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利用者の不信感を煽るTwitter社の「ルール適用」。永久凍結された菅野完アカウントと放置された差別的表現

 著述家・菅野完氏のtwitterアカウントが凍結されたことが話題になっている。菅野氏は、右翼・保守を自称し、これでまでに反原発・反差別といった活動や、『日本会議の研究』(扶桑社)の出版、森友学園問題などで注目を集めてきた人物だ。

 菅野氏のアカウントが凍結されたのは9月19日未明。凍結に気付いた菅野氏は自身のFacebookに、永久凍結されたこと、Twitter社が原因を開示してくれないことなどを投稿。ツイッター社への働きかけを呼びかけている。

 過去にも触れた通り、今月8日にはヘイトスピーチを放置しているとして、市民グル―プ「TOKYO NO HATE」がTwitter社日本法人のオフィスが入るビルの歩道に民族差別・性差別的なツイートを印刷した紙を貼り、踏みつけるというパフォーマンスを行ったばかりだ。

 Twitter社は前日の7日に、「Twitterへの多くのご意見をありがとうございます。すべての方が安心してご自分を表現いただける場にしたいと考えている中、ご期待に添えていない現状を真摯に受け止めています。最近、日本対応チームを拡充し、早急な問題解決に向け動いています。また状況をご案内させてください」とツイートし、今後の対応が注目されていた。

 水原希子氏へのヘイトツイートの例を挙げるまでもなく、Twitter上では様々な差別的言動が投稿されている。中には数万単位のフォロワーを持つ著名人やネット上での有名人が民族差別的言動を行ったり、あるいは扇動するようなツイートを投稿している。先のパフォーマンスで貼られていた差別的ツイートは氷山の一角でしかない。

 こうした現状の中で、なぜそうしたアカウントは放置し、菅野氏のアカウントが凍結されるのだ、と憤慨するツイートが無数に投稿され、複数の媒体でtwitter社への対応に疑問を呈する記事が掲載されている。現政権の意向によるものではないかという陰謀論めいたものすら出始めているほどだ。

 BuzzFeedJapanによれば、菅野氏のアカウントが凍結された理由は、「特定の人物に向けた嫌がらせ行為に関するルール」に該当したためということだ(「「このアカウントは復活されません」Twitter社が菅野完さんに宣告 やり取りが判明」)。それに対し菅野氏は「どのような嫌がらせをしたのか」、そして「攻撃的なメンションへの対応」「著名人・政治家の差別的言動への批判以外の事例は心当たりがない」と反論しているようだ。

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 twitter社はtwitterルールとして、いやがらせ行為を以下のように定めている。

・嫌がらせ: 特定の人物に向けた攻撃的な行為や嫌がらせを禁じます。攻撃的な行為に該当するかどうかの判断では、以下の点が考慮されます。
 ・報告されたアカウントが、主に他者に向けて嫌がらせや攻撃的なメッセージを送信するために使用されている場合
 ・報告対象の行為が一方的であるか、あるいは脅迫を含む場合
 ・報告されたアカウントが他のアカウントへの嫌がらせを扇動している場合
 ・報告されたユーザーが複数のアカウントから1つのアカウントに向けて嫌がらせのメッセージを送信している場合

 菅野氏に心当たりがないだけで、実際にはこのルールに抵触するようなツイートを行っていた可能性はありえる。その場合、今回のtwitter社の対応が必ずしも間違いだとは言えないだろう。一方で、こうしたルールを厳密に守るのであれば、例えば水原希子に浴びせられているヘイトなどへの対応も同等に対応しなければならないだろう。twitetr社はヘイト行為として「人種、民族、出身地、性的指向、性別、性同一性、信仰している宗教、年齢、障碍、疾患を理由とした他者への暴力行為、直接的な攻撃、脅迫の助長を禁じます。また、以上のような属性を理由とした他者への攻撃を扇動することを主な目的として、アカウントを利用することも禁じます」とルールに明記をしている。

 なお上述のBuzzFeedJapanの記事では「利用ルールが幅のあるものになるのは、ある程度仕方ない」とした上で、「『特定の人物に向けた攻撃的な行為』があったというなら、それが誰に対するどんな発言だったのかを知らせたほうが、納得感は高まるのではないか」と書かれていたが、こうした対応は非常に危ういものだろう。「特定の人物」が明らかになることによって、報復が行われたり、攻撃が激化する可能性も十二分にあるだろう。

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菅野氏の差別的言動をどう評価する?

 現状を顧みると、菅野完氏を凍結するより先にするべきことはあるのではないかという意見は一理ある。だがこれまでも多々指摘されてきたように、菅野氏自身、非常に乱暴な言葉遣いをする人物でもある。例えば過去には他のツイッターユーザーとのやりとりの中で、「いいえ。レイシストは死ぬべきだと言ってるんです。レイシストは知恵遅れでありキチガイであり犯罪者なのでなんだったらいますぐ死ねと言ってるんです」というリプライをしている。説明するまでもなく、「知恵遅れ」や「キチガイ」は精神障害者への差別的表現だ。このツイートは、レイシストを批判する目的でこれらの言葉を使っているのであり、見下しの言葉として使用している。こうしたツイートが問題ではない、ということはないだろう。

 今回の凍結処分については、特定の人物に対する嫌がらせが理由とされているため、こうした言葉遣いをtwitter社が問題視したというわけではなさそうだ。しかし、だからといって差別的言動を肯定していいわけではない。twitter社の対応を批判する人びとは、こうした菅野氏の言動に何を思うのだろうか。

 一方で、菅野氏が凍結されたことを歓迎する人々では、菅野氏が差別的表現を使っていたことに言及し、twitter社の対応は妥当であるとするものもいるが、その中には日常的に民族差別など、差別的な言動を繰り返すものもいる。そうした人は、菅野氏が凍結されたことで溜飲を下げたいだけなのだろう。自身の言動を顧みることなどする気配もない。

 現在ネット上では、twitter社に対して、菅野完氏のアカウント凍結解除を呼びかける署名が始まっている。twitterには、様々な立場にある人びとが参加している。今後、twitter社がどのような対応をとるのか、注目していきたい。
(wezzy編集部)

最終更新:2017/09/21 07:15
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