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ラジオ批評「逆にラジオ」弟11回

楽屋オチを吹き飛ばす、ネガティブ若様ご乱心の新境地『オードリーのオールナイトニッポン』

ordori.jpg『オードリーのオールナイトニッポン』

しゃべりと笑いと音楽があふれる“少数派”メディアの魅力を再発掘! ラジオ好きライターが贈る、必聴ラジオコラム。

 芸人はまずネタで世に出て、キャラで認知され、フリートークでようやく本当に売れる。いまお笑い界はほぼそのワンパターンなサイクルで回っているが、意外と3段目の話術のハードルが高いというのは、近年のコンテスト決勝進出者の「その後」を見れば明らかだろう。『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送 土曜深夜1:00~3:00)は、2009年10月、前年末の『M-1グランプリ』準優勝の勢い冷めやらぬ中、およそ理想的と思われるタイミングでスタートした。

 それは大きなチャンスであると同時に、フリートークの実力を試される高いハードルでもあった。オードリーの場合、ネタの中に春日という強烈な個性が存在していたため、ネタとキャラがセットで(というか、ネタの中でキャラが)ブレイクし、1・2段目のハードルは一気に飛び越えた感があった。しかし、2人のしゃべりを基盤とするラジオという場、しかも毎週2時間という長丁場では、ネタという緻密な構築物を連発し続けることもできず、春日というキャラクターのゴリ押しも飽きられる危険性が高い。結果、ネタでもキャラでもなく、「何をしゃべるか」という勝負になる。

 だが正直、番組開始当初のオードリーの勢いであれば、何をしゃべってもよかったのだと思う。その時点で注目を集めている人たちが楽しそうに話していれば、ファンは無条件でついてくる。ファンの数が多ければ、それで十分に通用する。実際、『オードリーのANN』は異様に楽屋オチ的な内輪話の多い番組で、売れない頃に劇場で共演していたショーパブ芸人たちの話が、毎週のように繰り出されていた。「バーモント秀樹」や「ビトタケシ」といったモノマネ芸人の名前が当然のように連呼され、彼らの話をするとき、オードリーの2人はいつも爆笑している。個人的にはその状況に「置いてけぼり感」を感じることが多かったが、内輪話が多いのは『ANN』の伝統でもある。とんねるずもビートたけしも内輪話は多かったし、それが面白かった。

 では、彼らレジェンドの内輪話とオードリーの内輪話では何が違うのか? 単純にいってしまえばスケール感と豪快さで、前者の内輪話は「遊びは芸の肥やし」といわれていた世代ならではの、破天荒な言動を前提として成立していた。たけしやとんねるずは毎日のように夜の街に繰り出し、種々多様な人に出会い、いつも何かに巻き込まれていた。自らがそんな渦の中心にいつもいるから、彼らの話には当事者ならではの臨場感があって、リスナーをグイグイ引き込んでいく力があった。しかし、今の芸人にそういうタイプは少ないし、そもそもそんな時代でもない。

 オードリーは、そんな大御所芸人たちが作ってきた『ANN』の伝統を、自身の特性とは無関係に、素直に受け継ぎすぎたのではないか。あるいは番組のスタートが人気急上昇期であったがゆえに、しゃべろうにも忙しすぎて社会ネタを仕入れる時間も遊ぶ暇もなく、身近なところから話題を拾っていくうちに、やがてそのパターンが定着したとも考えられる。


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