日刊サイゾー トップ > その他  > 月給8千円の過酷な地下アイドル
松江哲明の経済ドキュメンタリー・サブカル・ウォッチ! 【第2夜】

「月給7925円」過酷すぎる地下アイドルビジネスの実態

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます!

 スマホ版もオープンしましたので、ぜひ、ご利用ください!

■「Business Journal」人気記事(一部抜粋)
「日本企業はムキになっている」技術盗用した中国の言い分
発生確率が10億年に1回の原発大規模事故は、なぜ起こった?
社用車で演歌を唸り、ホテルのスイートを定宿にする巨大新聞社長

■特にオススメ記事はこちら!
「月給7925円」過酷すぎる地下アイドルビジネスの実態 – Business Journal(10月21日)

post_884.jpg休日の昼下がり観るには気合がいります。
(「ザ・ノンフィクションHP」より)

――『カンブリア宮殿』『ガイアの夜明け』(共にテレビ東京)『情熱大陸』(TBS)などの経済ドキュメンタリー番組を日夜ウォッチし続けている映画監督・松江哲明氏が、ドキュメンタリー作家の視点で裏読みレビュー!

<今回の番組:10月7日放送『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ)>
 テーマ:地下アイドルビジネス

「生きてーる、生きてぇいるー」のテーマ曲が流れ、『ザ・ノンフィクション』のタイトルがイン。そして次に現れるのが番組のファーストカット。番組制作者が何を最初に持ってきて、視聴者の心を掴むのかが気になる。

 が、そこに現れたのは給料明細の「7925」という数字だった。

 これはひなたさゆり(19)の月給だ。

 彼女は地下アイドル。ナレーターの泉谷しげるでさえ、素人向けの撮影会でポーズを取る彼女に対し「これってアイドルの仕事か?」とぼやくが、彼女の収入はこれが主だと思われる。アイドルグループに所属していたが、最近健康上の理由により脱退させられた。彼女はストレスや疲労による過呼吸を煩っている。そんな状況だから家賃はおろか電気や水道の支払いも遅れているらしい。

 僕は驚きを隠せない。金額の低さではない。ほとんどのアイドルが生活が成り立たないのは知っている。驚いたのはこうして日曜の昼に堂々と放送されていることに、だ。

『ザ・ノンフィクション』の視聴者層は、中年男性と想定していることは間違いない。きっと多くの視聴者は「けしからん」とか「アイドルなんざ甘っちょろい」と思って見たのだろう。しかし、『アイドルすかんぴん2』はそんな予想を超えていた。

 そういえば最近の『ザ・ノンフィクション』ではアイドルを扱った番組が多い。例えば5月に放送された『アイドルの家』も凄かった。あるアイドルの父はアル中で母親は弟を連れて家を出る。残された彼女は家事をしながら父を支えるが、彼はジョン・レノンとオノヨーコの「WAR IS OVER」Tシャツを着ながら酒をあおるのであった。

 悪い冗談のような現実がカメラの前に曝されていた。 アイドルという言葉の意味が変化して来ているのは事実だろう。テレビに出る人気者、美男美女、そういった見栄えだけでは括れない。番組では地下アイドル、さらには海賊アイドルという言葉も登場していた。現実はさらに細分化されているのだろう。

 鈴木真麗奈(18)が所属するfortuneもそんなグループの一つ。海賊アイドルの3人組。マリン服が海賊をイメージしているらしい。歌は……まぁ普通なのかさえ僕には分からない。ライブハウスの入りは10人にも満たなかった。事務所に渡されたギャラは1000円。彼女たちに入る金額はごくわずかだろう。

 そんな状態だからメンバーの内の一人はガールズバーでバイトをし、遅刻を繰り返す。もう一人も同様。やる気の感じられない二人はとある学園祭では物販にも立たず、ナンパされた男からもらったパンを「お財布ないって言ったらくれたの」とケータイ片手に地べたに座りながら食べ、さも忙しそうに「イッキ食いしてる」と言い訳をする。はり倒したくなる言動だが、こんな彼女たちにファンが付くはずもない。50万という地下アイドルとしては破格の予算が組まれたfortuneだが、あっけなく解散。その事実を知って号泣する彼女たちだが、泉谷しげるは冷たく「また一つアイドルグループが消えていく」と言い放つ。

