「アニメイト」は女性向けショップになってしまったのか!? 池袋本店のスタッフに質問をぶつけてみると……
アニメグッズを取り扱う「アニメイト」。1983年のオープン以来、店舗は全国に広がり、アニメ・マンガ・ゲーム好きの人であれば、一度どころか何度もお世話になっているだろう。
そんなアニメイトに対し、近年こういった声がちらほら上がっている。
「アニメイト女性客多すぎ」「女の人が多くて行きづらい」「男には行きづらい環境」「アニメイトは完全に女向けになった」「いつの間にか女性向けの店になっている」
たしかに、昨年アニメイトは“女性のためアニメショップ”をコンセプトとした「AKIBAガールズステーション」を秋葉原にオープン。また、店舗を訪れると、どことなく女性向けタイトルのグッズのが多い気がする……?
こういった背景もあってか、ネットでささやかれる“アニメイト=女性向けになってしまった”疑惑。今回はアニメイトの総本山・アニメイト池袋本店の三枝謙介さんに、この疑惑をぶつけてみることにした。
■全国的に見ると、男女比はほぼ同じ
―― 「アニメイトは女性向け」という声がちらほらありますが、聖地・乙女ロードがある池袋本店で勤めているとなると、そのように感じることが多そうです。
三枝謙介(以下、三枝) 人気作品のグッズ販売に女性客の長蛇の列が出来たとか、そういうところでネットで目立ってしまう部分があるのと、特に池袋本店に関しては池袋という土地柄、女性のお客様が集まるので、その部分が強調されてしまっている気がします。
―― 全国的に見ても、女性客のが多いのでしょうか?
三枝 池袋本店の前は地方のアニメイトにいたんですけど、そこでは近隣にアニメショップがないということで、男性のお客様も多く来ていました。全国的に見ると、男女比はほぼ同じかと。でも、最近で言えば『ユーリ!!! on ICE』とか、女性向けで盛り上がっているコンテンツがあったりすると、女性客が増えたりしますね。
―― 客側から見ると、アニメイトはなんとなく女性向け作品のグッズのが広く展開されているようにも感じるのですが……。
三枝 たしかに、トレーディング系のグッズに関しては、女性向けが増えてきているなと感じています。ただ、クリアファイルとかアクリルキーホルダーとか、キャラごとのグッズになると、池袋本店でも男性が「『ごちうさ』のチノちゃんめっちゃ推すわ」的な感じで買っていかれることもありますね。
―― となると、CDとかDVDの売り上げについても、男女差はあまりないのでしょうか?
三枝 パッケージに関しては、『ユーリ!!!』のように、女性向けで流行りの作品が盛り上がっている時は、みんな『ユーリ!!!』の商品を持って並んでいるって見え方になるので、目立つというのもありますね。CDで言うと、そもそもどこからどこまでが男性向けなのか、女性向けなのかという線引きはないですね。男性ファンもついている男性声優さん、女性ファンもついている女性声優さんがいますしね。なので、トータルで見ると売り上げはそんなに変わらないのかなと。やっぱり池袋本店はそれなりに女性向けが強い部分がありますが、全国で見るとあんまり変わらないと思います。
―― やっぱり女性は池袋本店、男性は秋葉原店という感じで、多少客層も変わってくるんですかね。
三枝 たしかに街の雰囲気からして、秋葉原店の方が池袋本店に比べて男性の比率が高くはありますが、かわいい女の子キャラが好きな女性客も秋葉原店にいらしてます。
―― 池袋本店だけが、かなり特殊ってのもあるんですね。たしかに、週末に訪れると女性客が多いイメージがあります。
三枝 そうですね。でも、グッズフロアに関しては、女性ばかりの時もあるんですけど、フロアによっては男性の方も見られますよ。近くにお住まいの方だったり、埼玉の方とかでもより多くの品揃えを求めて池袋本店に来ていただいているってのもあるかなと。
■女性向けだと思われているのは「もったいない」
―― アニメイトと言えば、さまざまなキャンペーンやフェアをしていますが、池袋本店は女性向けの施策が多かったりするのでしょうか?
三枝 フェアやキャンペーン自体は全国で開催されるものなので、男性向け、女性向けと偏ることはないですね。中には男性向けに結構ネタに走ったようなものもあって。前にTwitterで話題になった「お母さんと一緒にアニメイトに行こう!」フェアの時は、池袋本店にも男性客がノリノリで来てくれました。
―― 「お母さんと一緒にアニメイトに行こう!」はネットでかなり話題になっていましたね。実際どんな感じだったんですか?
