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西松建設事件は一波乱あり? 自民ベッタリの検察に内乱が!

keisansho.jpg波乱の舞台となった経産省。
二階氏は度重なる追求から逃げ切れるか?

 ここにきて、批判が集中している検察だが、その暴走、いや迷走がどうにも止まらない。西松建設のダミー団体による献金事件をめぐり、民主党の小沢一郎を党トップの座から引きずり降ろした3月の秘書逮捕劇から4カ月余り。この間、検察は、民主党サイドから”国策捜査機関”と蔑まれ、市民が参加する検察のチェック機関である検察審査会【注1】からは、「西松建設事件の捜査は不当」とかみつかれた。その結果、手付かずだった自民党ルートの不起訴処分がひっくり返る――そんな信じられない事態が起きている。

 はからずも、政府・与党に甘い恣意的な捜査だったという烙印を国民からも押された格好だが、さらに「検察審査会を動かしたのは、検察内部の良識派ではないか」という情報も本誌に飛び込んできており、ますます検察事情は混沌としてきた。

 そもそもの始まりは、6月1日に公表された東京地検の処分。小沢氏と同じく、西松建設のダミー団体に340万円相当のパーティー券を購入してもらった自民党二階派の政治団体「新しい波」の件について、西松側ばかりか、会計担当だった元国家公安委員長の泉信也参院議員や二階俊博経済産業相の秘書も不起訴にしたことが明らかにされ、民主党や一部市民から猛反発を受けることになる。

「小沢の団体が受け取った3000万円より少額とはいえ、ダミー団体を使った献金の手口は一緒だから、政治資金規正法違反の虚偽記載に当たるのは明らか。なのに、検察が起訴しなかったせいで、この『二階ルート』は裁判で裁かれずに済み、自民党への献金実態を知る権利を市民から奪ってしまった。これこそ、検察が犯した大きな過ちだった」(司法担当デスク)

 しかも検察は、ことさら民主党サイドの怒りを逆なでするような行為に出た。6月19日、西松建設前社長の国沢幹雄被告の初公判での出来事だ。国沢前社長本人が罪を認めたため、通例なら刑の情状酌量を求めるやりとりへと移っていくはずなのに、検察側はわざわざ小沢氏の公設第1秘書、大久保隆規被告が容疑を認めたとされる供述調書を提出した。つまり、小沢側の人間がいない場で、「東北の公共工事に長年天の声を出した」などといった記述がある調書を持ち出すという、小沢氏のイメージダウン作戦に出たのだ。

「大久保は全面否認の立場だから、まずは彼の公判でその供述調書の信用性を争うべき。なのに、大久保公判の前に、真偽のわからない調書を他人の公判で持ち出すなんて、あまりにもアンフェアすぎる」(同)

●上層部からのストップで現場が謀反を図った!?

 こうした検察のプレーに市民側は敏感で、いち早く動きだしている。大阪の市民団体の請求を受け、二階派の不起訴処分からわずか2週間ほどしかたっていない6月16日、東京第3検察審査会が協議入りし、「二階ルート」でも国沢前社長を「起訴相当」に、二階派側の不起訴は「不当」と議決し、再捜査を促した。検察が下した政界がらみの処分に、こんなに早く審査会が異論を唱えたケースは過去にない。まるで、3日後に控えていた国沢前社長の初公判に冷や水を浴びせるような動きではないか。審査会がこんな強気に出たのには、実は訳がある。

「検察審査会法が改正され、5月21日に施行されたばかりだった。検察がどんなに強引に不起訴にしようとも、審査会が『起訴相当』を度出したら、裁判所が指定する弁護士が検事役となって起訴できることになった。だから検察サイドは『いつ、この伝家の宝刀が振り下ろされるか……』と不安で仕方なかった。そんなところへ、審査会から検察に『No』を突きつけるボールが、まさかのど真ん中、しかも剛速球を投げ込まれたものだから、検察内部はパニックになったね」

 こう語る検察関係者は「しかも、身内が仕掛けたという話が持ち上がっている」と声をひそめつつ、”真相”をこう続けた。

「捜査に当たった東京地検特捜部の一線捜査員たちは『小沢の次は二階』と上層部から捜査方針を聞かされていた。それなら不偏不党だ、と納得して小沢ルートにまい進したんだ。ところが、小沢氏の秘書を逮捕した後、上層部が急に方針転換し、二階ルートを封印しようとしたんだ。世間では、”民主党を狙い撃ちにした国策捜査だ”という批判も高まり、捜査員たちも忸怩(じくじ)たる思いだったんだろう。そこで現場が謀反を図った、と。実際、検察審査会に審査を請求した市民団体に、ある検察職員が接触したという情報が流れている。当人は、辞職覚悟だったはずだ」

 この身内の”反乱”に検察上層部も困惑したのか、審査会の議決からわずか10日間後の6月26日、国沢前社長を追起訴。二階派についてはさらに捜査を続けることになった。不起訴処分が一転したこの”事件”を先の検察関係者は「検察の市民革命」と呼んでみせた。はたして検察は、「二階ルートも起訴して、公判で白黒つけるべき」という市民からの声を、どう受け止めるのか。政局へも影響を及ぼしかねないこの一件、市民による、さらなる監視が必要だろう。
(文=由利太郎/「サイゾー」8月号より)

【注1】
裁判員制度に先駆けて実施されてきた国民の司法参加ための制度で、有権者から無作為に選ばれた11人から構成。検察審査員は、非常勤の国家公務員(裁判所職員)となり、任期は6カ月。検察が不起訴にした刑事事件について、告訴・告発者や被害者の不服申し立てに応じ、処分の妥当性を審査する。初回の審査で8人以上の賛同があれば「起訴相当」と、6~7人の場合は「不起訴不当」と議決され、この両者の場合、検察は再度捜査を行い、起訴の妥当性を再検討しなければならない。ただ、これまでは法的拘束力がなかったため追起訴されることが極めて少なかったが、今年5月21日より施行された改正検察審査会法によって、検察審査会が2度「起訴相当」と議決したものについては強制的に起訴されることになった。

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最終更新:2009/07/22 18:06
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