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日本"未解決事件"犯罪ファイル

飲みかけのココアを残し、消えた少女……奇妙な「怪文書」が示唆する事件の真相とは!?

yukiphoto.jpg加茂前ゆきちゃん(8歳)。

何かが狂ってしまった現代社会。毎日のようにニュースに流れる凶悪事件は尽きることを知らない。そして、いつしか人々はすべてを忘れ去り、同じ過ちを繰り返してゆく……。数多くある事件のなかでも、未だ犯人・被疑者の捕まっていない”未解決事件”を追う犯罪糾弾コラム。 

【第16回】
三重小2女児失踪事件
(1991年3月)

 三重県四日市市富田浜町。付近を流れる十四川(じゅうしがわ)の両岸には、春先に約600本のソメイヨシノが咲き並び、川沿いでは毎年恒例の「桜祭り」が行われる。しかし、事件の関係者にとっては20年もの間、祭りの喧噪に耳を傾けることもできないまま、空白の時間が続いている。

 1991年3月15日、板金工場に勤める加茂前芳行さんの三女・ゆきちゃん(当時8歳)が、学校から帰宅して間もなく、忽然と姿を消した。まだ桜の蕾も開かない、肌寒い季節の出来事だった。

 失踪当時、ゆきちゃんは四日市市立富田小学校の2年生。卒業式シーズンだったため、学校が終わるのが早く、この日も午後2時頃には自宅に帰っていた。

 工場で夜勤の仕事をしていた父・芳行さんは就寝中で、母・市子さんはパートに出かけ、小学6年生と高校生の2人の姉はまだ学校から帰っていなかった。

 ゆきちゃんは午後2時頃に友達と別れる際、友達に「これから約束がある」と伝え、遊びの誘いを断って帰宅。眠っていた芳行さんは、彼女が帰ったことに気付かなかったという。

 午後2時半頃、パート先の市子さんが自宅に電話をかけ、ゆきちゃんの声を聞いている。これが母と娘の最後の会話になってしまった。

 午後4時、次女が家に帰ると、ゆきちゃんが外出する際に着ていたピンク色のジャンパーが残され、外には自転車が置かれたまま。テーブルには、まだ温かい飲みかけのココアが残っていた。ココアが大好きだったという彼女は、普段から自分で作って飲んでいたという。

 午後4時半に起床した芳行さんは、「外に遊びに出かけているのだろう」と思い、ゆきちゃんがいないことも気にかけず、この日も平常通り、夜勤の仕事に出かけている。しかし、午後8時になってもゆきちゃんは家に帰らず、異変に気付いた母親が警察に捜索願を出し、失踪事件として取り扱われることとなった。

 一体、ゆきちゃんが友達の誘いを断った「約束」とは何だったのだろうか? なぜ、ゆきちゃんは作ったばかりの飲み物を残したまま、3月の寒空の下にジャンパーも着ないで出かけたのだろうか?

 警察の聞き込みにより、ゆきちゃんが家から1kmほど離れた「近鉄富田駅で見かけた」という多くの目撃証言のほか、「十四川付近で遊んでいた」「白いライトバンの運転手と話していた」などの証言が寄せられた。