三枝 実際にお母さんを連れてくるパターンもありましたね。あとは母性を感じるキャラクターを出してきたりとか。あとは池袋本店では、お母さんの代わりとしてくまの人形を置いたので、それを抱えてくるお客様もいました。友達同士でも「ちょっと母性を感じる人」を連れてきたり。あと「岡(おか)さん」とかもいましたね。
―― 勝手なイメージかもしれませんが、男性の方がそういったネタにノリノリで応じてくれる印象があります。
三枝 男性のノリが良いと言いますか、そういったところで冷めないと言いますか。ネタを用意すると全力で乗ってきてくれるっていう素養があるのかなって。あとはバレンタインの時、『ご注文はうさぎですか?』の合言葉を言う企画をやった時は、結構男性が来てくださって。みんなちゃんと合言葉(「こころぴょんぴょん」など)を元気よく言ってくれるんですよ。そういったところはありがたいなと思うし、これからも増やしていきたいですね。
―― そのような男性客の盛り上がりもあるのに、アニメイト=女性向けのような声があると。
三枝 僕もネットを見ていて、「アニメイト女性なんか多いな」っていうツイートを見かけるんですよね。全然そんなことないのに。池袋本店が顕著なだけであって……。
―― 結構男性客もいるよと。
三枝 池袋本店=アニメイトの全部っていうイメージに見えやすいのかもしれません。
―― 私は新宿店によく行くんですけど、1階はほぼ女性向けグッズが置いてあるイメージなんですよね。
三枝 新宿店は、夜は男性客が多いです。池袋本店よりも営業時間が長いこともあってか、仕事帰りのサラリーマンが多いですね。会社からの帰宅ついでに漫画買ってこう、予約したDVD引き取って土日に見よう、みたいな。特に金曜日なんかは男性客が多いと聞きます。
―― いろんな路線のアクセスもありますし、そういった需要は高そうです。
三枝 そうですね。また、商品の陳列に関しては、たとえば人気のタイトルだったら、ある程度まとまった場所で広くと展開しないと、商品が並べられなかったりするんですよね。あとはお問い合わせが多いので、わかりやすいところに置いているのもありますね。
―― 店頭で目立ちやすいのが女性向けなのかなと。
三枝 男性のほうが、一つの作品をずーっと好きでいる方が多いような印象があります。放送が終わっても、何年間もその作品をずっと大好きみたいな。女性は、長く応援している方もいらっしゃいますが、新しいものも好きなので、どうしてもブームが目立ちやすいのかなって。
男性向けで言えば、以前『ハルヒ(涼宮ハルヒの憂鬱)』ブームがありましたが、去年に池袋本店で「涼宮ハルヒの大成-Super Blu-ray BOX-発売記念オンリーショップ」を開催した時に、どっから出てきたんだってくらい男性客がいらしてくれて。しかも、みなさんBlu-ray BOXを買ってくださるんですよね。そういうのを見ると、男性向けは根強いなと感じますね。
―― 池袋本店だけに限らず、全店舗を通じて、どのような客層を狙っているのでしょうか?
三枝 どこかの客層を狙おうということはありません。アニメやマンガが好きな人だったら、みんな楽しめるようにはしたいと思っています。アニメなどが好きな方が来た時に「楽しいな」って思ってもらえるようなお店作りはしていきたいなと。
―― “アニメイト=女性向け”というイメージを脱却したいという気持ちはありますか?
三枝 そう思われているのはもったいないなという部分はありますよね。男性でも楽しめる施策やフェアをやっていたりしますし。先程の池袋本店は“穴場”の話じゃないですけど、品揃えの部分では、どなたでも満足できるお店を目指しているので、もうちょっと“知ってほしいな”と思います。
そういった意味では、僕らもこういった取材をしてもらうのは、知ってもらう一環としてすごくありがたいですね。記事を通して、男性の方にも「女性向けだけじゃないかもしれない。一回行ってみるか」と思っていただけると嬉しいです。
アニメイトは全国にありますので、アニメ・コミック・ゲームが好きな方はぜひ一度来てください。どなたでもお待ちしております!
(編集部)
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