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恋愛ゲームで少子化問題がさらに加速中!?

空前のブームを巻き起こす『ラブプラス』開発チームを直撃!(前編)

loveplus_main01.jpg空前の勢いで売れまくる『ラブプラス』そのヒミツに迫ります!

 2009年9月3日。その日、日本中のオタクが一斉にリア充となった。

 この大事件の立役者が、すでにオタクのみならず一般人もその名を知ることとなったニンテンドーDS用ソフト『ラブプラス』(KONAMI)だ。架空の女の子と「男女交際」できてしまうという前代未聞のゲームである本作は、いかにして生まれたのか。何を『ラブプラス』というゲームで表現しようとしたのか。そんな疑問をプロデューサー・内田明理さんとディレクター・石原明広さんにぶつけてみた。

 話題はゲームの開発秘話から女性ゲーマーの本作に対する心理、果ては現代人の恋愛観など意外な方向に発展していった。このインタビューを読めば、本作は単なる「萌えゲーム」ではないと理解できるはずだ。

――現在『ラブプラス』旋風といえる現象が起きていますが、このフィーバーぶりは予測していましたか?

内田 内容には自信があったので、盛り上がっていただけるだろうと想定していたのですが、ここまで加熱するとは予想外でした。自分としては口コミでじわじわいってくれればいいと考えてましたので、数日で爆発するというのはちょっと想定していませんでした。

――本作は声優ファンからも大変注目されました。20年前に『YAWARA!』などを見ていた人には皆口裕子さん、10年前に『カードキャプターさくら』を見ていたような人には丹下桜さん。そしてゼロ年代入ってからのアニメを見始めた人には早見沙織さんと絶妙な割り振りだと感じました。

内田 実はそんなに狙ったわけじゃないんですよ(笑)。

――そうなんですか?

内田 そもそも『ときめきメモリアル Girl’s Side』という女性向けの恋愛シミュレーションゲームで、主人公の友達のキャラクターとして出演していただいた時に、皆口さんの声に惚れてしまって「いつか皆口さんの声で恋愛ゲームを作らなきゃダメだ!」と思ってしまいまして(笑)。それが始まりです。そんな時に、懇意にしているプロダクションの方に「今度、男性向けでこういうの作りたい」って言ったら、その方が「本気でやるんだったら、丹下桜、連れてくるよ。内P」って言ってくださったんです。

──おお、それはすごいですね。

内田 で、すぐ丹下さんとお話する機会を作っていただいたんです。「私でいいんですか?」と丹下さんはおっしゃったので「是非とも」とお願いしたところ、ブランクを埋めるためにボイストレーニングにまた通われ始めたんですよ。そんな感じで大変熱を入れてやってくださいました。これは嬉しかったですね。

――これは声優ファンにとってはちょっとした事件でした。そして、早見さんに至っては現役女子高校生。

loveplus_sub01.jpg

内田 収録当時は17歳でしたからね。

――セリフの量も膨大です。

石原 ゲームに収録されているものなら1キャラ7~8時間分はあると思います。

内田 実際に収録した時間は、一人40~50時間くらいですね。期間にしておよそ4カ月ほどです。

石原 脇役とか入れると、半年くらい収録していた感じですね。

――ゲームを起動してまず誰もが驚くのは、呼んでくれる名前のバリエーションの多さです。

内田 収録量はものすごいです。数は企業秘密ですが、あれでも全然足りないんです。日本人って、下の名前より意外と苗字のバリエーションの量が多いんです。

石原 今の10倍入れても足りないくらいでしょうね。今回入らなかった名前については、次回作を作るときには何かしら手を打ちたいですね。

――声だけでなく動きも非常に細かく、随所にキャラクターの個性が出ています。

石原 これは気合と血と汗と涙と、努力と根性の結晶ですね。具体的には声優さんの声を聞いて、その声に最適な演技を単語レベルで確認しています。声のニュアンスを全部聞き分けて、600種類くらいある仕草を一個一個組み合わせて当てはめています。これを全イベント、全セリフでやりました。だいたい4,000くらい細かいイベントがあるんですけれども、そこでのセリフが例えば10個あったとして、4,000イベント×10個。全部手作業でやっているので、とんでもない作業量なんです。

――逆に言うと、そのくらいしないとリアルなキャラクターは作れない。

石原 そこまで追い込まれていった感はありますね。声優さんがあまりにいい演技してくださったので。特に今回は”レジェンド”クラスの声優さんがいらっしゃって、早見さんも本当にすごく良くて。そんな3人の声を聞いちゃったら、僕らのクリエーター魂に火がついちゃって「負けるわけにはいかん」みたいな感じになっちゃいました。ただやっぱり、みんなで自由に作っちゃうと個性がブレちゃうので、各スタッフで担当を決めてやってもらいましたね。それによって、結果的に個性が出る。

――ここまで作りこんでいく原動力とは何なのでしょうか?

内田 何だろう……? 『ラブプラス』に限らず、僕がゲームを作る時のコンセプトは、とにかくボリュームなんです。物理的限界まで詰め込みます。遊びの面白さというのは、努力と根性で何とかなると思っているんです。その担保としてまずはデータがいっぱいあって、簡単には飽きないものを作るというのは常にありますね。あとクオリティとかセンス部分についてはウケるかどうかはわからないので、最後までビクビクしてます。

――特に本作はまったく新しいタイプのゲームですからね。

内田 だから、開発中にはなるべく面白い話をするようにしていました。この仕様を入れると面倒だけど、こういう人たちに馬鹿ウケだよ。これだったら絶対大爆笑だから。だからコレやろう。みたいな感じでやっていました。で、自分で作ったものたちを見てゲラゲラ笑ったり、萌え萌えしたりして自画自賛をしあうみたいな。

石原 おかしいですよね。

内田 でも、そうしていくうちに自分たちが作ってるものが面白いって確信出来る段階になってくると、アウトプットとフィードバックの繰り返しで勝手にチーム全体が盛り上がっていったというのはあります。
後編につづく/取材・文=有田シュン)

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最終更新:2009/10/12 04:12
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