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NHK『あさイチ』名物コーナー「アッキーがゆく“復興の地”」が伝える、6年目の被災地と復興の意味

NHK『あさイチ』名物コーナー「アッキーがゆく復興の地」が伝える、6年目の被災地と復興の意味の画像1NHKオンライン『あさイチ』より

 東日本大震災から今年で6年。毎年、この時期になると、各局で震災特集や特番が放送されるが、そんな中、いい意味で肩の力を抜いて見られる番組がある。NHK『あさイチ』の名物コーナー「アッキーがゆく“復興の地”」だ。

“アッキー”ことタレントの篠山輝信が、バスや列車を乗り継いで岩手・宮城・福島を訪ねる、約650キロの旅。毎年3月11日前後の1週間放送される15分ほどのミニコーナーなのだが、アッキーの人間性がにじみ出る等身大のリポートは、他局のそれとは一線を画している。

 アッキーはもともと、同番組で地域の情報を生中継するコーナー「ピカピカ☆日本」のリポートを担当。そこで培われた素人とのやりとりは抜群で、また、母・南沙織譲りのチャーミングな笑顔と天真爛漫なキャラクターは、V6・井ノ原快彦、有働由美子アナ、柳澤秀夫解説委員に次ぐ『あさイチ』の顔として、視聴者に愛されている。

 バスや電車が復興し始めた2013年から始まった復興の旅は、今年で5回目。「5(年目)という数字の上では区切りのいい次の年(6年目)だからこそ、しっかり自分の目で今の東北を見つめたいと思って行ってきた」と話すアッキーが初日に向かったのは、岩手県久慈市に隣接する野田村。NHK朝ドラ『あまちゃん』ブームも落ち着き、最近は観光客も減少。アッキーが毎年楽しみにしている「鮭いくら弁当」も、4年前の1日限定10食から昨年は3食になり、今年はついに2食になってしまった。さらに、昨夏の台風10号による川の氾濫で、鮭のふ化場が壊滅。川の鮭がまったく獲れなくなってしまったという。「なんでこの地域の人たちが、こんな目に何度も遭わなきゃいけないんだろう……」とショックを受けるアッキー。

 そんな中、明るいニュースもあった。村で採れる山ぶどうを使ったワインの工場が完成したのだ。「野田村でこんなロケするとは思わなかった!」と興奮気味で工場内をレポートし、さらに併設されたテイスティングルームで試飲。雪化粧がまぶしい絶景をバックに、この日一番の笑顔を見せるのだった。

 2日目に訪れたのは、宮古市田老地区。一昨年、仮設商店街「たろちゃんハウス」からいち早く本設店舗再建を果たした時計写真店を訪ねると、街に人も活気も戻らない現状に、店主の津田さんは「当時(震災後)は無我夢中で頑張ってきたけど、落ち着いて振り返ってみると、これからどうなるんだろうと不安になる。今、自分は一番つらい」と漏らす。

 続いて、同じく仮設商店街から昨年11月に再建したばかりの善助屋食堂へ。1年前は本設店舗オープンに向け、新メニューを開発するなど、意欲を燃やしていた店主・赤城さんだったが、今回は表情が暗い。再建したばかりの店と、来月高台に建つ新しい家のローンは、あと30年。65歳の赤城さんにとっては、気の遠くなるような年月だ。「どういった状況になったら、赤城さんにとって復興になるのか」とアッキーが尋ねると、「一生想像がつかない」とポツリ。「震災前はがむしゃらに働いてきて、老後は習い事をしたり、のんびりしようと思っていたのに……なんで今、こんな思いをしなくちゃいけないのか」と、うっすら涙を浮かべながら語った。

 津田さんや赤城さんのように、震災後、街に活気を取り戻そうと頑張ってきた商店主たちの多くは、決して甘くはない6年目の現実に心が折れそうになっている。そんな彼らが本音をこぼせるのも、毎年現地を訪れ、関係性を築いてきたアッキーだからだろう。

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