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高畑裕太事件の裏に芸能界の体質? 千原ジュニアがキム兄と女性連れ込み暴行を『すべらない話』で笑い話に…

chihara_160826_top.jpg吉本興行株式会社HPより

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】

 俳優の高畑裕太容疑者の強姦致傷事件が勃発以降、各局ワイドショーは連日のようにこれをトップ扱いで大きく報じ続けている。そこにコメンテーターとして出演する芸能人たちもこの事件を深刻そうに語っている。

 千原ジュニアもそのひとりだ。千原は8月25日に放送された『白熱ライブ ビビット』(TBS系)で高畑容疑者が俳優デビューして以降、環境が激変したとしてこんなことを語っていた。

「道を歩いていても、”ファンです”とか”握手して、サインして”とか、環境が変わった中で、どこかで”俺やで”っていうのがあったんじゃないか」

 つまり、”自分は芸能人だから何をしても許される”という傲慢さが高畑容疑者にあり、その甘えや慢心が事件を起こしたのではないかと言うのだ。高畑の事件の真相はまだはっきりわかってはいないが、芸能人だから許されるという驕りは確かに芸能界に蔓延しており、うなずける部分はある。

 だが、千原ジュニアのこの解説を聞きながら、頭をよぎったのは「それ、お前が言うか」というツッコミだった。

 というのも、ジュニアには、それこそ、「芸能人の奢り」丸出しで、女性を暴行しようとした事件の現場に”共犯者”として同席していた過去があるからだ。

 言っておくが、これは噂話で書いているわけではない。ジュニア自身が公共の電波で笑い話として語っているのだ。

 それはいまから6年前の2010年6月26日に放送された『人志松本のすべらない話』(フジテレビ系)でのことだった。番組に登場した千原ジュニアは先輩芸人の木村祐一とある女性と、3人で食事をしたエピソードを語りだした。

「まあ、ええ感じになって、お互い大人ですから。当時キム兄が住んでいた、ひとり暮らししていたマンションに、ちょっと一緒に行こうと」

 だが、部屋に入った木村は女性に「ごそごそごそ」と”何か”をしようとしたという。

「夜も更けてるんですよ。大人ですから、そりゃ、そうなるでしょうということで。そんで行ったんです。マンションに。ほんで部屋に入りはって、なんか、ごそごそごそ、と。ほな、ばーって女性が出てきて。どうやら『私はそんなつもりで来たじゃない』と。夜中も1時2時ですよ? そんなつもりじゃない言われたって、いやいや、それ以外何があるんですか?と。お互い大人で」

「それ以外何があるんですか?」という千原の感覚にまず唖然とするが、問題はその後、キム兄がこの女性に対してやったことだった。

「これはキム兄キレてるぞと、ばっと見てみたら、鬼通り越して、素の顔してるんですよ。ほんで『帰れー!』とか『出て行けー!』とかということで、声を荒げて終わんのやろと思った」
「なぜか冷蔵庫の上、冷凍室を開け、冷凍室をパッて開けたんですよ。え? 何すんのやろと思ったら、『これなあ』って、カッチカチの鶏肉を『これな、いらん鶏肉やから、俺はいまからこれを捨てんねん』って言ってて、いまもう帰ろうとしている、ハイヒールを履こうとしている女の子の足元にゴーンっと」

 女性が自分の意のままにならないとキレて、当たれば大怪我をしかねないものを投げつけて威嚇する。とんでもない話だが、しかし、ジュニアは木村を非難したわけではない。鶏肉を投げるポーズや、玄関に凍った鶏肉が転がる様子をジェスチャー付きで説明しながら、この話をまさに「すべらない話」として面白おかしく語り始めたのだ。

