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「東京国際アニメフェア2010」レポート

【TAF2010】開幕! ”情報解禁”BRSからマニアックなシンポジウムまで

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 世界最大級のアニメフェス、「東京国際アニメフェア2010」(略称:TAF)が3月25日に開幕した。28日までの4日間、東京ビッグサイトにて開催される。25、26日がビジネスデー、27、28日がパブリックデーとなる。

 9時45分、東ホール奥のTAFステージにて行われた開会式。背後に陣取った着ぐるみマスコットたちに促されるように(!?)、実行委員会役員がテープカット。初日が華々しく幕を開けた。

 開催期間中、日替わりでさまざまな発表会やイベントが催されるが、11時30分には、今年起業したばかりの動画配信サイトLTLS(株式会社Long Tali Live Station、https://www.cyzo.com/2010/01/post_3735.html)がコンテンツ第一弾を発表した。

 6月からはスポーツ中継も予定されているが、まずはネットでの訴求力が高いアニメ関連コンテンツを投じていく。TAF2010会場の様子を配信するのを皮切りに、5月には人気マンガにイメージソングと音声をつけた『コミックTV』がスタート。さらに6月からは、今年のゴールデンウイークに池袋サンシャイン劇場で公演予定のミュージカル(!)『ミンキーモモ 鏡の国のプリンセス』を配信するという。

 ステージでは3月16日に代表執行役員に就任したばかりの中島正雄氏が、就任挨拶を行った。中島執行役員は日本コロムビアの代表取締役などを歴任した音楽界の重要人物で、LTLSの音楽事業強化に乗り出すと見られる。今後はアニメ、スポーツ、音楽を柱とした動画配信を推進することになりそうだ。

 一般ブースに目を移すと、アメコミの重鎮、スタン・リー原作のボンズ新作『HEROMAN』が華々しいキックオフイベント。難波日登志監督、ボンズの南雅彦社長ら主要スタッフ・キャストが登壇。スタン・リーもビデオメッセージで登場した。制作に4年を費やしたという、ポップかつ大作感が溢れるビジュアルに期待は高まる。

taf2010_01_02.jpg(c)Jun Awazu/MEDIA FACTORY/CoMix Wave Films.,

 手書きアニメの出展が多いなか、フル3DCGの質感が特徴的なのは5月22日公開の劇場用作品『プランゼット』。主人公に宮野真守、その妹でありヒロインに「ゆいかおり」でメジャーデビューを果たす石原夏織を配している。世界初の前編フル3DCG特撮怪獣映画『惑星大怪獣ネガドン』を撮り下ろした粟津順監督が、よりSF寄りのストーリーをどう描くか。

 グッドスマイルカンパニーのブースでは、前日に秋葉原にて製作発表会が行われたばかりの『ブラック★ロックシューター』をメインに据えている。

taf2010_01_03.jpg期待のBRS(24日の発表会にて)
(c)huke / B★RS Project

 昨夏、hukeとryo(supercell)の手による同名動画をOrdet(山本寛が設立したアニメ制作会社)がアニメ化するとの報が流れると、ニコニコ動画住人を中心に「ヤマカンが『ブラック★ロックシューター』を手がけるのか」と、大きな反響を呼んだ。

 そして9月30日のパイロットエディション発売から半年、ようやく全容が明らかになりつつある。吉岡忍監督、山本寛監修による50分の映像作品にもかかわらず、なんと無料配布で手に入るという! 6月25日から8月31日までを拡大キャンペーン期間とし、その初日発売のホビージャパンの付録のほか、DVD配布、上映会、ネット配信など、さまざまな手段を講じていくようだ。

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 多くの企業が出店する東ホールから少し離れた会議棟では、朝から夕方までシンポジウムのスケジュールがぎっしりと詰まっている。二つの会議室を使い、25、26日の2日間で16のシンポジウムが開催されるのだ。

 「直近のコンテンツには興味があっても、10年以上前の過去作品に対する知識が不足している」。その危機的状況の確信から出発した「コンテンツ文化史学会」が主催した「変容するコンテンツ文化とクリエイター ─進化するアニメ・ゲーム・ノベルの可能性─」では、ゲストスピーカーに飯田和敏氏(ゲーム作家)、本田透氏(作家、評論家)、今井哲也氏(マンガ家)を招聘。各自のコンテンツ文化への視点を紹介するとともに、登壇者によるパネルディスカッションが行われた。主な発言は以下の通り。

