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沖縄の海にジュゴンは本当にいるの?

「辺野古テント村」運動家が語る中国への過剰な期待と基地計画の真実?

jyugon01.jpg7年目を迎えた「テント村」

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先として、新基地建設が計画される同県名護市辺野古区に、テント小屋(通称「テント村」)を建てて建設反対の座り込み運動を6年以上続けている左翼団体がある。”テント村”には団体の事務局員が陣取り、訪れる人に「辺野古移転」の理不尽さを説いている。また、基地移転に反対する一般人も自由に出入りが可能で、左翼イデオロギーを持つ全国の人々から「辺野古テント村がんばれ!」と熱い視線を集めている。いったい誰がどんな思想で仕切っているのか。テント村の立ち上げからこの運動に携わっている事務局の篠原孝子さんに、辺野古区のテント村で話を聞いてみた。

――暑い中おつかれさまです。篠原さんは沖縄でお生まれになったのですか?

篠原さん(以下、篠原) 私は岐阜の出身です。沖縄に9年ほど前に移住したのも、あったかいところでのんびり暮らしたかっただけで(笑)。政治にも関心がないほうだったんですが、イラク戦争の前に、アメリカ総領事館(浦添市)の前でハンガーストライキをしてる人たちがいたんですね。私、それまで平和運動とかをしている人に出会ったことがなかったんで、「何でそんなことしてるんですか?」と聞いてみたら、沖縄の基地がベトナム戦争の頃から他国の戦争に加担しているという。それまで私も、米軍基地は日本を守ってくれていると単純に思ってたんですが。そこから初めて政治や平和というものに関心を持ち始めました。

――この「テント村」はどこの組織が管理しているのですか?

篠原 ここは「ヘリ基地反対協議会」(安次富浩代表)という名護の市民団体が運営しています。ここに来るのは別に何かの組織の人ではなくて、市民運動として「辺野古に基地を作らせない」という一点だけで、非暴力をモットーに誰でも参加できる場所です。座り込みが始まったのは2004年の4月19日で、今日(11月10日)で2,397日目になります。

――”絶滅危惧種であるジュゴンの生息地の生態系を守るため”とも主張していらっしゃいますが、「ジュゴンなんて本当にいるのか?」という声も一部にあります。

jyugon02.jpg辺野古岬を望む。ジュゴンはいるのか?

篠原 辺野古海域や大浦湾には、絶滅の危機にあるジュゴンのエサとなる海草藻場が広がっていて、ジュゴンはそれを食べにやってきます。いないと言っても、実際に「食み跡」があるのだから「いる」わけですし、国は「辺野古海域にはいないから埋め立ててもいい」とまで言ってますけど、良好な海草があればそこから今いるジュゴンが増えていく可能性があることは専門家も指摘しています。それに実際、大浦湾に設置した防衛局のカメラでもジュゴンは確認されていますよ。

――現実に普天間基地は危険性が高いわけですが、どこかに移転する必要性については?

篠原 実はそれが多くの国民が誤解している点なんです。普天間飛行場があまりに危険なために早くどこかへ移転しなければならない、辺野古移転もやむなし、という空気を作っているのは日米政府によるまやかしなんです。あまり知られていませんが、辺野古案というのは40年以上も前からあった計画です。1966年の米海軍のマスタープランに、キャンプ・シュワブの辺野古海域に飛行場を、さらに北側にある大浦湾を米軍の一大軍港にするという計画がすでに盛り込まれていました。そのときはアメリカの財政難や地元住民による抗議運動により計画は実現しなかったのです。米軍としては40年来の念願が叶うわけで、普天間の件とは関係ないんですよ。一方で日本のメリットは、ゼネコンの利権と陸上自衛隊の共同使用だと思います。米軍は普天間の危険性を口実に、日本のお金で新基地を作らせようとしているだけなんです。

――基地が縮小することで中国の脅威が増すという指摘もあります。

篠原 基地がないと攻められるというならば、なぜ今これだけの基地があるのにそういうことが起こっているのか。抑止力になっていないという証拠ではないでしょうか。日米同盟についても、アメリカは尖閣諸島を日本の領土である旨を中国側へは強く主張していませんよね。アメリカが日本を守ってまで中国と戦う意思はないという表れではないでしょうか。

――アメリカは伝統的に他国の領土問題には介入しない立場なわけですが……。「基地さえあればアメリカが助けてくれると思っているなら考えが甘いですよ」ということですか?

