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【短期集中連載】発生から1年「新宿駅痴漢冤罪暴行事件」の闇(4)

追跡レポートをOA直前に封印したテレビディレクターの謎の行動

ukisima1209.jpg新宿駅西口で目撃証言探しの呼びかけを行う母
・尚美さん。事件時刻に合わせて行うため、帰り
は毎晩深夜になるという。

 これまで、私大職員の原田信助さんの自殺の背後に浮かび上がった、警察やJRによる非道で不可解な言動の数々をお伝えしてきた(【1】【2】)。さらにその不可解さは、信助さんの母・尚美さんを密着取材してきたテレビ局の動きにまで及んだ(【3】)。

 今年6月9日、尚美さんの携帯にかかってきた奇妙な電話。電話の主のである民放キー局AのIディレクターの声は、今までにないほど興奮し、取り乱していた。

「お母さん、大変です! 信助さんが他の女性のお腹をさわっているように見える別の映像が発見されました。新宿警察署で保管していますので見に行ってください。いまタクシーでそちらへ向かいますから!」

 尚美さんには電話の内容が理解できなかった。何より、前日に行なわれたある番組の屋外撮影が深夜までかかり、これが原因で風邪をひいて寝込んでいたため、「申し訳ないですが、後日にしていただけませんか」と頼む。「何言ってんですか! そんなこと言ってる場合じゃないんですよ! すぐ準備してください!」。返ってきたのはI氏の怒号だった。

 I氏の勢いに「何かとんでもないことが起こっているのかもしれない」と不安になった尚美さんは、風邪をおして起き上がり、指定場所のカラオケルームへと急いだ。着いてみると、そこにはI氏と、I氏が担当しているニュース番組のキャスターが所属しているプロダクションの幹部、そして尚美さんと同様に呼び出された顧問弁護士のH氏の3人がいた。そこでI氏が話しはじめた内容は、次のような信じ難いものだった。以下、尚美さんの証言からポイントをまとめる。

・信助さんが生前、事件とはまったく無関係の別の女性のお腹を、すれ違いざまに触っているかのように見える画像が数枚、このほど新宿駅の改札付近の防犯カメラの記録の中で発見された。

・その画像が新宿警察署にあり、副署長のU氏が管理している。

・これからすぐにそれを見に行ってほしい。

・この画像が事実であれば、(信助さんが女性のお腹をさわる性癖を持つ痴漢の常習者であった可能性があるため)ニコニコ動画やF局などで放送するのは止めたほうがいい。

・もし、これから新宿署に行かないというのなら、A局で放送予定の2つの番組(I氏のニュース番組と朝の情報番組『S』)は放送を中止する。

 いったいなぜ、民放テレビ局のディレクターが新宿警察署のU副署長のメッセンジャーを務めているのか、尚美さんがなぜ「それ」を見に行かなければならないのか、そして、なぜ見ないとA局が放送をとり止めるのか――尚美さんにはすべてが理解できなかった。

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