の一言が、以下である。

「今日はですね、人を探して歩くというこのテーマですね。私はテレビを常々見ながら、なんてタレントはブーブーブーブー文句を言うんだろうと。私はさわやかに、人を探してみたいと思います」
 
 この最初の一言によって、視聴者の見方が決定される。ここが、まずすごい。「人を探す」という番組のテーマはもちろん存在しているのだが、そこに「さわやかに人を探す」という演出を乗せると宣言するのだ、泉ピン子は。これは、視聴者に対してのわかりやすい誘導となる。このVTRをどう見ればいいのかという、いわば解説書を、最初に視聴者に呈示している。

 すると視聴者は、果たして泉ピン子は本人が言うように「さわやかに人を探す」ことができるのだろうか、という期待値とともに番組に参加することになる。実際はかなり早い段階で文句を言いだすのだが、それはあくまでも結果論に過ぎない。泉ピン子は冒頭で早くも、視聴者にとっての最初の入り口として見方を呈示するという、基本ではあるが、重要なテクニックをさりげなく披露するのだった。

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