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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.276

中島哲也監督の“破壊衝動”が全編にほとばしる! 崩壊家族が織り成すポストホームドラマ『渇き。』

kawaki_nakashima01.jpg「このミス大賞」を受賞した深町秋生の処女小説の映画化。暴力に満ちた社会を憎む加奈子(小松菜奈)は、暴力で社会に復讐しようとする。

 ベストセラーコミックの実写化『進撃の巨人』を降板した中島哲也監督にとって、4年ぶりとなる新作が『渇き。』だ。中島監督はこれまで『下妻物語』(04)や『嫌われ松子の一生』(06)などスタイリッシュな映像作品で人気を博し、前作『告白』(10)も暴力的な内容ながら極めて静謐かつ美しい作品に仕立ててみせた。東宝配給でヒット作を連発してきた中島監督だが、一度自分が積み上げてきたものを全部リセットしたくなったのではないか。そう思わせるほど、GAGA配給による『渇き。』は荒々しい破壊衝動に満ちている。まるで中島監督自身が巨人と化したかのように、スクリーンに映るものすべてを破壊して回る。家族も職場の人間関係も輝かしい記憶も、壊して壊して壊しまくる。

 予兆はあった。2010年にAKB48がリリースしたシングル曲「Beginner」のプロモーションビデオを手掛けた中島監督は、ゲームの世界とはいえAKBの主要メンバーたちを血祭りにした。篠田麻里子が、渡辺麻友が、小嶋陽菜が、そして大島優子が次々と瞬殺されていった。多くの少女たちの犠牲の上で、前田敦子はゲームの世界から現実の世界へと覚醒を果たした。中島監督が構想していた実写版『進撃の巨人』も、そんな世界観の延長戦上にあったのではないだろうか。生きるか死ぬかのギリギリの世界。“痛み”を伴うことでしか得られない、生きていることの切実感を『渇き。』でも描こうとしている。

 魔性のヒロインである加奈子役の小松菜奈をオーディションで抜擢した『渇き。』は、深町秋生のホードボイルド小説『果てしなき渇き』が原作だ。数カ月前までは刑事だった藤島(役所広司)のもとに、離縁した元妻・桐子(黒沢あすか)から連絡が入る。高校生の娘・加奈子(小松菜奈)が昨晩から帰ってこないので探してほしいという。世間体を気にする桐子は警察には届けることができず、藤島を頼ってきたのだ。久しぶりに藤島が自宅に戻ると、加奈子の部屋から高校生らしからぬ物が見つかる。覚醒剤と注射器のセットだった。加奈子がとんでもない事件に巻き込まれているのは間違いない。自分に似ず、品行方正で優等生だと思っていた娘がなぜこんなことに?

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