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まさに歩く治外法権!? 『ジョン・ウィック』が描く“顔パス・アクション”の痛快さ

【リアルサウンドより】

 引退した伝説の殺し屋ジョン・ウィック(キアヌ・リーブス)が、妻が遺した犬を殺したロシアンマフィアへ復讐を遂げる……! このシンプルなストーリーを、スタイリッシュかつパワフルなアクションで見せ切るのが本作『ジョン・ウィック』である。

 普段は平凡な(場合によっては平凡以下の)人間に見えて、実は超人的な戦闘能力を秘めている主人公が、ある事件をキッカケに、その本質を開放する……近年では『96時間』『アジョシ』『イコライザー』など、世界中で定番となっているジャンルである。なぜ、この手の映画は定番なのか? その魅力を端的に表現するなら、圧倒的な強さで悪党を制裁する爽快感の疑似体験だ。前半部分の平凡な生活パートで主人公に感情移入し、後半の大暴れで溜飲を下げる。そして劇場を出る頃には、すっかり主人公になりきって、自分まで強くなった気になっている。あの感覚こそ、このジャンルの最大の魅力だ。そして、『ジョン・ウィック』はこの手のジャンルの新たなる名作だと言える。

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 本作の見どころは二つある。一つは、様々な工夫をこらした銃撃戦だ。カルト的な人気を誇る傑作『リベリオン 反逆者』のガン=カタを彷彿とさせる、近接格闘技+銃というアプローチをしつつ、ガン=カタにはなかった投げ技や寝技を取り入れ、より立体的なアクションを創りだしている。そのケレン味も見事だが、銃の持ち方や、素早いリロードのアクション、寝技の取り合いなど、細かいがリアリティのある動作もツボを押さえている。このアクションは、ドラマの文脈から切り取って観ても、十分に興奮できるクオリティだ。

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 しかし、本作の見どころはそれだけではない。もう一つの見どころは、その独特な世界観設定だ。本作の斬新なところに、魅力的な裏社会の設定と、その裏社会の人間なら誰もが主人公を知っているという点がある。

 たとえば先にあげたように、『96時間』などは、同作と同系統の映画ではある。しかし、これらの主人公の特殊なスキルは「知る人ぞ知る」という範疇に収まっていた。協力者や、主人公の過去を知る者たちは存在するが、彼らはいずれも「個人」のレベルだった。

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 だが、『ジョン・ウィック』は違う。同作の世界には、表の社会とは別に、殺し屋やマフィアが蠢き、独自のルールに支配された「裏の社会」が存在しているのだ。その世界の描写は極めて漫画的だ。殺し屋たちが集まるホテルや、様々な場面で使用される謎の金貨など、魅力的な設定が随所に用意されている。しかし、それらはあくまでスパイス程度に留めてある。設定はあくまで設定として、押しつけがましくない程度に描かれる。このバランス感覚が心地よい。

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