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平凡な日常を刺激する、特殊間取りの世界へようこそ『間取り図大好き!』

madoridaisuki.jpg『間取り図大好き!』(扶桑社)

 『間取りの手帖』(佐藤和歌子著・リトルモア)が刊行され、サブカル界が珍間取り図の奥深さを認めたのが2003年。「いったい、どうやって生活するんだ!?」――。不動産屋の店頭に張り出されるありえない間取り図は、多くの人々の好奇心を刺激した。


 そして、そんな“間取り図ブーム”は、一過性で終わることはなかった。あれから10年の時を経て、『間取り図大好き!』(扶桑社)なる本が上梓されたのだ。

 もしも、あなたが「大家族だけど、家族仲が悪いから別々のキッチンを使用したい」なんていうワガママだとしても、あきらめてはいけない。世の中には「9LDKDKDKDK4S」なる物件が存在し、あなたの夢を叶えてくれる。断捨離ができず膨大な荷物を抱えているなら、8つの物置を完備した部屋がオススメだ。露出狂ならばベランダに浴槽が完備された物件、実は忍者のキミにはどんでん返しがある物件はどうだ!? 「24時間ず~っと一緒にいたい!」というラブラブカップルなら、トイレに便器が2つ並んでいる部屋で愛を育めばいい。「家族3人仲の良さが自慢です」というなら、便器が3つ並んでいる部屋がいい。きっと、子どもの下半身の成長までつぶさに観察できるはず!

 本書の編集を務めるのは「間取り図ナイト」という団体。東京カルチャーカルチャーを中心に、同名のイベントを19回にわたって開催し、イベントのチケットはソールドアウトを続ける。“たかが間取り図”と思うなかれ、イベントに集まった大勢の観客は、その突飛なスタイルに抱腹絶倒する。

 このイベントの中心メンバーは、mixi「間取り図大好き!」コミュニティ管理人の森岡友樹、住宅都市整理公団総裁であり、『工場萌え』(東京書籍)、『共食いキャラの本』(洋泉社)などを発表している大山顕、そして「デイリーポータルZ」ライターの大塚幸代の3人。一癖あるマドリスト(間取り好きの人をこう呼ぶらしい……)たちが、上記のような意味不明な間取りに対し、鋭いツッコミを加えていく。

 もうすぐやってくる春を前に、引越しを考えている人も多いだろう。不動産屋の店頭に貼りだされた間取り図は「こんな家だったらどんな生活が送れるだろう?」と、あなたを妄想の世界に導いてゆく。物件のみならず、そこに生活する人を象徴する「間取り図」とは、人間の気分を高揚させるエンタテインメントなのだ。

 あなたの求めているのは、本当に1DK南向きの平凡な物件なのだろうか? そんな設計士の都合と採算性のみを重要視し、型にはめ込んだ商品のような部屋で、本当に楽しい毎日が送れるのか? 

 既成概念を覆す特殊な間取り図は、きっとあなたの平凡な日常を揺さぶるだろう。
(文=萩原雄太[かもめマシーン])

最終更新:2013/02/14 18:00
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