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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.216

えっ、小泉麻耶が身障者専門のデリヘル嬢に!? “性”のバリアフリー化『暗闇から手をのばせ』

kurayamikara1.jpg障害者専門の派遣型風俗店で働き始めた沙織(小泉麻耶)。
サービス内容はディープキス、フィンガーサービス、フェラチオ、ローションプレイ……。

 身障者専門のデリヘル嬢を主人公にした『暗闇から手をのばせ』が現在、渋谷ユーロスペースで公開中だ。グラビアアイドルとして抜群の人気を誇った小泉麻耶の体を張った演技とメジャー作品が扱わないテーマ性が高く評価され、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2013」オフシアター部門でグランプリ&シネガーアワードの2冠に輝いている。障害者プロレスを追ったドキュメンタリー『無敵のハンディキャップ』(93)、脳性麻痺を持つ重度身障者が殺人鬼を演じたバイオレンスホラー『おそいひと』(07)、ベストセラー作家・乙武洋匡原作&主演による熱血教師もの『だいじょうぶ3組』(公開中)など身障者を扱った映画はこれまでも話題を集めてきたが、本作のように“身障者の性”に正面から向き合った作品は非常に珍しい。

 本作に風俗好きな常連客役で登場する“身障者芸人”ホーキング青山の著書『お笑い!バリアフリー・セックス』(ちくま文庫)を読むと、身障者にとってセックスは切実な問題であることが伝わってくる。ホーキングが通っていた養護学校では、男子生徒が暴れ出すと鎮静剤を注射されるか、男性教員がトイレへ連れていき手で抜かれていたそうだ。また、保健体育の授業では「身障として生まれてきた以上、刺激の強いもの(AV、風俗)にはできるだけ触れないように」と指導されていたという。だが、ホーキングは性をタブー視する息苦しい環境から飛び出し、高校生のときに原宿でフツーの女子高生のナンパに成功。その女子高生が非常にできた娘だったこともあり、無事に脱童貞を果たす。自信をつけたホーキングはその後もせっせとナンパに励み、トーク術を磨くことになる。「身障者とヤれる機会はそうそうないよ!」がホーキングの口説き文句だ。彼のそんなポジティブさに、女の子たちは身も心も許してしまう。

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