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ニコ動と地上波の間に生まれたミラクル『gdgd妖精s』とは一体何なのか!?(後編)

gdgd03_06.jpg(c)2代目gdgd妖精s

前編はこちらから

――後半はそのコールアンドレスポンス、ユーザーさんとの関係についてもう少し掘り下げさせていただければ。

菅原 ニコニコ動画に上がっている動画って、結構ツッコミどころが多いものが多いじゃないですか。ツッコミ不在のままボケていて、見ている方がツッコむような感じのものというか。『gdgd妖精s』はそのノリに近い番組かもしれないと思うんですね。ひょっとしたら、地上波で今流れている番組の中で、一番ニコ動に近いものなのかもしれないとすら思います。

石舘 ニコ動の動画と地上波の番組のちょうど中間のコンテンツかもしれない。

菅原 だから、ニコ動が面白いってことがテレビの中で再認識されていたりしたらうれしいんですけど。

石舘 基本的にテレビの人って、ネットの動画コンテンツを格下に見てて、あまり勉強してないところがあるからね。

菅原 でもCG技術に関してだけいうと、テレビのCGの人たちよりニコ動のほうが先に行っちゃってるんですよ。天才たちが自分のデータをタダで配布し合って、キャッチボールして、改良して、それをまたタダで配って……みたいなことをやりまくってるから。本当に技術の最先端にあることをずっとやりあっているみたいに僕には見えます。申し訳ないですけど、テレビのCG技術は2000年代で止まっちゃってるんですよね。2000年のCGと比べて、2012年のCGは進化してない! と思う。テレビで使う側の人たちがCG技術を知らないので、新しい技術が発明されていることに気がついてないんですよね。

石舘 新しい技術をどう活かしたらいいかわからないとも思うしね。

菅原 CG側の人がプレゼンしないと新しい企画はできないんでしょうね。

――発注する側が技術を知らなければ、発注内容は変わらないですもんね。

IMG_0109.jpg石舘氏(左)と菅原氏(右)。

菅原 そうなんですよ。

石舘 テレビを作っている人たちというのは、やっぱりどうしても、自分たちが一番最先端を行っていると思い込んでいるところがあるんですよね。僕が言うのもなんですけども。

菅原 だからもっとCG側の発言を出していきたいですね。ニコニコ動画内で起こっている技術革新みたいなものが、直にそのままテレビ局とつながったら、もっと番組が面白くなると思うんです。ニコ動はニコ動で、技術は半端なく高いんですけど、みんなが好きにやっているのですごくマニアックな世界っぽくなっちゃってるところはあるので。

――その意味では『gdgd妖精s』はそのモデルケースに近い位置にあるのかもしれないですね。制作に使われているMMD(MikuMikuDance)なんて、まさにニコ動から盛り上がった技術ですし。

菅原 そうなんですよね。だからMMDで使える、番組で使ったのとほとんど同じ3Dモデルを配布したんです。みんなが作り手と同じキャラで動画を作ってアップロードできるような状態になっているというのは、なかなか珍しいんじゃないかと思って。

石舘 「アニメ界の初音ミク」的なことになってくれたらいいなと思ってますけどね。

菅原 文脈的には初音ミク的なものですからね。

石舘 『gdgd妖精s』はみんなの共有財産的なものだと思っています。

菅原 みんなで盛り上げた感があるものだから、みんなで楽しんでいけたらいいなと思っています。

――しかし『gdgd妖精s』は、アニメファン向けであり、サブカル層向けであり、一般層向けでもあるという、不思議なバランスの作品ですよね。

石舘 そもそも、そういうバランスを狙った作品って、これまであまりなかったと思うんですよね。特にギャグ作品ではほぼなかったと思います。でも、考えてみたらできないこともないんじゃないかと思いまして。

