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お笑い評論家・ラリー遠田の『R-1ぐらんぷり2009』評

「意地悪なあるあるネタ」皮肉屋・中山功太が優勝した理由

r1gp.jpg500万円を手にしたのは中山功太

 2月17日、『R-1ぐらんぷり2009』(フジテレビ)の決勝戦が行われた。過去最多となった出場者3400人の頂点に立ったのは、”技巧派フレーズ王子”中山功太だった。優勝を果たした彼のネタのどういうところが優れていたのか、今一度振り返って考えてみたい。

 決勝の舞台で中山が披露したのは、時報の音に合わせて共感を誘う一言を次々に繰り出す、一種の「あるあるネタ」だった。あるあるネタは、お笑いのジャンルとしてはひとつの定番である。例えば、『エンタの神様』(日本テレビ)を見れば、最低1組くらいはこの手のネタをやっている芸人が見つかる。また、あるあるネタの中でも最も有名なものとしては、かつて一世を風靡したテツandトモの「なんでだろう」が挙げられる。

 だが、あるあるネタに対するプロの目は厳しい。芸人のネタでも、ラジオや雑誌の投稿コーナーでも、あるあるネタというのは定番中の定番で、すでにやり尽くされた感がある。だが、中山はあえてそれに挑んだ。凡庸なあるあるネタを自分なりのオリジナルなネタへと進化させるために、彼は2つの点で改良を加えた。

 ひとつは、見せ方を工夫したということ。単純に一言ネタを羅列するのではなく、その一言を聞いた側の反応を先取りして見せてから、あとから問題の一言を明かす、という形の構成にした。こうすることによって、見る側が期待感を煽られながらオチを待つことが可能になった。

 もうひとつは、個々のネタの質を限りなく高めたということ。そもそも、中山功太という芸人の最大の持ち味は、世の中に対する皮肉っぽい目線である。彼のネタ作りの根底には、世間をあざ笑うシニカルな批評眼が潜んでいる。「悟り開いた」と調子に乗るクラスメイトや、「じゃじゃーん」と大げさにプレゼントを差し出す友人を、心の底ではさめた目で眺めている。受け手側の意地悪な視点から切り取られた「あるあるネタ」は、彼にしかできないオンリーワンの芸風である。

 ただ、あるあるネタで笑いを取るには、共感を誘うことが不可欠だ。そこに盛られた毒があまりにきつすぎると、見る側は笑えなくなってしまう。今回のネタではそのあたりのさじ加減も見事だった。

 中山功太は、「あるあるネタ」というすっかり枯れたと思われていた井戸の底をさらに掘り進み、豊かな水脈を自力で探し当てた。意地悪な目線に観客を巻き込み、共犯関係を作って笑わせる。簡単に真似できそうでなかなかできない、皮肉屋芸人・中山功太の名人芸だった。
(お笑い評論家/ラリー遠田)

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最終更新:2018/12/10 19:24

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