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「スギちゃんに始まりスギちゃんに終わった」2012年のお笑い界をお笑い評論家・ラリー遠田が振り返る!!

DVD『スギちゃん 「ワイルドだろ~」』

 2012年のお笑い界を一言で振り返るなら、「スギちゃんに始まりスギちゃんに終わった」と言えるのではないだろうか。そのぐらい、この男の勢いはすさまじいものがあった。お笑いが全体的に低迷している中、孤軍奮闘でテレビお笑い界を盛り上げていた。

 2012年はスギちゃん一色の1年だった。年始から『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』(日本テレビ系)、『爆生レッドカーペット』(フジテレビ系)などに出演して、じわじわと話題にはなっていた。そして、3月に開催されたピン芸日本一を決める「R-1ぐらんぷり2012」で準優勝したことをきっかけに、人気が沸騰。毎日のようにテレビに出続けてお茶の間の人気者となった。さらに、バラエティだけでなくドラマ、CMにも出演するなど活動の幅を広げていった。

 その後も、番組収録中の高飛び込みでの骨折事故と、そこからの鮮やかな復帰劇、1年中デニムを着込んで「ベストジーニスト賞」の有力候補と思われながらまさかの落選など、何かにつけて話題を振りまきながら、2012年をワイルドに駆け抜けていった。そんな彼に最後に与えられたのは、「ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞という栄誉。これは、お笑い芸人としてはエド・はるみ以来、実に4年ぶりの快挙。2012年の顔となったスギちゃんが、充実した1年を締めくくった。

 2012年、お笑い界ではあまり目新しいニュースがなかった。もちろん、皆無だったわけではない。「キングオブコント2012」における新世代コント芸人の台頭、『ロケットライブ』『ワラッタメ天国』(ともにフジテレビ系)といった気鋭の若手芸人をメインに扱う番組のスタート、長寿番組だった『はねるのトびら』『HEY! HEY! HEY!』(同)の終了など、少しずつ時代が動き始めた感はある。ただ、それらの動きがブームとして結実して本当に盛り上がるまでには、もう少し時間がかかりそうだ。

 そんな中で唯一の光明は、スギちゃんの大ブレイクに象徴される2つの流れだった。ひとつは、芸歴の長い「いぶし銀芸人」の躍進。2012年にブレイクした芸人たちを並べてみると、ある共通点がある。「THE MANZAI 2011」でチャンスをつかんだHi-Hi、「キングオブコント2012」王者のバイきんぐ、「あたりまえ体操」のCOWCOW、そしてスギちゃん……。彼らはいずれも、芸歴15年を超えるキャリアを誇る「いぶし銀芸人」なのだ。お笑い番組が激減し、経験の少ない新人が売れるためのルートが少なくなっていることもあり、経験豊富なベテラン芸人が数少ないチャンスをものにすることが多くなっている。

 また、いわゆる「一発屋芸人」がいつになく脚光を浴びたというのも2012年の傾向だ。一発屋芸人と呼ばれる者たちが、自らそれをネタにして数々のテレビ、イベント、CMなどに出演するようになった。その最大の成功例はダンディ坂野。ダンディは「ゲッツ!」のフレーズでかつて一世を風靡していたが、最近はあまりバラエティでは見かけなくなっていた。ところが、2012年にはなんと、8社のCMに出演して、お笑い界の隠れCMキングとなっていたのだ。一発屋であることを力強く肯定して笑いに変えるダンディは、イメージとインパクト重視のCM業界ではむしろ扱いやすい存在なのだろう。

 そんなダンディを筆頭に、一発屋と呼ばれる芸人たちがまとまってテレビに出たり、イベントに呼ばれたりする機会はじわじわと増えている。最近では、フリップ漫談でかつてブレイクしていた鉄拳が、パラパラ漫画の才能を見いだされ、再ブレイクする現象も起きている。一発屋と言われても芸人人生はまだ終わっていない。ファイティングポーズをとっている限り、何度でもチャンスはめぐってくる。

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