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読売新聞がジャーナリストを“言いがかり”で言論封殺(前編)

 調査報道の活動に対して、報じられる側から圧力や嫌がらせを受けるケースは、決して珍しくはない。ところが、事もあろうに大手報道機関が、ジャーナリストに対して妨害工作を起こすという、信じがたい事態が発生した。日本最大の発行部数を誇る読売新聞社が、フリージャーナリストの黒薮哲哉氏に対し、著作権法の強引な解釈と司法制度を用いて、その言論活動を制限させようとするかのような行為を仕掛けてきたのである。

 黒薮氏は、以前から新聞業界に関するさまざまな問題点について、独自に取材を続けてきた。たとえば、そのひとつに「押し紙」問題がある。「押し紙」というのは、簡単に言えば新聞社本社が発行部数と売り上げの増加を意図して、各販売店に対して新聞を割り増しして押しつけるものである。つまり、新聞社本体が利益確保のために、末端の販売店に「無理やり買わせている」という性質のものと考えればよい。

 こうした「押し紙」をはじめとして、新聞業界の問題点や不祥事は、当の大手新聞やその系列であるテレビでは取り上げられることなく、一般に知られることもほとんどない。そうした新聞業界の、いわばタブーに対し、黒薮氏は地道に取材を続け、自らが運営するインターネットサイト『新聞販売黒書』や、ニュースサイト『My News Japan』などで報じていた。

 そんな中、異変が起きたのは昨年12月のことである。黒薮氏は以前から、読売新聞社が優越的地位を乱用したことで、福岡にある同紙販売店とトラブルになっている件について取材を続けていた。そして、トラブルの当事者である読売新聞社西部本社に所属する、法務室長の江崎徹志氏が販売店側の弁護士に送付した資料(読売新聞販売局社員が、この販売店を訪店することを確認した文書)を入手。これをトラブルに関係する資料として『新聞販売黒書』に引用する形で掲載した。

 すると、江崎氏から当該記事について、「3日以内に削除するように求める。従わない場合には法的手段も辞さない」という趣旨の「催告書」が送られてきた。

 この催告書とは、相手に対して意思や要望を伝え、なんらかの行為を求める文書である。どちらかといえば事務的な書類であることがほとんどだ。そこで黒藪氏は、その送りつけられた催告書も、トラブルの経緯を示す資料として同サイトに掲載した。

 ところが、江崎氏はそれに対して、掲載された催告書の削除を求める仮処分を東京地裁に申し立てた。申し立ては、著作権者を自認する江崎氏個人によるものとなっているが、代理人を務める弁護士は読売新聞社の代理人と一緒。事実上、読売新聞社が、法的手段に出たのである。

 しかも、東京地裁はこの申し立てを認め、1月22日に黒薮氏に対して削除命令を下した。その結果、黒薮氏はこれに従い、掲載されていた催告書をサイトから削除することになったのだ。
(橋本玉泉・文/後編へつづく

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最終更新:2008/06/19 23:35
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