 しかし、彼女の身を案じる家族の思いも虚しく、延べ500人の捜査員を動員した三重県警の捜査は実らず、ゆきちゃんは現在もまだ行方不明のままである。

 そして、失踪から3年後の1994年の春、事件は奇妙な展開を見せる。加茂前さん宅に「加茂前秀行(芳行さんの誤字と思われる)様」と宛てられた奇妙な封筒が届いたのだ。

 手紙は3枚の紙に綴られ、鉛筆書きの上からボールペンでなぞられていた。

 その内容は、まさに”怪文書”というべきものである。

 以下、全文を掲載する。

ミゆキサンにツイテ
ミユキ カアイソウ カアイソウ
おっカアモカアイソウ お父もカアイソウ
コンナコとヲシタノハ トミダノ股割レ
トオモイマス
股ワレハ 富田デ生レテ 学こうヲデテ
シュンガノオモテノハンタイノ、パーラポウ
ニツトめた
イつノ日か世帯ヲ持チ、ナンネンカシテ
裏口ニ立ツヨウニナッタ
イまハー ケータショーノチカクデ
四ツアシヲアヤツツテイル
ツギニ
スズカケのケヲ蹴落シテ、荷の向側のトコロ
アヤメ一ッパイノ部ヤデ コーヒーヲ飲ミナ
ガラ、ユキチヲニギラセタ、ニギッタノハ 
アサヤントオもう。
ヒル間カラ テルホニハイッテ 股を大きく
ワッテ 家ノ裏口ヲ忘レテ シガミツイタ。
モウ股割レハ人ヲコえて、一匹のメス 
にナッテイタ。
感激ノアマリアサヤンノイフトオリニ動い 
タ。ソレガ大きな事件トハシラズニ、又カム
チャッカノハクセツノ冷タサモシラズニ、ケッカハ
ミユキヲハッカンジゴクニオトシタノデアル
モウ春、三回迎エタコトニナル
サカイノ クスリヤの居たトコロデハナイカ
トオモウ
ダッタン海キョウヲ、テフがコエタ、コンナ
平和希求トハチガウ
ミユキノハハガカ弱イハネヲバタバタ
ヒラヒラ サシテ ワガ子ヲサガシテ、広い
ダッタンノ海ヲワタッテイルノデアル
股割れは平気なそぶり
時ニハ駅のタテカンバンニ眼ヲナガス
コトモアル、一片の良心ガアル、罪悪ヲ
カンズルニヂカイナイ
ソレヲ忘レタイタメニ股を割ってクレル
オスヲ探しツヅケルマイニチ
股ワレワ ダレカ、ソレハ富田デ生レタ
コトハマチガイナイ
確証ヲ掴ムマデ捜査機官に言フナ
キナガニ、トオマワシニカンサツスルコト
事件ガ大キイノデ、決シテ
イソグテバナイトオモウ。
ヤツザキニモシテヤリタイ
股割レ。ダ。ミユキガカアイソウ
我ガ股ヲ割ルトキハ命ガケ
コレガ人ダ コノトキガ女ノ一番
トホトイトキダ

 この禍々しさの滲み出る手紙を手にした家族の心の痛みは、相当なものだったろう。

 誰が何の目的で、このような怪文書を送ってきたのだろうか? わざわざ比喩的な表現を多く用いることに、何か意味はあるのだろうか?

 私は、この怪文書を以下のように読んだ。

「この事件を起こしたのは、富田に住む性風俗産業に従事する女性(股割レ)だと思います。鈴鹿(スズカケのケヲ蹴落シテ)で自らが好意をもつ暴力団員(アサヤン=ヤーサン)にそそのかされ、加茂前ゆきちゃん失踪事件の実行犯となったのだろう」

 この手紙が悪戯だとしたら、あまりに手の込んだ悪戯であり、ただただ家族の神経を逆撫でしただけである。しかし、あくまで個人的な希望ではあるが、この怪文書が、ゆきちゃん失踪の真相を知る者が、良心の呵責に耐えかねて送ってきたものであると信じたい。もし、そうであるならば、まだ少しは解決の糸口が残されているということだからである。

 奇妙な出来事は、さらに続いた。

 事件から12年以上経った2003年10月、加茂前さん宅に不審な男から電話がかかってきたのだ。その男は話のなかで、自らの特徴を「パンチパーマ」と語った。

 この電話のことを聞いた捜査関係者は、驚きを隠せなかったという。実は事件発生当初、捜査関係者がマークしていた白いライトバンの男の特徴は、パンチパーマだったからである。そして、これは関係者のみが知りうる情報であり、このことが明るみにされるまで、一切報道はされていないのだ。

 これらの、あまりに不気味な出来事は、「加茂前ゆきちゃんは生きている」という犯人からの暗黙のメッセージかもしれない。

 事件から約20年が過ぎ、誘拐が”時効”となった今でも、家族や関係者は、いつまでもゆきちゃんが帰ってくるのを祈り続けている。
(取材・文=神尾啓子)

<被害者の情報>※すべて失踪当時のもの
名前:加茂前ゆきちゃん(8歳)
身長:身長130cm
体重:38kg
特徴:長髪(肩から下20cmぐらい)
服装:水色地に水玉模様の長袖ブラウス、薄茶色のスカート、黒色のビニール靴

<連絡先>
連絡先:三重県四日市北警察署
TEL:0593-66-0110

怪文書

謎、深まる。

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最終更新:2010/12/24 11:28
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