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日刊サイゾー トップ > カルチャー  > さよなら119系 浅春の飯田線
元祖聖地巡礼の旅【1】

さよなら119系 浅春の飯田線の旅――雨と涙の下山ダッシュ

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 3月某日、『究極超人あ~る』を見ていたら、急に飯田線に乗りたくなった。折しも飯田線の名物車両・119系が3月で引退するという。かくて、40リットルのザックに寝袋や食料を詰め込んで、自転車も担いでの旅路は東京駅から始まった。

 東京駅で「青春18きっぷ」を購入し、熱海行きの東海道線。徹夜明けでそのまま出発したので、少し休みたいと思って贅沢にグリーン車に乗ってみたら、やたらと混雑をしていた。主な乗客は年配の団体。おそらくは伊豆方面への温泉旅行なのだろうと思いつつ目をつむり、気がつくと早や熱海に到着していた。ホームの向かいには浜松行きが待っていたが、以前、慌てて乗車したらトイレ無し車両だった悪夢を思い出し、一本見送って、次の列車に乗車する。

 静岡が近づくと、高校生がトイレで一服する姿も見えて、次第にローカルな感じが漂ってくる。「青春18きっぷ」で旅行する者なら誰もが知っていることだが、静岡県は東西に長い。ずっと乗りっぱなしなのは旅行者くらいのものだ。浜松に到着した頃には、もう夕方6時過ぎになっていた。仕事を終えて帰宅する人々の姿も多く見られる。都内ならば、まだ誰もが必死に仕事をしている時間だろう。賃金は安くとも地縁・血縁に庇護されて、夕方には家に帰ることのできる地方在住者とどちらが幸せだろうかと考えているうちに、列車は豊橋駅に到着した。駅構内の立ち食い蕎麦屋で、きしめんを一杯。ようやく飯田線の旅路の始まりだ。乗り込んだ平岡行きは、まだ7時前だというのに最終列車である。

iidasen01_011.jpg豊橋駅の立ち食い「壺屋」のきしめん。ただでさえ絶品なのに、刻み揚げがかけ放題

 しばし、都市近郊の代わり映えしない風景が続くが、気がつくと列車はガランとして、時刻表を手にした、いかにもな愛好者ばかりになっていた。途中駅で、高校生らしき二人組と話してみると地元民だそうで、このところは毎週のように飯田線に乗っているという。119系は次々と廃車回送が行われているそうで、もう乗車するのは難しいという話を聞かされる。

iidasen01_011.jpg残念ながら、119系じゃなかった……


iidasen01_011.jpg飯田線の旅路は長い。中部天竜駅に到着しても、まだ旅は始まったばかりか?

「でも、運転手に聞いたら、えちぜん鉄道に持っていくかもって話もあるんですよ」

 といった情報も。飯田線から姿を消しても、二度と乗れなくなるわけじゃなかったらいいかななどと話しつつ列車に戻る。と、ドアが締まり、今まさに走り始めようとした時に「あれ、(対向列車が)313系の音じゃないな……」とつぶやく高校生。そして、向かいのホームに滑り込んできたのは119系。しかし、我々の乗っている列車は無情にも発車していくのであった……。

iidasen01_011.jpgこの駅をはじめ、為栗とか金野とか難読駅名の宝庫でもある


iidasen01_011.jpg終電も行ってしまった小和田駅。いったい、これからどうすればいいんだろうか


iidasen01_011.jpg一応、小和田駅に来たらあちこち写真を撮影しないと損だよね

 音で車両を判断できるレベルの高さに、彼らの将来に期待しつつ、この日の旅路を小和田駅で終えた。

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