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アメリカ市場で存在感が増す韓国や台湾、見る影もない日本

AKB人気が続く限り、コンテンツ産業は海外進出できない?

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AKB人気が続く限り、コンテンツ産業は海外進出できない? – Business Journal(11月23日)

『AKBがいっぱい 〜ザ・ベスト
・ミュージックビデオ〜』(AKS)

 今、米国では、アジア諸国からのポップミュージックを中心に、音楽コンテンツ産業の進出が目立ってきている。K—POPはもちろん、台湾やシンガポール、タイやインドネシアから、まるで日本のアイドルグループのコピーのようなタレントたちが、続々米国デビューを果たしている。

 では、日本の音楽コンテンツは、どれくらい進出しているのだろうか?

 そもそも「コンテンツ産業といえば日本期待の産業分野」と考える日本人は多い。以前より、マンガやアニメなどは欧米で大人気。さまざまなイベントも増え、日本発コンテンツの人気は揺るがないかのような報道が続いている。音楽産業も同様。日本国内におけるAKB48などの人気を見るにつけ、この分野でも日本発のコンテンツの絶対的な優位は揺るぎそうにはないかのように見える。

 しかし現実はそうではない。確かに、マンガやアニメの進出初期には、その驚くほど高いクオリティや、欧米の若者にとっては新鮮な世界観などがもてはやされ、その人気に一気に火がついたものの、その後は売上も数年間低迷が続いている。某総理大臣がかけ声をかけていた頃にはすでに低迷期に突入しつつある時期であり、その見当外れぶりが目につくほど。粗製濫造された輸出用コンテンツは、当然のように売れ残り、それらを米国に輸入していた事業者の多くが、現在では事業を停止しているのである。

 いったい、なぜだろうか?

 それは、ごく当たり前の市場原理が働いたからということでしかない。日本の素晴らしいマンガやアニメは、欧米でも人気を博した。ところが、国内でさえさほどの人気を獲得できなかったものも無数にあるにもかかわらず、それを海外に持っていけば右から左に売れると考える者も多かったということだ。

 少し考えれば、日本で売れないものが海外で売れるというのは、やはり考えにくいもの。そう、日本発のマンガやアニメが海外で人気となったのは、日本のコンテンツだからではなく、良い作品であったからということなのだ。これは音楽分野でも同様で、商品品質が同レベルなら、よりマーケットに合致したものが売れ、それも同じなら、より低価格のもののほうが競争力は高い。これは、どのような産業分野でも同様であろう。

●国内市場のみに目を向ける日本の音楽産業

 翻って、我が国の実情を見てみよう。日本国内の多くの大物アーチストたちが何度も海外進出を画策するものの、「成功」と言える事例はごくわずか。レディ・ガガやマドンナ、マイケル・ジャクソンやジャスティン・ビーバーらは日本の若者の多くが知っているだろうが、AKBのメンバーの顔と名前が一致する若者が、米国に多いとは考えにくい。そもそもが国内需要のみを対象にしたマーケティングと、それを前提とした収益構造の上に成り立っているビジネスである以上、このような現状はある意味当然である。片やアジア諸国の音楽シーンは、日本の影響が大きいこともあり、日本の傾向を後追いながらも、きちんと踏襲。これまでは日本からの輸入が主流であったが、最近ではアジア諸国発のタレントが、日本をはじめ先進国市場へ進出していくケースも珍しくはない。

 そして彼らアジア諸国のコンテンツ産業界は、驚くほどしたたかで現実的。国内市場だけでは投資に見合った回収が困難という現状を踏まえ、多くの国々で半ば国策としてこの分野に注力している。加えて、コストの削減やニーズに対する対応も機敏だ。「良いものを作れば売れるはず」といった精神がいまだ残る日本の制作者たちを横目に、「とりあえず売れるもの」「より利益率の高いもの」「市場での競合に打ち勝てるもの」をせっせと供給し、市場を確保しようとしている。そこで、現在もっとも大きな市場として浮かび上がってくるのが米国。この市場の一角でも崩すことができたなら、それはビジネスとしては大成功といってよい。

 彼らがその新しい市場へ進出する際の手法も、まさに他の産業分野同様、あくまでビジネスとして真っ当なもの。事業として取り組み、堅実な収益構造を構築しようとする様が見て取れる。

●“一般的な”ビジネスを展開する、他のアジア勢

 例えば、日本の音楽業界では、音楽業界のプロらがすべての業務を仕切るのに対し、アジアからの海外進出組は、一般的なビジネス同様、マーケティング/リサーチまではスペシャリストに依頼。市場調査やニーズ分析などを行った上で、制作物の方針を決定。そして制作側に方針が伝えられ、コンテンツの制作から発売後の公演や販促手法までを決定する。過去の経験や感性で成功を収めることができる、国内市場だけを主たる戦場としてきた日本国内のプレーヤーたちには、このような手法はなかなか受け入れられず、結果諸外国での市場争いには、製品を送り出す前の段階から大きな差を付けられてしまっているのである。

 アジア発ポップミュージック産業の欧米市場への進出は、現状ではまだ市場の小さな一角を占めるに過ぎないが、欧米諸国での事業経験が、今後大きな資産となっていくであろうことは、他の産業分野を見るまでもなく明らかなこと。日本は、このまま指をくわえて見ているだけでは、音楽産業分野、ひいてはコンテンツ産業全般において韓国、台湾、香港をはじめとするアジア諸国になす術のないまま、確実に衰退の一途をたどることとなるだろう。AKBが国内で人気を博すほど、実は国際的なマーケットからはじわじわと乖離していくこととなりかねないのである。

 そして「より良いものを提供すれば売れるはず」といった考えは、日本に蔓延する危険な思想だ。今我々の身の回りに、的確なマーケティングと格安のコストで製造されたアジア諸国製の製品がどれだけあるか、改めて見回していただきたい。マンガやアニメ、そして音楽を代表とするコンテンツ産業も、このような状況にならないと誰が言えるだろうか。そもそも自国内マーケットのみに焦点を当てているコンテンツでは、やはり海外での争いには力不足。そうこうするうちに、他国に後れをとり、海外での経験もないままとなってしまい、より良いものをつくろうにも、そもそもの素材さえ持ち合わせていないということとなりかねない。そして、今はまだ日本発のコンテンツは、そのクオリティも信頼度も驚くほど高いものを維持している。今ならまだこの優位を、より堅固なものにできるはずだ。
 
 コンテンツ産業も、「AKB式ビジネス」のような国内向け規格から、一日でも早く「国際規格」を目指すべきだ。
(文=田中秀憲/NYCOARA,Inc.代表)

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最終更新:2012/11/25 07:00

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