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痔の薬がサプリに!? 食品メーカーのグレーな戦略(後編)

ekona.jpg花王が製造・販売している食用油エコナ。厚労省に
よりトクホの認可を受けているが、安全性が問題視
されたことも

前編はこちら

検査方法に異議アリ!?
健康食品の“盲点”

 たとえば、ダイエット用サプリメントの原料である「メリロート」。このメリロートを摂取した人で肝機能障害を起こした人がいると、厚労省から発表された。 

 03年6月よりDHCのメリロートを摂取した人が、翌月から疲れを感じるようになり、黄疸を発症。入院して回復した後、同じ商品を摂取したところ、症状が再発した。ほかにも、DHCのメリロートとブルーベリーエキスを同時に摂取した人が、肝機能値の上昇を指摘されて入院。担当医から保健所に通報されることになった。

「メリロートは、ヨーロッパからアジアにかけて広く分布するマメ科のハーブ。有効成分のクマリンには血行を良くする働きがあって、日本では主に痔のクスリに使用されています。その血行改善作用に着目して、むくみやセルライト(むくみの慢性化によって脂肪に老廃物や脂肪細胞同士が付着してできる、脂肪のかたまり)を取り除くダイエット食品として販売されるようになったんです」(植田氏)

 このメリロートは、医薬品として使用されているものだ。もちろん、これらは法律によって、医薬品にも食品にも使用が認められているものだが、DHCのサプリメントにはさらに大きな問題があったという。

「メリロートを医薬品で使用する場合、クマリンの最小量と最大量の基準が決められています。しかし、食品としてメリロートを使用する場合は、まったく規制がありません。そして、DHCのサプリは、1日の摂取目安量に含まれるマクリンの量が9・2mgと、医薬品で定められている最大値「4・0mg/日」の2倍以上だったんです。」(同)

 これについて、厚労省は被害事例を公表しただけ。それを受けてDHCは摂取量目安を3粒から2粒に減らして、今も同商品を販売し続けている。

 ほかにも、06年7月28日、DHCの清涼飲料水「アロエベラ」は、水道水の基準値の7倍を超す発がん性物質であるベンゼンが検出され、厚労省から自主回収を要請された。保存料である「安息香酸」と酸化防止剤の「アスコルビン酸」がある条件下で反応し、ベンゼンが発生すると、英国をはじめとした諸外国が公表。それを受けて、厚労省が両成分を添加した製品について検査を行ったところ、同社製品から「WHO飲料水ガイドライン(第3版)」のベンゼンに関するガイドライン値、および水道法における水道水のベンゼンに関する基準値である10ppbの7倍以上となる73・6ppbが検出されたのである。

 このように、さまざまな成分を組み合わせた結果、人体に有毒な成分が発生する危険性が生まれるのだ。食品汚染や環境問題について詳しいフリージャーナリストの郡司和夫氏は、以下のように語る。

「食品添加物には『相乗毒性』があり、体内で一緒になると毒性のある物質を発生する場合があります。しかし、食品として分類されている健康食品やダイエット食品では、それらの検査が行われることはありません。ちなみに、『安息香酸』と『アスコルビン酸(酸味料)』を含んでいる商品はかなりあって、身近なところでは、コカ・コーラから出ている『ファンタグレープ』。ただ、『アロエベラ』のように基準値を上回ることはなかったので、問題にはなっていませんが。こういった『相乗毒性』の危険性は、現在販売されている健康食品に数多く潜んでいると思いますね」

可能性では腰を上げない
無責任なメーカーの対応

 医薬品ではなく、食品ということで、いろいろと野放し状態となっている健康食品やダイエット食品。そんな状況の中、「特定保健用食品」、いわゆる「トクホ」という制度が注目されるようになった。この制度が導入されたのは91年。導入当初こそパッとしなかったが、昨今の健康ブームに後押しされて市場は拡大。「健康産業速報 第1089号」(CMPジャパン・グループ)によると、06年には約6700億円という規模に達したという。

 この「トクホ」が「いわゆる健康食品」と一線を画すのは、人体による臨床試験を義務づけている点だ。しかも、この試験は成分ではなく、個別の商品そのものに対して行われる。食品形態によって成分の有効性は変化する場合があるため、個別の商品ごとに安全性を検査する意義は大きい。しかし、「トクホ」の認可を受けた商品が必ずしも安全であると盲信することはできないという。

「トクホの認可基準は意外にあいまいで、『たくさんの効能試験をしているか』『権威ある大学で試験をしたか』ということが重要になります。だから、企業は民間の研究機関で試験をした後、大学側に頼むのですが、そこでしっかりと実験しているかといえば、そうとは限らない。かつて、都内の某医大では、購入したラットの数より実験で使用したラットの数が上回るなど、疑わしい証拠が出てきました。そういった実態は、今現在もあまり変わっていません」(郡司氏)

 実験段階での疑惑もさることながら、商品そのものにも問題が生じたことがある。「トクホ」を取得した花王「エコナクッキングオイル」(以降、エコナ)に、発がん性の疑いが生じたのだ。

 05年5月、国立がんセンター研究所が行った実験で、エコナの中に含まれている「ジアシルグリセロール」という成分が、発がんを促進する疑いがあることを発表。これに対し、花王は「エコナ製品の主成分『ジアシルグリセロール』の安全性に関する報道について」なる報告書で、この実験は必ずしも結論ではないとした。

「この『ジアシルグリセロール』は、天然の油脂にも数パーセントは含まれています。しかし、エコナは人工的に化学合成して、80パーセントにまで増やしました。人類にとってこんなに大量の食経験はありません。安全性を疑われる研究が新たに出てきたのですから、そのような商品を、健康によいとうたっている『トクホ』として販売し続けるのはいかがなものでしょうか」(植田氏)

 たとえ疑わしくても、“クロ”と出るまで対策を講じないのが日本のメーカーと役所。健康でいたければ、妄信的に健康食品やダイエット食品を口にしないことが、最も有効な手段なのかもしれない。
「サイゾー」6月号より)

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最終更新:2008/07/04 21:38
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