――でも難しいことですよね。

石舘 一番気にしたのは、どのジャンルの人たちから見ても新鮮なものを作ったときに、それぞれの嫌悪感につながる部分をどれだけ排除するかでしたね。さっきそうたくんも言ってたように、面白さを追求したあまり「かわいいキャラが愛せなくなっちゃった!」というのはよくないし、かといって萌え要素に逃げた笑いばかりで、萌えにアンテナが反応しない人には全然面白くない内容というのもよくないし。お互いによい相乗効果を生むように……というのを考えましたね。

gdgd03_02.jpg

――今、アニメ業界で企画を立てる人が一番苦労しているところだと思うんですよ、そこは。

石舘 全然違うかもしれないですけど、いちアニメファンとして見ていて、京都アニメーションさんの『日常』がやりたかったことってこういうことなのかな? とちょっと思ったんですよね。

――ああー!! それは鋭いと思います。

菅原 『日常』は萌え側からサブカルを向いて、『gdgd妖精s』はサブカル側から無理やり萌え側を向いた、みたいなところがあるかもしれないですね。

石舘 『日常』は、京アニさんがもっと幅広いお客さんを獲得するために、一般の方にも畑を広げなきゃいけないというところで、萌え要素を削って、お笑い要素を増やした作品だったのかな? と思うんです。でも、いちアニメファンとしての僕から見ると、それは少し物足りない残念な気持ちがしたんです。だから、萌えもお笑いも、削ったりせずに、どちらも真芯にとらえて取りに行かなきゃいけないと感じたんですね。この『gdgd妖精s』の手法は、アニメ畑にいる方々にはもしかしたら盲点だったのかも。僕はアニメ大好きですけど、アニメを作っている人間ではないですし、かつ、そうたくんというサブカルのカリスマ的な作家さんと一緒にやらせていただけた。そのミラクルで生まれたものだと思います。

――となると、『gdgd妖精s』の後続作品が出てこられるかというと、なかなか厳しそうですね。

菅原 いやー、ないでしょう(笑)。

石舘 表面的に真似ることは可能でしょうけど、本家の方々が本気で作るようなものではないですよね(笑)。

菅原 ガラパゴス諸島みたいになっちゃいそうですよね。類似しているようで似てないものが出てきたりして。

石舘 でも見る人から見たら、この作品もヴィレッジヴァンガードとかにあるCGアニメの延長作品に見えるでしょうし。

菅原 そうそう。『gdgd妖精s』はその人の今まで生きてきた人生によって全然違う感じに見えるというのがあるんですよね。

石舘 そう、「これに似てる」というものが人によって全然違うんですよね。

菅原 『らき☆すた』という人もいれば、『ウゴウゴルーガ』に似てるという人もいる。その両方に似ているってどんなんだよ! って(笑)。

――(笑)

石舘 ほかにも『ピーピングライフ』だっていう人もいるし、『サナギさん』だっていう人もいるし、声優さんのラジオだっていう人もいるし。

菅原 一個のところからじゃなくて、完璧に文脈の違うファン同士がいて、その人同士は相反する世界観を持っている……みたいな感じで。そこが面白いですよね。

――ユーザーさんの話でいうと、石舘さんがブログで「今の普通のテレビ番組は最大公約数的なものを作る必要があるけど、アニメはそうじゃないからいい」というようなことを書かれていたのが印象的だったんです。京アニさんの話もそうですけど、今、アニメを作る人たちは、ソフトの売り上げが全体的に下がっていたりすることで危機感があって、逆のことを考えている人が多いと思うんですよね。もっと一般に届く企画を作らなければダメなのでは? みたいに。

石舘 そうですね。本来一番よかったところを崩そうとしていますよね。

――そこでアニメのニッチさこそが素晴らしい、と感じてらっしゃるのが新鮮だったんです。

gdgd05.jpg

菅原 ずっとそこで生きてきた人だと、感じないのかもしれないですね。僕たちは新参者というか、「いいなー!」と思って入ったばっかりだから。

石舘 だって、アニメの作り手の人たちって、ユーザーさんの財布の紐を解かせる方法を考え続けなきゃいけないからこそ、これでもか! と見たこともないような新鮮なことをやり続けられるわけですよね。これって、今のバラエティ番組とかドラマの現場では見ないことですよ。だからアニメはすごくいい畑だなと思います。うらやましい。

――菅原さんはどうです? 普段ご自分がやってらっしゃるようなCG映像の世界と比べて、深夜アニメのユーザーさんを意識して作ることに違いはありました?