篠原 そういうことです。そうなると、今度は自衛隊を強化して自主防衛を……という話になるわけですが、それをしたら中国は「向こうがその気ならこっちも」となる。イタチごっこです。それより、今の日本の外交力は著しく落ち込んでますから、武力より外交力の強化に政治エネルギーを注ぐべきです。中国が交渉にのらないのなら、他国を通して国際世論を利用し、その中で日本の考えを理解してもらうという方法もあると思います。

――日本が武器を減らしたのを見た中国が「じゃ、うちも減らそう」と考えるでしょうか?

篠原 もちろん単純ではないとは思いますが、一気に基地をゼロに減らすということではなくて、今回は普天間基地を一つ減らすという限定的な話なんですね。その反応を見ながら次の一手を考えていく。普天間をなくしたら即中国が攻めてくるという話は無理があります。

――動画サイトの「YouTube」に「尖閣ビデオ」が流出しました。あれをどう思われましたか。

篠原 動画の通りであれば、あの船長を釈放したのは明らかに間違いですし、さきほどの「日本の外交力の弱さ」が露呈したということだと思います。どうして日本は自分で決断して他国としっかり交渉していくことができないのか。そこに歯がゆさを感じます。そこをしっかりやってから軍備を議論するなら分かるんですが、一番大事な「自分の国をどうしたいのか」という議論を避けて、「とにかく軍備強化だ」というのはどうしても納得できないんですね。

――宗教団体の「幸福の科学」が抗議をしてきたとお聞きしましたが。

篠原 はい、辺野古の浜のキャンプ・シュワブとの境界線にある有刺鉄線のところでお話をしたんですが、「辺野古に基地を作らないと中国が攻めてくる」と言うんで、どうしてそう思うのかと聞いたら「自分らのところにはペンタゴン(米国防総省)から情報が入ってくる」と言う(笑)。具体的なことは言いませんでしたが。マスタープランのことを言っても、珊瑚の破壊やジュゴンの話をしても論点をすり替えてまともに答えが返ってこない。幸福の科学のポスターに「世界の人たちが幸せに」と書いてあるので、これまでの米軍の殺戮行為の話を出しながら「矛盾しているじゃないか」と言ったんですが、納得できる答えはありませんでした。

――篠原さんはヘリ基地反対協議会の専従職員なのですか?

篠原 いや、職員というよりは事務局のアルバイトとして働いているという認識です。基本は私自身、あくまで個人として活動しているというつもりですので、そこは立場を明確にしたいと思っています。「お金がどこから出ているのか」とよく聞かれるのですが、ヘリ基地反対協議会は公式サイトなどを通して全国へカンパを募っていて、その資金で運営されています。毎月決まった額を寄付してくださる方もいますし、現地へ来て直接手渡してくれる方もします。原資はそこからということになります。

――全国の読者へお伝えしたいことは?

篠原 防衛問題に無関心でいたり、事実を知らなかったりすることで、理不尽なことをあたりまえのように担わされてしまう怖さを、沖縄に住んでみて実感しています。そのしわ寄せが沖縄にすべて来ていることもです。海兵隊が何をしているかを検証すれば、日本に駐留する必要がないことは理解できるはずです。日米安保の不都合な部分を知らせずに恩恵を受けているのは誰なのか。また、その利権によって、納税者である国民の生活保障が削られていることも、多くの人が自覚してほしいと思っています。
(取材・文=浮島さとし)

ジュゴンの海と沖縄―基地の島が問い続けるもの

基地問題のキーパーソン(アニマル)?

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最終更新:2012/10/12 17:42
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