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『極道の妻たち』最新事情【1】

キャバ嬢から女子大生まで──親分が畏怖する”極道の妻たち”

1109_cover_gokuuma.jpg家田荘子の『極道の妻たち』

──山口組六代目司忍組長の出所、大物ヤクザの自伝『憚りながら』(宝島社)やヤクザ社会のルポルタージュ『ヤクザの修羅場』(文春新書)が話題になる昨今、ヤクザたちを支える現在の「極道の妻たち」はどのような存在になっているのか? 現役の極妻さんたちに聞いてみると、バラエティに富んだ素顔が……。

「あんた、指詰めなアカンよ」

 岩下志麻演じる「姐」が服役中の夫に代わってスゴむと、子分たちはひれ伏さんばかりに萎縮する──。

 これは、作家・家田荘子原作の映画『極道の妻(おんな)たち』(1986年)で、縄張り内で起こったトラブルの責任を取れと姐が子分にタンカを切るワンシーンだ。極道の世界を女性の視点から見る斬新な設定と、役柄にマッチした岩下の好演により、同作は高い評価を得た。それゆえ、多くの人が思い描く”極道の妻”のステレオタイプなイメージは出演する女優たちに近いだろう。

 実際『極道の~』は、本職からも大人気だったようだ。岩下も、新幹線で「ホンモノ」からあいさつされたことがあるというエピソードは、この世界ではつとに有名だと広域指定組織三次団体幹部を夫に持つ極妻Aさんは語る。

「ただ、あれはあくまでフィクション。極妻同士の盃(親分と子分の関係になる)など、絶対あり得ない話も多い。日本全国どこの組織でもそうですが、極道は究極の男の世界。女が口を出すなんて許されないし、もし出したら夫が笑われます。いくら服役中でも、夫を差し置いて妻が組員に指図するなどありえませんし、どんな不祥事でも子分に指を詰めろなんて冗談でも言えません。リアルなのは現役ヤクザの描き方くらいですね、大半は女好きで金に弱いっていう(笑)」

 また、ヤクザの世界では”めんどりが鳴く(女性が口を出す)と組は潰れる”なる格言(?)もあるようだが、この一例が、山口組三代目の田岡一雄組長の妻フミ子夫人だという。

 山口組三代目田岡一雄組長の死後間もなく、四代目本命と目されていた山本健一(山健組組長)が病死したため、フミ子夫人は四代目に竹中正久(竹中組組長)を指名。これに反発した山本広(山広組)らが一和会を結成し、山口組と一和会は対立。死者29名、負傷者66名、直接の逮捕者は560人にも及んだ山一抗争へと発展したのだ。

「抗争が起こったのは夫人の強い意向により竹中四代目が誕生したためと見る向きが多く、この話は山口組内でも長い間タブーになっていた。しかし、実際はそうではないという話。たとえば、田岡組長の長女・田岡由伎さんと作家の宮崎学氏の対談『ラスト・ファミリー』(角川書店/10年)では、田岡組長は自身の死後、組が割れるとわかっていながら跡目を考えていなかったことも明かされている。これを知っていたのか、危篤状態が続いたフミ子夫人を『姐さんが死なれへんのはな、俺らの兄弟ゲンカの言い訳を親分にするのを考えてるからや』と若い衆が気遣うくだりも。つまり、長女という身内の証言ではあるが、内部抗争は起こるべくして起こったというのが真相のようだ」(実話誌ライター)

■一番嫌われるのは金にうるさい姐さん?

 こうした中、極道のファーストレディともいえる田岡フミ子夫人について、田岡組長は『田岡一雄自伝』(徳間書店/73年)でその糟糠の妻ぶりを綴り、同じ山口組の大幹部だった後藤忠政元組長も、『憚りながら』(宝島社/10年)で妻に苦労させたことを語っている。

「フミ子夫人は戦後の混乱期でも、苦心してお金を作って若い衆を食べさせ、さらに彼らの下着の洗濯までする糟糠ぶり。後藤元組長は奥方を『おっかぁ』と呼び、自分の浮気に怒りながらもずっと連れ添っていることを感謝している」(同)

 では、最新版の”極道の妻たち”とはどんな人物像なのだろうか? 前出のAさんによると、極妻は大きく分けて大親分を支えた「糟糠の妻」タイプと「愛人」タイプになるという。

 Aさんによると、「かつては糟糠の妻がほとんどだった」というが、このタイプは、夫が若い衆の時代には水商売、場合によってはソープランドで働いてでも夫を支え、出世してから外でシノギや遊びに精を出し、あるいは懲役に行って帰ってこなくなっても、組や家の中をしっかり支え続けてきた女性である。

「糟糠の妻も、シロート出身系とオミズ出身系に分かれます。三代目田岡組長の奥さんは実家が喫茶店で、シロート系の代表。でも、オミズ系でいうと、夫がパクられたらソープででも働いて、裁判費用や生活費を捻出する人はさすがに見なくなりました。今はアッサリ別れちゃう人も多いです」(同)

 浮き沈みの激しいヤクザの世界、かつては極妻が夫の生活を支えることは普通だったのだろうか?

最終更新:2011/08/24 10:30
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