菅原 そうですね、すごく前から自分自身がユーザーとして見ていた2ちゃんねるやニコ動にいる人たちに向けて発信できてるというのは、すごく新鮮で面白かったです。あとやっぱり、チームワークというか、『gdgd妖精s』自体の作り方の方程式みたいなのがすごい新鮮で。前に作っていた『ネットミラクルショッピング』では監督をやってて、それだとみんなで意見を交換して脳みそがプラスされていくということがなかったんですよね。意見を出しあって、どんどんまわしていくと、100倍にも1,000倍にも面白さが膨らんでいくという状況というか、現場の熱みたいなものがまんま作品に投入されていくというのを肌で感じて。すごい資本主義から共産主義へみたいな感覚が……(笑)。

石舘 急に何の話?(笑)

菅原 何の話だろう(笑)。えーと、トップダウンのピラミッド型じゃなくて、みんな平等の、学園祭みたいな雰囲気が持つすごい力強さみたいなものを感じました。

石舘 スタッフみんなが横並びだったんですよね。自分の専門以外のことはよくわからないので、各分野の人に全部任せると、「丸投げで任されるなら頑張らなきゃ」みたいになってそれぞれいいものを作ってくれる……みたいな。

――その雰囲気は石舘さんのブログにアップされた制作裏話からもうかがえました。

石舘 あれは関わった関係者たちを少しでもちやほやしてあげたいというか、「こんな人たちが関わってたんですよー。もしよかったら仕事をあげてくださいねー」という目的で書いたところもあったんですよ(笑)。

――なるほど。『gdgd妖精s』からいろいろな流れが起こっていくのも面白そうですが、『gdgd妖精s』自体のこれから先の展開って何か考えてらっしゃるんですか? 続編とか、もしくは同じような形態で新作を作られるとか。

石舘 どうですか、福原プロデューサー?

福原 違うこともこのプロジェクトチームでやってみたいなとも思うんですけど、「DVDとBlu-rayを買ってくれたら次もある」と腹黒なピクちゃんが言っちゃって、オープンマーケティングしちゃったんですよね(笑)。その期待には応えないとなと思っています。でも続編はハードルがいろいろ高いんですよね……あまり保守的な作品作りにならないようにというのだけは肝に銘じて、がんばろうと思っているところです。

石舘 悪い意味では期待を裏切らずに、でもいい意味では期待を裏切りつつという。

菅原 まずはハードルを下げましょう。

石舘 ああー。上がったハードルを下げないとね。

菅原 誰も期待しないところまで下ろさなきゃ。「『gdgd妖精s』面白いと思ってたのにそうでもないな~」みたいな感じにならないように。「どうせつまんないんだろ~?」と思わせるところまでやらないと。

石舘 そのくらいまで頑張って下げたいな~。

――……といったところで、本日はありがとうございました!
(構成=前田久)

●いしだて・こうたろう
1974年5月27日生まれ。株式会社グレープカンパニー所属。趣味は料理・アニメ鑑賞・LEGO収集。お笑い芸人としての活動を経て放送作家に。「HEY!HEY!HEY! music champ」「人志松本のすべらない話」「コスコスプレプレ」「プレミアの巣窟」など多くの番組に携わる。

●すがわら・そうた
1979年生まれ。マンガ家、映像作家、CGグラフィックデザイナー。19歳でマンガ家としてデビュー。99年から「週刊SPA!」(扶桑社)でCGマンガ「みんなのトニオちゃん」を2年間連載し、以降も断続的に作品を発表している。ほかにも、PV、VJ、イラスト、3DCGアニメーションなど、多岐にわたる領域で旺盛に作品を発表し続けている。

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最終更新:2013/09/09 13:23

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