 しかし、ひなささゆりの場合はグループにさえ入れない。ライブの盛り上げ役として会場から見ていた彼女は、その最中にサプライズとして新メンバーが加わったことを知らされる。もう自分が入る余地はない。アイドルは10代で芽が出なければ可能性はないと言える。

 目の前で突きつけられた現実に、またも彼女は過呼吸になる。事務所の社長は慣れたもので、余裕で彼女を抱え、運ぶ。そして後日、陰に引退を勧めるが、ひなたはそれを拒否。

「人を楽しませたい」と語る彼女に対し、スタッフは「別にアイドルじゃなくても」と言い返す。長く取材を重ねていろんな面を見て来たのだろう。僕には「もう十分じゃないか」という風にも聞こえた。しかしひなたは「私はアイドルがいい」と微笑み、言い切る。金のない彼女はコンビニから貰ったおでんの汁をすすり、美味しそうに飲み干す。

 これはもはや宗教だ。信じるものに対し、疑いがない。そして彼女にとって失敗は罪なのだ。

 だからほかに選択肢がない。光熱費が払えない金額でも、自分はアイドルなんだと信じている。きっと彼女は「夢は追うもの」という信念があるに違いない。さらに「叶うもの」と付け加えられるのだろう。しかし、現実は給料明細が教えてくれる。数字は具体だ。残酷ではあるが、結果も教えてくれる。そこから得る物は大きいはずなのに、彼女はまだそこに目を向けない。

 しかし、不思議なことにひなたは確かにアイドルだった。おでんの汁を「温かい」と言って大切そうに飲む姿は美しかったから。真麗奈も解散ライブ後に「次のオーディションがある」と言って渋谷の町を走る姿は素敵だった。 その姿が誰かの勇気になったことは間違いない。
(文=松江哲明/映画監督)

■おすすめ記事
「日本企業はムキになっている」技術盗用した中国の言い分
発生確率が10億年に1回の原発大規模事故は、なぜ起こった?
社用車で演歌を唸り、ホテルのスイートを定宿にする巨大新聞社長
社会のことは東大任せ!?なぜ京大出身の社長や官僚は少ない?
トヨタの下請けいじめ、ヨイショ番組…すべては章男社長の面子のため

最終更新:2012/10/22 07:00

「月給7925円」過酷すぎる地下アイドルビジネスの実態のページです。日刊サイゾー芸能最新情報のほか、ジャニーズ/AKB48/アイドル/タレント/お笑い芸人のゴシップや芸能界の裏話・噂をお届けします。その他スポーツニュース、サブカルチャーネタ、連載コラムドラマレビューインタビュー中韓など社会系の話題も充実。芸能人のニュースまとめなら日刊サイゾーへ!

ページ上部へ戻る

絶対的満足度の至宝店すべて見る

人気連載すべて見る

元木昌彦の『週刊誌スクープ大賞』

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"元木昌彦による週刊誌レビュー

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士の最新情報をお届け! 嫁・麗子も時々登場。

テレビウォッチャー・飲用てれびの『テレビ日記』

テレビの気になる発言から、世相を斬る!

じゃまおくんのWEB漫クエスト

マンガレビューブログ管理人じゃまおくんが、インターネットに埋もれる一押しマンガを発掘!

腹筋王子カツオ『サイゾー筋トレ部』

“腹筋インストラクター”腹筋王子カツオさんが、自宅でも簡単にできるエクササイズを紹介!

イチオシ企画

【PR】DYM・水谷佑毅社長の野望とは?

医師免許を持つ、ベンチャー経営者の異色の半生!
写真
特集

問題案件連発でジャニーズ帝国崩壊!?

マッチの不倫や山下智久の退所などが重なり、ジャニーズの根幹がゆらぎ始めている…。
写真
人気連載

小室圭さん母の元婚約者が最後の“賭け”?

今週の注目記事・第1位「後援者2500人パー...…
写真
インタビュー

片山監督推薦の“韓国サスペンス作品”

「生きてーる、生きてぇいるー」のテーマ曲が流れ、『ザ・ノンフィクション』のタイトルがイン...
写真