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動物愛護は金になる!? 動物福祉協会幹部が不正で辞任

「預けた猫が返ってこない……!」協会阪神支部で何が起こっていたのか(後編)

dobutsuaigo0200.jpg動物福祉協会の問題を取り上げた「週刊新潮」

前編はこちら

「N島さんに猫を預けたら返ってこない」
「○○県へ里親に出したと言うだけで、詳しく教えてくれない」
「領収書をくれない。しつこく頼むとなぜか逆ギレされる」

 取材を進めるうちに浮かび上がってきた証言の数々。その中身をもう少し詳しく見てみよう。

dobutsuaigo0201.jpg阪神支部の正常化を訴える会員からの告発文
(クリックすると拡大します)

「NF会のN島さんに二匹の猫の手術代とワクチン代、回虫駆除代金と、『お車代もお願いね』といわれて合計8万円を払いました。車代というのは、猫を捕獲するのに車で来るからのようです。病院名は何回聞いても教えてもらえませんでした。高いとは思ったのですが、相場だと言われて言い返せなかったんです」(神戸在住の会員Cさん)

「病院名を聞いたら『○○(ある地域名)の先生に頼んである』と言われたんです。その先生はボランティアで無料で手術をしてくれることで有名な方なんですが、N島さんからは3万円を請求されて、なぜか領収書には別の獣医師の『K原』というハンコが押されてました。うさんくさいとは思ってたんですが、ほかに頼む人もいなくて……」(同Dさん)

 また、手術ではなく「里親を探してほしい」と依頼した会員Eさんの証言は衝撃的だ。

「金額はともかく、預けた猫が行方不明になるというのはどういうことなんでしょう。すごく元気な猫だったのに、突然『あの猫は腎臓病で死んだ』と言う。そんなはずはないと問いただすと、『今は治療中だから』とか『具合が悪くて寝込んでる』と二転三転。もういいから返してくれと言うと、『私を疑ってるのか! 私はクリスチャンなんだから悪いことなんてしないわよ!』と意味不明なことを叫びだす始末です。しまいには逆ギレして『死んだって言ってるでしょ! あんたキ○ガイじゃないの』とまで言われました。キ○ガイはあんただと言いたいですよ。今は電話にも出てもらえません」

dobutsuaigo0202.jpg預けた猫が死んで帰ってきたというある会員からの告発文
(クリックすると拡大します)

 前編で述べた通り、動物福祉協会の本部事務局が環境省に対して昨年12月13日付でまとめた報告書では、N島氏らが高額の手術代金を受領していた点や、K原獣医師が実費より高額の領収書を発行していた実態を認めた上で、

「従来から、阪神支部の助成金は他の支部に比し突出しており、本来の動物福祉の理念を忘れて、助成金目当てを公言する会員が増えるなど本部も憂慮しておりました」(原文ママ)

 と、大筋で不正を認めながらも、複数の猫が行方不明になっている事実には触れず、

「(N島氏とK原獣医師が)深く反省し、協会に対し、二度と水増し領収書の発行はしないと言明しており、今後こうした事態は発生しない」(同事務局)と結論付けている。さらに、その2日後に発行された会員向け会報では「本部の調査で助成金支給に関して不正等は存在しなかったことは確認されております」と、環境省へ提出された報告書と正反対の報告がなされているのだ。

dobutsuaigo0202.jpg環境省総務課動物愛護管理室のある庁舎

 協会本部が事態の幕引きを図る背景に、「公益法人の認可が大きく関係しているのでは」と語るのは、事情に詳しい別の愛護団体の幹部だ。

「2年前に公益法人改革のための法改正が施行され、今までの社団法人は一般法人と公益法人に分けられることになりました。寄付金控除などが認められる公益法人は、経理の透明性や公益性などが内閣府公益認定等委員会の30人の委員により厳しく審査されます。これまで全国4万件の法人で公益認定を受けたのは、わずか300件ほどという狭き門です。動物福祉協会が資金を不正に流用し、猫たちが行方不明になり、さらに協会ぐるみで犯人を隠避したとなれば、公益認定は取れないでしょう。彼らはそれを恐れているのです」