 しかも、話はこれだけで終わらなかった。キム兄はその後も、帰ろうとする女性に、「いらん鶏肉を捨ててるだけや」と鶏肉を投げ続けたのだという。

「なんとかハイヒール履いて、女の子がバーっと出て、エレベーター押すねんけどキム兄ももちろん出てきて。『俺は、いらん鶏肉を投げてるだけや』。コーーンと。エレベーターの前で待ってる女の子の足元にコーンと。全然エレベーター開かないんですよ。ほんで女の子は階段でカカカカーンと走っているなか、『いらん鶏肉捨ててるだけやね〜ん!』と(周囲は爆笑)。鶏肉がハイヒールを追いかける(笑)」

 これはもはや「威嚇」どころではない。被害者が訴え出ていれば、暴行罪、脅迫罪が成立してもおかしくない事件ではないか。

 そして、千原ジュニアの話を聞くかぎり、ジュニアもその場にいて、木村の行為を目の辺りにしながら、止めることもせず、笑って見ていたとしか思えない。それどころか、女性に対して「そんなつもりじゃない言われたって、それ以外何があるんですか?」という理不尽なセリフを投げつけていたのを聞くと、千原もある種の”共犯”だったんじゃないかという印象さえ受ける。

 しかも、もっと呆れるのは、千原ジュニアがこれを”武勇伝””笑い話”としてテレビ番組で披露し、松本人志はじめ共演者の芸人もこのジュニアの話に大爆笑していたことだ。

 つまりこれは、この松本人志まわりの芸人たちに、そういう女性をモノ扱いする価値観、「芸能人に口説かれたらやらせるのが当然」という傲慢な感覚が共有されているということだろう。実際、芸人の世界では、後輩にナンパさせ、合コンをセッティングさせて、強引に女性を口説くということが日常茶飯事になっており、週刊誌ではレイプまがいの噂もしばしば書き立てられてきた。事件になっていないのは、女性が泣き寝入りしているからというだけではないのか。

 今回、高畑裕太のやったことは絶対に許されることではないが、こうした女性をモノ扱いする姿勢、芸能人だからという特権意識は芸能界に蔓延している。いや、芸能界だけじゃなく、フジテレビがこんなトークを平気で放送したことからもわかるように、テレビ業界もそうした価値観からまったく抜け出せていない。

 これでよく自分たちのことを棚上げして高畑裕太を弾劾できるものだ、とその厚顔ぶりにうんざりさせられるが、しかし、彼らを注意深く見ていると、その意識はそこかしこに表れている。

 たとえば、今回の事件で、ワイドショーの司会者やコメンテーターたちが、高畑裕太の何を責めているかをチェックしてみればいい。彼らがいちばん熱心に口にしているのは「どれだけ周りに迷惑をかけたのか」「撮り直しでどれだけの人がカバーしなきゃいけなくなったのか」ということで、被害者の女性のからだや心に一生残るような傷をつけたことについては、ほとんど申し訳程度にしか語らないのだ。これだけを見ても、彼らがいかに、「レイプ」という犯罪を甘く考えているかがよくわかるだろう。

 さらに、千原ジュニアにいたっては、先の『白熱ライブ ビビット』でこんなことも言っていた。

「憶測ですがフロントの女性に歯ブラシを部屋まで持ってきてもらった時に”俺やで”ってことで、そこで自分が思っていた言動とは違う動きを女性がされたのでは、と思ってしまう」

 オブラートに包んだ話し方をしているので、なんとなく聞き逃してしまいそうになるが、「芸能人の”俺”なのに、女性がそうした対応をしなかったから事件が起こったのでは」と言っているのだ。これは、まさに6年前に『すべらない話』でキム兄の暴行話を面白可笑しく語っていたときとジュニアの感覚が変わっていないことの証明ではないか。

 今回の事件報道で浮き彫りになったのは、高畑裕太という駆け出し二世タレントの特別な犯罪ではなく、その背後にある芸能界とテレビ業界の女性を性処理の道具としてしか見ていない、女性差別丸出しの体質だ。

 こうした事件を二度と起こさせないためにも、この機会に、テレビ局員や芸能人にひどい目にあわされた女性たちが勇気をふりしぼって声を上げてくれることをぜひ願いたい。
(林グンマ)

最終更新:2016/08/27 07:30
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