「90年代のデスクトップ革命は無血革命だった。かつてマルセル・デュシャンが、消費者はクリエイターであり、クリエイターも消費者であると喝破した状況が現実のものになっている。ではこのあとどうするかというと……分からない……(笑)。でも、痛い思いをしている人はそんなにいない。次の時代に文化を送れればいい。僕らは百年先を考えて生きているんですよ。財布と心は痛くてもいい。そして編集者は必要だと思います」(飯田)

「(電子書籍市場の急激な進歩を受けて)iPad一色ですよね。消費者として言えば、いま月に20万円の家賃を払っていて、その半分が本のため。(もし紙が電子書籍になれば居住スペースが圧縮されて)家賃が半分になればとても助かる。編集者は、僕の場合には必要だと思います。フリーダムに書くと読者のことを忘れてしまうので。しかし東方projectとか初音ミクをみるとオープンソース化されていて、今後はクリエイターとして生きていくのは難しい。手に職をつけたほうがいいのではないか。消費者としてはうれしいが、専業作家としてはやばい状況です」(本田)

「編集者がいらないというのは極論だろうと思うんですよ。電子書籍で誰でも同人誌を出すようになると、編集者を通さないものも増えるとは思うんですが、編集者や営業を通して出版社のレーベルから出すのは、滑らない保証でもあると思うんです。冒険はさせてもらえないし、これはダメと言われることもあるけれども、それでクオリティを保てる。ニコニコ動画やYouTubeにも、普通に見て面白いものもありますけど、量が氾濫しすぎてよく分からなくなっている、全体の質は下がっている、という見方もある」(今井)

 kindleとiPadの「電子書籍端末・仁義なき戦い」は三人の意識にもかなり強い影響を及ぼしているようで、特に本田氏はシンポジウム終了後「もう少し話したかった」と語っていた。残念ながら時間が足りず、尻切れトンボ感は否めなかったが、クリエイターが廃業の危機感を覚えながらも創作に立ち向かっていることだけは確認できるシンポジウムだった。

taf2010_01_05.jpg左からロブ・ペレダ(バイス・プレジデント)、高◆(金へんに昆=kao qun)、日本人通訳

 米国サンフランシスコを拠点として世界中に日本のアニメ動画を配信、またフォーラムの場を提供する企業「クランチロール株式会社」は、「海外のアニメマーケットの現状と今後の展望」と題したシンポジウムをおこない、自社のプレゼンテーションを通じて表題の分析を行った。この回の会議室は満席。業界関係者の問題意識が強く感じられた。

 クランチロールのあり方には前述のLTLSにも共通する部分がある。あくまでも日本の権利者と正式なライセンス契約を経て動画を配信ルートに載せ、ユーザーからは課金する。違法動画を無料で垂れ流す動画配信サイトとは性格を異にしているのである。

 この日はテレビ東京がクランチロールへの投資を行い、海外配信事業を強化する旨の発表も行われた。この背景には、クランチロールの有料会員が着実に増え、違法投稿対策に明確な成果を挙げた「実績」がある。

 テレビ東京はクランチロールを通じ、海外への同日配信を昨年1月から開始した。クランチロールには、テレビ東京をはじめとする各局から放映一週間前に映像データが納品される。そこから翻訳を施し、日本での放映と同じ日に、世界中に配信する。

 性や暴力の描写が「アウト」な作品はどうするのだろうか。シンポジウム内で、登壇者のロブ・ペレダにその点を問うたところ、「日本の地上波で放送されているものは、米国でのPG13とほぼ同じ基準であり、問題はない。契約締結以前に放映できない作品ははじいている。ただしCATVのみのタイトルは慎重に選んでいく」という答えが返ってきた。

 しかし『スクールデイズ』のように、最終回だけが放送中止になることもある。シンポジウム終了後にもう一度ロブに会うと、彼は『スクールデイズ』の件を承知していた。

「U局のタイトルはたいてい大丈夫ですが、CSだけのタイトルだと危ないですね。こんなことがありました。『ファイト一発!! 充電ちゃん』はAT-Xがオリジナルですが、我々はU局用に直したものを買ったのです。するとオリジナルのものを期待していた会員に「セクシーじゃないじゃないか!」とかなり怒られてしまいました(苦笑)。最近は注意深く見ていますよ」

 クランチロールの動画はPCだけでなくiPadやiPhoneにも出力される。ここでも電子書籍端末である。インターネットと各種デバイスの普及がアニメーション業界の変革を促している現状がありありと分かる一日だった。
(取材・文・写真=後藤勝)

iPad VS. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏

サヨナラ紙文化……?

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最終更新:2010/03/30 16:52

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