 皇室関係者が名誉総裁を務めるほどの由緒正しい(?)動物愛護団体が公益認定を取れなければ、伝統ある協会の権威はガタ落ちだ。さらに、歳入の多くを寄付金で賄っている同協会とすれば、公益法人に与えられる寄付金控除の恩恵はぜひとも享受したいに違いない。

「環境省も事実を知った以上、犯人隠避に加担するわけにはいかないでしょう。動物福祉協会のH理事や顧問獣医師のY氏らは現在、環境省中央審議会の動物愛護部会(動愛法を考える委員)の委員ですが、不正が発覚した団体の理事が法整備を考える委員会にいるのはおかしな話です。当然、辞任すべきでしょう。また、公益認定が取れなかった場合、華子妃は名誉総裁をお辞めになるとのウワサが協会内に広まっています。協会は今まで華子妃のお名前を利用して多額の寄付を集めてきましたし、華子妃ご自身も善意で多額のご寄附をされていますから、実はこれが協会にとって一番の痛手だという指摘もあります」

 では、こうした事態を関係省庁はどう受け止めているのだろうか。まず、宮内庁総務課に見解を求めたところ、問題はあくまで「日本動物福祉協会において処理する事項である」とした上で、常陸宮華子妃も宮内庁も「関与する立場にない」との回答がファックスで寄せられている(下記画像の通り)。

dobutsuaigo0204.jpg宮内庁からの回答
(クリックすると拡大します)

 一方、動物福祉協会に対して今回、二度にわたり報告書の出し直しを命じるなど、比較的厳しい措置を取っている環境省は、「猫の行方不明については把握していない」としながらも、不明朗な会計が常態化していた事実を重く見ている。

「会員の内部告発を受け、省では協会から出された2009年度実績のすべてにあたる1,757頭分の報告書を精査し、不明点の再調査を指導しました。そもそも、阪神支部長という立場の人間が協会と別の個人組織(NF会)を並行して運営するというのがおかしな話です。それを見過ごしてきた協会本部の責任は決して小さくない。今後の協会の動きを見守っていきたいと考えています」(環境省動物愛護管理室)

 最後に、当の動物福祉協会の見解を聞こう。以下は事務局長のコメントだ。

「今回の件は、以前から一部の会員から指摘されていました。本部としても放置してきたわけではないのですが、人員にも限界があり、必ずしも徹底した調査ができていたとは言えないのも事実です。また、一連の事態を会員に向けて十分告知していなかった点も反省すべきだと考えています。今回のことをしっかりと受け止め、改めるべき点は改め、協会の見直しを図っていきたいと考えています」

 また、N島前支部長がなんらかの方法で猫を処分していた疑いについては、「そういうことはなかったと信じています」としながらも、具体的な調査は「予定していない」という。

 実は、動物福祉協会の活動がメディアに注目されたのはこれが初めてではない。「週刊新潮」(1994年7月14日号/新潮社)が、「常陸宮妃殿下の日本動物福祉協会 犬一万匹薬殺」のタイトルで、協会が表向き不妊手術や保護をしていると偽りながら年間1万頭を薬殺処分していたとして、5ページを割いた特集で報じている。先の、別の愛護団体の幹部が言う。

「意外に知られていませんが、動物福祉協会は今でも預かった犬や猫の大半を行政に引き渡して、殺処分に加担しています。確かに野良猫や野良犬猫の処分に社会がどう取り組むべきかは大きな問題で、殺処分もひとつの方法だという議論そのものは、私はあってもいいと思います。であれば、こうした事実を活動方針として堂々と訴えるべきです。薬殺の実態を活動報告や収支報告書にも一切載せず、一方で保護をPRしながら寄付金を募るのは詐欺行為と言われても仕方ないでしょう」
(文=浮島さとし)

犬と猫と人間と

ペットブームの陰で……。

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最終更新:2013/09/17 20:16
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